第六十話 未知なる戦いへ
「王よ、北の国に忍び込んでいる者たちから情報が」
「ふむ?」
「元王都の主要都市マムラウが陥落したそうです」
「なんだって!?」
「『マスール』主要メンバーは国境の要塞に逃げたとの話です」
「相手は?」
「空を飛ぶ異形の者、だそうです」
「異形の者か」
「となるともうじき向こうから使者か書状が届くか。もし3日以内に動きがないならこちらから動く」
「わかりました」
「さて、国軍には戦争準備をさせろ。後は秘密裏にギルドへ応援要請をしてくれ」
「はい」
翌日。
「マスールから書状が」
「早かったな」
「なになに「異形の者にマムラウが奪われた。救援を求む。詳しい話は国境にある要塞で」
「すでにこちら側の者が要塞に多数入って救援活動をおこなっています。罠である可能性はほぼないでしょう、その余裕はないようです」
「わかった、向かおう」
リテン王は数十人の兵を引き連れ国境の要塞へ向かった。
「これはこれはリテン王。よくお越しくださった」
「こうして顔を合わせるのは初めてだな。まさか救援で会うことになろうとは」
「私達も一応国を預かる身です。こうなってしまっては恥も外聞もありませんよ」
「それで、相手は?」
「聞いていると思いますが異形の者。多分やつらは」
「神話に出てくるやつか」
「そう。魔神と呼ばれる者たちでしょうね」
「魔神か。にわかには信じられない話だが最近神話の生物が現れたばかりでな」
「聞きました。神話生物の武器を持った男がそちらの国にいるとか」
「うむ。しかし最悪な相手だな」
「ええ、人類の敵」
「神話では神の力を借りた戦士が戦い、辛くも人類側が勝利したとか」
「今回もそうなってもらえると助かりますがね」
「ああ、それと我が国の北の国にも応援を要請したいのですが」
「わかっている。こちらからコンタクトを取ってみよう」
「という話だ。サイモン」
コスラさんから北の国の首都が異形の者の手によって陥落したとの話を聞いた。遂に来たか、魔の者。
「この国の神話で魔神と呼ばれる者ではないかと、もっぱらの噂だ。皆はすでに魔神と呼んでいるな」
ゲームでは魔の者という表記だったがこちらでは魔神というのか。ゲームの方は言い方が悪いが最後の方のストーリーは非常に簡易なものだった。予算がなくなったとかいろいろな噂が流れていたな。
「冒険者の一部のものにしか伝えていない情報だ。くれぐれも秘密で頼むよ」
「わかりました」
「状況が状況だからすぐ国の皆にも情報は流れるとは思うがね」
「あいまいすぎる情報ではかえって混乱を誘ってしまいますからね。もう少し情報を固めてからでしょうかね、皆に言うのは」
「なかなかタイミングが難しいよな」
「では帰ります」
「またな」
「サイモン……」
「二人共、話がある。一旦家に帰ろう」
三人で家に帰る。
「ゲームでは魔の者と呼ばれていた奴らだと思う。魔神というのは」
「やっぱりサイモンが知っている相手だったか」
「もしかしたら俺はヤツラを倒すためにこの世界に呼ばれたのかもしれないな」
「そう、でもサイモンの強さならそれも納得だな」
「この世の者の強さとは思えないくらいだからね」
「今後どうするかはじっくり話し合っていこう」
「そうだね」
「話は終わりだ。飲みにでも行こうか」
「うん」
その日は深夜まで飲み、家へ帰った。
「結局最後はゲーム通りか」
ゲームでは主人公が単身魔神たちに戦いを挑むことになった。ヤツラは強い、仲間を助けている余裕はない。考えた末、一人で行くことを選んだ。そして俺も。
コッソリと家から出ようとする。こういうときこの剣はちょっと辛いな、すぐ音が出そうになる。
「こんなことだろうと思った」
「私達も行くわ」
後ろから声が。驚いて体を小動物のように震わせた。
「しかし」
「私達も強くなったんだから多少の助けにはなるんじゃないかな。ヤバそうになったらすぐに逃げるさ」
「ふむ、雑魚戦なんかは私達がやって体力を温存するといいんじゃないかな」
「二人共……」
「それにこれ、覚えてる?」
「二人にプレゼントしたアクセサリーか。ああ、魔の者耐性がついていたな」
「そそ。これはもう行くしかないかなと」
「わかった。一緒に行こうか」
「そうこなくっちゃ!」
結局いつもの三人か。
ゲームでは最後一人だったがまあ、そりゃ三人のほうが良いよね。気持ち的な面で。
「いこうか」
「ああ」
何度も言うがゲームとは微妙に違う。最後三人で出発したり。
もしかしたらとんでもない敵が現れるかもしれない。
しかしどんな事が起きても最後まで諦めない、彼女たちを見てそう強い決心をした。




