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剣しか勝たんVRMMO  作者: 雉里ほろろ
第一章:いざ行かん星の世界、切り拓くは我が剣

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第十九話:新しいサブクエストが発生しました

珍しくお昼に更新


 ポコッ!


 来た。

 地図に描かれていた川沿いの村、カラム村をひとまずの目標にして進んでいた俺の耳に、最近よく聞いた気の抜ける効果音が飛び込んできた。

地面から飛び出てきたのは、スコップを抱えたデフォルメ姿の可愛らしいモグラだ。

 つぶらな瞳と目が合う。


「モグッ!」

「出たなモグラ野郎!」


 新しい刀は血に飢えておるわ!


 ソードディグは可愛い見た目と裏腹に凶悪な突進性能を有している。突進時の速度はこれまで出会ったモンスターのなかでもダントツに速い。

 小さなスコップの先を俺に向け、地面から発射。

 狙いは俺の脇腹。体を逸らして回避するが、避けきれずスコップの刃先が掠った。HPがガリっと削れる。

 何気に攻撃力も高いんだよな、コイツら。


「モグモグッ!」


 俺の後ろでターンを決め、地面に帰っていくモグラ。

 クソッ、やっぱり初撃は後れを取った。だが次は反応してみせる。

 居合刀の柄に手を添えて構える。集中!


「モグッ!」


 右側から俺の胴めがけて飛んできたモグラ。

 刹那の見切り。〈抜刀〉を発動。ロケットモグラを迎え撃つ。

 ヒット音。振り切った刀を〈納刀〉で鞘に納める。


「モグ……」


 空中で斬られたモグラはあっけなく砕け散った。


「うーん……」


 今の手ごたえはクリティカルじゃなかったな。当てたというより、相手の速度に追いつけず掠っただけみたいな手ごたえだった。

 もっとこう、斬った! という手ごたえじゃないと上手く攻撃できていないんだろうな。


「モグ!」

「しまっ……!」


 二匹目!?

 気を抜いていた俺の首筋をスコップの刃先が斬る。ガツンと殴られたような衝撃によろめく。

 むしろ俺がクリティカルヒットを貰った……!


「やばっ……!」


 VITにほとんどポイントを振っていないから、今のクリティカル攻撃で八割近くHPを持っていかれた。

 回復をしないと。いや、モグラがいつ飛び出てくるか分からない以上、迂闊に隙を晒せない。

 と、思ったのだが……。


 ポコッ、ポコッ、ポコッ!


「どわぁぁぁぁぁぁ!?」


 何か、めっちゃ増えたんだが!?






「モグッ!」「モグモグッ!」

「だぁぁぁぁ!?」


 立ち止まったら死ぬ。


「何でこんなに増えたんだよ!?」


 逃げる俺と追うモグラ。その数およそ十匹。

 いつぞやにアーちゃんが追われていたのと同じような状況に陥っている。


「チャージ、あと何秒だ!?」


 柄に触れればゲームシステムを通して脳内にチャージ状況が伝わる。

 あと五秒で50パーセント。これくらいのチャージでも、HPの低いモグラなら一撃圏内のはず。

 グッと踏みとどまって反転。腰を落として剣を抜く。

 ロケットのように俺の背中めがけて飛んできていたモグラを撃墜しようとして――。


「モグッ!」


 ガキン、と甲高い金属音。俺の居合刀とモグラのスコップがぶつかり合い、攻撃が相殺される。


「クソが!」


 こいつらこの前よりも強くなってないか!? 何でこのスピードで俺の攻撃を弾いてくるんだよ!?

 納刀したらすぐに反転。逃走マラソン再開だ。

 ああ、やっぱりモグラを練習相手にとか考えるんじゃなかった。こいつ等クソモンスターだわ!


 突進の後、モグラは必ずポーズを決めて隙を晒す。だがその隙をカバーしあうように次々に別のモグラが飛んでくるから対処しきれない。

 つまりマラソン中に反転して突撃してくるモグラを撃ち落とし、すぐにまた走り出す必要がある。

 背中にもう一つ目が欲しい。


「半チャージ喰らえ!」

「モグッ!?」


 よっしゃ、今度は当たった!

〈抜刀〉による攻撃を喰らったモグラは砕け散り、一匹数を減らす。


「モグ!」「モグモグ!」


 するとまるで敵討ちと言わんばかりに速度を増して他のモグラが突撃してくる。


「死んでたまるかあぁぁぁぁぁぁぁ!」


 走れ! 斬れ! 走れ――!






「ハァ……ハァ……、勝った……!」


 満身創痍。草原に倒れこむ。

 迫りくるロケットモグラたちを斬り捨てては逃げ、斬り捨てては逃げの地獄マラソン。

 攻撃を空振りしたり、防がれれば再度チャージ時間のために逃げ回る必要があったのも辛かった。

 だがついに最後の一匹を斬り捨てた。

 レベルが13に上がったが、達成感より疲労感のほうが強い。

 肉体的にはVRでは疲労しないのに。


 ポコッ!


「まだいたのか!?」


 憎き効果音を聞いて、俺は慌てて体を起こす。

 視線の先には新たなデフォルメモグラ。奴は愛用の武器たるスコップを取り出し――。


「いや、違う?」


 スコップじゃないな、あれ。紙か?

 モグラはその取り出した紙を俺に向かって投げつけてきた。俺の懐にパサリと落ちたそれを拾い上げる。



・モグラの挑戦状

 ソードディグが持ってきた小さな紙。拙い絵で、手書きの地図が描かれている。



 ――『サブクエスト:モグモグ百匹組手』が発生しました。



「モグモグ!」


 モグラは俺に手紙を届けたあと、スコップを俺に突き付けて威嚇。そのまま地面に潜ってしまった。


 ……何か、クエストが発生したんだけど。


謎のクエスト発生と共に、第一章はこれにて終了です。

感想等、お待ちしております。


次話はしばらくお休みです。

第二章が書きあがったら、また更新します。

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