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人はきっと、誰かに救われながら生きています。
大きな言葉じゃなくてもいい。
たった一言。
たった一つの優しさ。
それだけで、生きようと思える夜があります。
この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。
けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。
苦しみながらも誰かを想うこと。
忘れたくないと願うこと。
誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。
そんな、不器用で優しい人たちの姿です。
もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。
この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。
『時雨堂に、雪は降りつづく』
どうか最後まで、見届けてください。
「雫!!」
玲が叫ぶ。
だが雫は真っ直ぐ前を見ていた。
怖い。
本当は震えるほど怖い。
でも。
ここで止まったら、また誰かが消える。
湊も。
凛も。
これから先の誰かも。
透が苦しそうに笑う。
「ほんと無茶苦茶だな、お前」
「知ってる」
雫は小さく笑う。
その時。
深層書庫の奥で、巨大な扉が現れた。
純白の扉。
本で出来ている。
栞が静かに言う。
「原典の間……」
扉の隙間から、まばゆい光が漏れていた。
書庫主が低く唸る。
『進入禁止』
だが雫は止まらない。
玲が最後に雫の腕を掴む。
「……絶対戻ってこい」
その声が、ひどく優しかった。
雫は少し驚いたように目を見開く。
そして。
泣きそうに笑った。
「うん」
次の瞬間。
純白の扉が、ゆっくり開き始めた。
最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。
この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。
誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。
全部を救いたい。
誰も傷ついてほしくない。
そう願っても、現実は簡単ではありません。
それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。
その小さな希望を、この物語に込めました。
雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。
そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。
人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。
もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。
それが、この作品にとって何よりの救いです。
あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。
本当にありがとうございました。




