第五十四話 取り扱い注意
「バーストコーンの角の移動は大変だったね」
「結局俺がつきっきりだったな」
切れ味が良すぎるため、ちょっとしたトラブルで馬車を2台ほど破壊。俺が荷車で運ぶことになった。荷車も3台ほど破壊したが。
「これを街の中に入れるのは危険だな。もう夕方か。俺は今日ここでキャンプする。今から連絡だけして明日学園長を連れてきてくれ」
「了解」
「クイーンスパイダーの方は?」
「無事運び終わったよ」
「ふむ」
「じゃ私はキャンプ用品買ってくるわ」
「頼む」
しばらくしてファムがキャンプ用品を持ってきてくれた。
「ありがと」
次の日の昼ぐらいに学園長とミュー、ファムがここへ来た。
「またせたな、少し調べておったのじゃ」
学園長の目が充血している。もしや徹夜かな?
「それにしてもまさか神話上の生物の欠片を目の当たりにするとはな。長生きはするものじゃ」
神話の生物。ゲームでは神話だけ、伝説にだけに登場し「本来いない」とされる彼ら。まあ、魔法が使えたり魔獣がいる世界だから正直どんな生物が存在していても違和感はないんだけどね。
「あ、危険ですから触らないでくださいね」
「聞いとるよ」
「俺のオリハルコンの剣がバッサリと」
剣の先端を見せた。
「にわかには信じられない話じゃが実物もあるし証人も多数いるしのぉ」
「ちょっとじっくり見させてもらえるかの」
「はい」
学園長は遠目からバーストコーンの角を観察。
「この角は見た目が大剣だからそのまま使えそうじゃが実は使えないじゃろうな。切れ味が良すぎて持ち運びができんわけじゃし」
さすが、気づいてもらえたか。ゲームでもあまりの切れ味のためこの剣を収納する特殊な鞘を用意するイベントがある。
「となると鞘、ですかね」
「特殊な鞘が欲しいのぉ」
学園長は目をつむりながら頭を回す。
「数日くれ。何か無いか探してくる」
「わかりました」
ゲームでは同じく神話上の生物の欠片を入手することになるが、サタデーライトファイバーやタンバリウム等、ゲームでは聞いたことがない素材を耳にしているので、もしかしたら彼らの力で解決してしまう可能性を考慮し任せることにした。
後柄も欲しいところだがドミクディヴァリウムを使えばいいからこの件は後でもいいかな。
「悪いがもうしばらくキャンプ生活じゃの」
「ハハハ、そうなりますね」
「ではの」
学園長は帰っていった。
「なんだかんだで目立つね。立入禁止のロープでも張っておく?」
「そうしようか」
「じゃ、買ってくる。おっと他になにか買うものを」
他に必要なものを考え出して、ミューとファムはそれらを買いに行った。
「お待たせー。食べ物も買ってきたから一緒に食べよう」
皆で昼食を。
「ああ、二人共。俺がいない間はお酒には気をつけるんだぞ。ある意味今までの特訓の成果の見せ所ではあるな。女の子なんだから酔っ払って転がっていたら大変なことになる」
「うん、そこを考慮して、私達もここでキャンプすることにしたんだ」
「怖くて昨日はお酒が飲めなかったわ」
何やら荷物が多いと感じたのはキャンプ用品のせいか。
「まあそれでもいいけど」
「今後キャンプする可能性はあるからね。今まで持ってなかったのが不思議なくらいかな」
「ふむ」
「外で寝るのはあれだけど、外での食事はおいしいってのはわかったわね。カニ鍋のおかげで」
確かに元の世界でもバーベキューの時は異様にお腹が空いたな。
「というわけで食べて飲もう!」
まだお昼だよと突っ込もうとしたがまあ今日くらいはいいか。
それから3日後、学園長が大勢の人達を引き連れて再びこちらへ。
「ミューの剣が完成した。後で取りに来てくれ」
「わかりました」
「さてと。鞘も神話生物絡みじゃったよ。その生物はどこにいるかはさっぱりじゃった。しかし儂に良いアイデアがある」
「ほほぉ?」
「どうやらこの剣、切れ味がいいだけではなく切れる位置がたまにずれるというふうに書いてあった」
「どういうことです?」
「原理はいまいちわからんがこれ以上の幅広の剣になるってことじゃの」
「何故か切れてしまうことがあったのはそれが原因ですかね」
「ふむ。そのため、まあ簡単に言えば鞘を大きくすれば納めることが出来るのでは、という案じゃ」
「ほほぉ、なるほど」
「それよりも問題は柄じゃ。お主が手に入れたドミクデヴァリウム全く加工ができなかった」
「それなら俺がやってみますか」
「ほぉ? 鍛冶をやったことがあるのか?」
「そこそこ」
「ふむ、ではお願いしようかのぉ。国中から鍛冶師を集めて挑戦していたんだがダメじゃった」
「それでは角を研究所に運び入れようかの。そのために人を集めてきた」
誰も近づかないよう、周りに人を配備し移動、無事研究所に剣を運ぶことが出来た。




