第四十七話 オリハルコンの巨人
「バキバキバキ!」
数本の木を踏み倒しながら、今度はアダマンゴーレムがあらわれる。
「次は私だね」
剣に魔法を込める、ほどなくして赤く発光。それと同時にミューのまわりは熱気に包まれた。
「プロミネンスブレイク」
炎の剣がアダマンゴーレムを襲う。
「ジュワッ!」
斬るというよりも溶かしたような切り口。それほどの高温がミューの剣から発生していた。
「グオーーーン! ドガシャーン!」
断末魔の叫びをあげながら崩れ落ちるアダマンゴーレム。こちらも勝負にならないレベルだな。
アダマンゴーレムはかなり強い。竜王よりちょっと弱いくらいだったはず。ミューはとんでもなく強くなっているな。
「ミューも余裕だな」
「ふふ、ありがと。でもサイモンには全く届く気がしないんだよね」
「はっはっは。とにかく修行してたとしか言えないな」
「聞いた限りじゃそうだけどさ」
「さてと、アダマン倒したし回収係に連絡するか」
その日は計十体のゴーレムを片付けて村へ。
「おー、すごい! ゴーレムコアを10個も。しかもアダマンも倒したのか!」
「いやいや、ハハハ」
「ご苦労さん、後はゆっくり休んでまた明日に備えてくれ」
「はい」
「もうちっとしたら飯だ、また後でな」
俺達は集会所を出た。
「……かなりの腕のようだな、あの新入り達。アダマンゴーレムをけしかけたが、まさかぶっ倒しちまうととは」
「逃げ帰るのを想定していたんだが」
「マジでどんだけ強いんだ? 今ここにいる戦力を結集しても倒せねえぞ、あんなの」
「しかしアダマンを持ち帰られるとなると大損だな」
「まあな」
「プランを変える。この後はアイアンやミスリル等安ゴーレムを適当にぶつけて一週間過ごしてもらおうか。そして最終日にアレをぶつける」
「さらに道を数体のアレで塞いで逃げられないようにしよう」
「おいおい、アレを使うのかよ」
「アダマン倒すくらいのやつだ、丁度良いくらいだと思うがな」
「そう、だな。それでいこう」
「クックック、事故ってのはどうしても起きちまうもんだからな」
「そういうことだ」
(やはり彼らが裏でゴーレムを操っていたか。ようやくしっぽを掴んだぞ。しかし、アレとは一体?)
それから約一週間ゴーレムを退治し続けた。
「おう、今日で最後だったな。いつものルートを頼む」
「よーし野郎ども! 出撃だ!」
討伐隊は山へ向かった。
「ドカーン、バキュン」
ファムはアイアンゴーレムを粉砕した。
「あれからアイアンとミスリルだけか。アダマンってレアなのね」
「そりゃそうだよ。国宝の剣になるくらいだからね」
「そうよねー」
「ドガーン」
山の方から爆発する音が聞こえた。
「なんだ?」
音がしたほうを見る。何やら金色で巨大な物体がこちらに向かって飛んできていることがわかった。
「突っ込んでくるわ!」
俺達は下がってかわした。
「ズドーーン!」
「なにこれ?」
金色の物体。見覚えがある、これはオリハルコンだ。
「グバーーー!」
俺に向かって高速のタックルで突っ込んできた。
「ドガン」
蹴りで弾き飛ばした。
「ゴーレムっぽいけど早さが段違いね。コイツは一体」
「ゴーレムの上位、巨人かな」
「巨人?」
「ゴーレムは普通その身の重さで動きが遅くなるんだけど特殊な魔法を受けたゴーレムは、重さに関わらず高機動になるらしい」
「へぇ、こいつはそんなやつなのね」
「ゴーレムと一緒で上位金属ほど強くなる。コイツはオリハルコンかな? だからかなりの強さだと思う」
実際コイツは強い。ウッドさんを越えるほどに。
「フフフ、ここは私に任せて」
「いいとも」
「私が倒してみせるわ!」
ファムが燃えているな。目の前には好敵手、戦闘民族エルフ、更には格闘家。彼女が燃えないはずがない。
ギリギリまで見守ることにした。
これより一時間ほど前。ベジタボ村付近の山。
「これじゃな。このオリハルコンにゴーレム化の術を使えと」
「ふぅ、我ら三賢者が使いっぱをすることになるとはな」
「なに、結構な額の金をもらっているしな。結局何を成すにも金よ」
「それはそうじゃがのぉ」
「とりあえず一体目、術を唱えるぞ」
「ジョターン、レームゴー」
「ジョターン、レームゴー」
「ジョタ、ハックション!」
「あ、魔力を込めすぎじゃぞ」
「すまん、くしゃみで魔力がドバっと」
「ちとバランスが悪いかのぉ」
「まあ儂らがあわせればいいさ」
「それもそうじゃの」
10分後。
「ちょっとおかしいかな?」
「ああ、魔力を込めすぎて違うもんになっちまったようじゃの」
「あちゃあ、これ巨人じゃないか」
『グォーーーン!』
「よし、逃げよう」
「それが1番じゃの」
「やれやれ、やっと手に入れた仕事が」
「また見つかるさ。羽振りのいい仕事が」
「そうじゃの」




