第五十九話 魔女は謎だらけ
あれから一ヶ月ほど。
比較的平和に月日が流れていった。
「やあ、サイモン君。永遠の森から魔獣が出たそうだ。行くかい?」
「いきます」
要塞へ向かう。その後難なく撃破。
「サンキュ、また頼むぜ!」
オダさんに挨拶をして街へ帰る。
街に着いてからウッドに話しかけられた。
「それでサイモン君、少し相談があるんだけど」
「いいですよ」
「ここじゃなんだから喫茶店にでも」
四人で適当な茶屋へ。
「どうしたんです?」
「ここでユニオンを作ってリーダーをやってくれと王様に言われてね。カラロッカ団やエンド結社のようなユニオンが作られないよう先手を打ちたいそうだ」
「いいんじゃないですかね。ウッドさんなら問題ないかと」
「それは受けることにしたんだけど、問題はユニオン副長でね」
「ふむふむ」
「君にやってもらいたいんだけど、どうかな?」
「ふむふむ、ふむ?」
「えー!?」
「ああ、わかっていると思うけど名前を借りるだけさ」
「んー、しかしぃ」
「サイモン君はもう剣聖に次ぐくらいの有名人になっているんだ。永遠の森の魔獣を軽く片付けたり、神話の生物を追い返したり、その生物の武器を持っていたりと」
「いつの間に」
「まあそうなるよね。この前なんか盗賊がものすごく遠くからサイモンを見て逃げ出していたしね。当然逃さなかったけど」
「このあたりじゃ皆知ってるわね」
「とにかく強いからね。そのクラスの人間が副長ならユニオンにも箔がつくし、悪いことを考えるやつもあんまり出ないだろうと、王は言っていた」
「いいんじゃないかな? 名前だけだから」
「そう、だな」
「わかりました、その話お受けします」
「ありがとう。では早速この書類にサイモンくんの名前を書いてくれ」
サイモン、と。
「これでユニオンの件は終わり。どうだい? 夕食でも」
「いきますか」
次の日。ギルドへ行く道中、公園で争っている声が聞こえてきた。
「おいおい、このシマは俺達のモンのはずだがなぁ?」
「あぁ、寝言は寝ている時に言えや! それとも今から寝かせてやろうか!」
男二人が言い争いをしていた。お互い5人ずつ。
彼らは見たことがあるな、現実の世界で言うところのマフィアみたいなものだ。どこの世界にもこういう人間はどうしても出てくるものだな。
「まったくよー、いい加減……アイツは『棺のサイモン』! に、逃げるぞ!」
「ひ、ひぃ。出棺されちまう!」
依頼で彼らの仲間や盗賊をよく片付けていたのでこのタイプの人達にはとても嫌われていた。しかし、噂には尾ひれがつくものだ。出棺なんてしないって。まったく、いろいろな意味で失礼なやつだ。
「ま、まあ悪者には嫌われても仕方ないよ、うんうん」
ミューがフォローしてくれた。
「はは、ありがとミュー。俺以外のやつとは結婚しないよな?」
「はぁっ!?」
急に大声を出したミュー。
「どうしたんだ? 俺以外のやつとは結婚しないよな?」
(これは一体……)
「どしたのミュー?」
(ファムは普通だ。ってことは後半は聞こえていない? ん~このたぐいのトラブルは魔力関係かな)
「ちょ、ちょっとクリスに用事があったの忘れていた。行ってくる」
「じゃあ皆で行こうか」
「一人でいってくる。簡単な用だし」
「ふむ、それじゃ気をつけて。俺(略)」
クリスの家。
「クリス、多分言っていないと思うんだけど後半変なことを言われたんだ」
「? あ~、もしかして」
クリスはミューの額に自分の額をくっつける。
「やっぱりね」
「魔力関係?」
「そそ。最近魔力をコントロールしようと頑張っていたわね?」
「そうだけど」
「大量の魔力をまとめていると歪みが出来るの。その歪によって引き起こされたかな。慣れれば出なくなる症状なんだけどね」
「一体何が起きているんだ?」
「んーと、確か気になる人から言われたいこと、願望が出るとか」
「ああ……。イマイチわからない部分があるけど何となく分かる」
「ムッフッフー。またハードな要求でもしたんでしょ! 危うく人前で!」
「それは怖いな」
「大丈夫よ。この魔力調整キャンディーでなおるわ」
「いただくよ」
「それにしてもホント、剣士にしておくのは勿体ないわね。とてつもない魔力を感じたわ。まあ、魔女にはなれないんだけど」
「接近戦が好きなんだ、こっちのがあっているかな」
「ふふふ、アナタらしいわ」
「ああ、魔女じゃなくても使える強力な魔法があるけど覚えてみる?」
「そんな魔法があるんだ。覚えたいかな」
「ただ、一気に魔力をすべて使い切る魔法だから使い所は気をつけてね」
「私にあっている魔法だな」
「ふふ、そうね」




