第五十六話 ウッドの本気
「俺がランク8に?」
「はい、サイモン様はランク8に昇格できます」
「そこまで高ポイントの入る依頼を受けてないと思うけど」
「神話生物を追い払ったことを王が知り、それに対しての加点だそうです」
「そう、ですか。それではいただこうかな。と言っても当然試験はありますよね」
「はい」
ギルドの奥へ通される。ミューとファムも。
「全員アップか」
少しして部屋にフードを深々とかぶった男が入ってきた。
「おう、お前ら」
「あ、王様」
神出鬼没、リテン王。
「全員合格だ」
「いいんですか?」
「ぶっちゃけると世界最強クラスの奴らをテスト出来るやつなんておらんのよ」
「ハハハ」
「それよりも相談があるんだが」
「何でしょう?」
「冒険者のロイは知っているか?」
「知っています」
「なら話は早い。ロイは今度ユニオンのリーダーになる。ところがカラロッカ団とエンド結社から抗議があってな」
「抗議?」
「うむ。大きな仕事をなしていない冒険者にユニオンリーダーを務めさせるのはどうか、とな」
「実際、ロイは星5でそんなに大きな仕事はしていないんだ。そこでビッグな仕事を一つやらせようと思ってな」
「となると彼に協力してくれって話ですかね?」
「察しがいい。それとお前らの仲間を集められるだけ集めてくれ。王都の人間じゃなくてもいい」
「今回の仕事で彼の人望を周りに見せつけようと考えている」
「それは効果的かもしれませんね」
「だろ? 多ければ多いほうがいい。ちょうど一週間後だ、頼んだぞ」
「わかりました」
「じゃあな」
部屋から出ていくリテン王。
「王様も一枚噛んでいたのかな」
「カラロッカ団とエンド結社はそれはそれは口で説明するのも腹が立つくらいひどい組織だったからね」
「ここで粉砕しておいたほうが国のためになると、そう考えたのかな」
一週間後、数人の知り合いを引き連れギルドへ。
「なんかおかしくない?」
ギルドの周囲がとんでもない人混みになっていた。
「今日はお祭りでもあるのかな?」
少しずつ進んでなんとか受付へ。
「今日はロイさんの手伝いをしようと思ってきたんですが」
「はい。それでは整理番号をどうぞ。それから闘技場へ」
「わかりました」
ギルドから出て闘技場へ。しかし入れそうにない。
「皆さん申し訳ありません。闘技場が一杯になってしまいました。一旦街の外へ。本当に申し訳ありません」
「すんごいことになっているわね」
これ全員ロイさんの応援か? 2千人はいるんじゃ。
「よ、よう」
「リテン王」
「とんでもないことになってますね」
「ああ、失敗した。ウッドに相談してな。しかもいつも冷静沈着のアイツがめちゃくちゃ情熱的に乗っかってきたのよ。あの時に察するべきだった」
「そうですか、ウッドさんですか」
こうなってしまった理由がわかった。
「ウッドさんいい人ですから2大ユニオンの問題には心を痛めていたのでは」
「そんな感じだったな」
「とりあえず中止にするかな」
「え? いいんですか」
「うむ。この人だかりを見て2つのユニオンリーダーが解散を申し出たそうだ」
「完全に心が折れましたね」
「じゃあ止めてくる」
まさに数の暴力。その影には熱いハートの男達がいたことはあまり知られていない。
一週間後。三人で朝食を食べていると、宿屋の受付の人が声をかけてきた。
「サイモンさん、研究所からお手紙です」
手紙を受け取り読む。
「防具、大剣の鞘が完成したとの話だ。研究所へ行こうか」
食後、三人で研究所へ。
「防具、完成しました」
「おー、格好いい」
「デザインも凝らせてもらいました。ウチ自慢の職人達が腕をふるって仕上げました」
俺とミューの防具は軽鎧。布地をベースに胴体、腕、足に金属、可動域が広い箇所は革といった感じかな。見た目は結構違うな。
「サイモンさんには男性から人気の無骨なデザインを。ミューさんのほうは女性ということで華やかさ重視で。防御力は同じですけどね」
ファムの防具は基本布地の服。だが装飾、デザインが派手。それとクイーンスパイダーの皮のグローブ。
「どうぞ皆さん、着てみてください」
防具を装着してみる。結構軽かった。
「軽いでしょ? 特殊な金属なんですよねー」
「グローブ、しっくりくるわね」
構えをとるファム。
「いい感じ」
「ちょ、ちょっと派手すぎるデザインかなぁ」
「いいんじゃないか? 似合ってるよミュー」
「そ、そう? ならいいけど。サイモンもその鎧、格好いいと思う」
「ははは、そうか」
「ずっと見た目が一般市民だったからね」
「あ、それから大剣は研究所の外でお渡しします」
モールに連れられて外へ。




