第四十四話 魔女の剣士
朝、宿屋の食堂で朝食を食べる。
「サイモンさん、お手紙が来てますよ」
「ありがとうございます」
宿屋の受付の人から手紙を受け取る。
「学園長からだな。「デラニウムが手に入った。明日からミューの剣の制作に入る」とのことだ」
「剣聖さんが来たってことだね」
「昨日はいつも聞かない音がした気がしたな。そのときに来ていたのかしら」
「かもしれないな」
「カチャン、リーンリーン」
宿屋の扉が開く音。白髪のエルフの男が宿屋に入ってきた。
「探しましたよ、王女」
「ジェイト! 元気だった!?」
「この方は?」
「エルフの国で最強と言われている人、ジェイトよ」
「こんにちは、サイモンです」
「ジェイトです」
「探していたって話だけど何の用?」
「そろそろ技術の伝達を」
「んー? でも、アナタに格闘技を教えてもらったことはないけど」
「ええ。師匠弟子、流派等関係なくその時代の最強のエルフに引き継がれていく技です」
「へぇ、そんな技が」
「私はもう750歳になりますから、王女に技術を伝えてそろそろ引退しようと思っていたんですよ」
「旅に出ていたのは予想外でしたけどね。いやーホント探しましたよ」
「あー、行き先を誰にも伝えてなかったね」
「どうします? 技の修行をしますか? エルフ族秘伝の技なのでしばらくは二人で修行することになりますが」
「大丈夫よ、教えてもらうわ」
「どのくらいかかりそうですかね?」
「ふーむ、一週間かからないかと」
「わかりました」
「そーいうことで修行してくる」
「何かあったときは宿屋か学園の方に連絡を入れておく」
「わかったわ」
食事を終えてから準備をした後、ファムは出発。
「いってくるー」
「いってらっしゃい」
ファムが出かけてニ日後。
「宝石が割れた」
「じゃあトマニクに行こうか」
「私一人でって考えたけど、そうだね、宝石持った最初の頃は無力になるからね」
「そゆこと」
「あーっと、ファムと入れ違いになる可能性が高そうだから宿屋に書き置きを残しておこう」
宿屋の受付に置き手紙を渡し、馬車へ。
「二人旅は久しぶりだね」
「最近はいつも三人だったな」
トマニクに到着。街から出て森にあるクリスの家へ。
「おー、早いわね。もう最後の宝石か」
「それで、コレは今までと違ってちょっと特殊でね。一日で割れちゃうんだけどかなりの疲労感があるから全く動けなくなるんだ。だから自宅か宿屋で一日中看病できる人付きが条件なの」
「俺が付き添うよ。場所は自宅があるからそこで」
「……サイモンならいいか」
「?」
「そう言えば温泉付きだったよね、羨ましい」
「契約する前に温泉に入ってく?」
「あ、そうする!」
「ははは、いつもお世話になってるしそのくらいは」
クリスを連れ、家に帰る。
「おほー、すごいね。あ、ホントに動物がいる!」
「運良く手に入ったようなものだけどね、この家」
「いやー、最高だったわー」
上機嫌のクリス。
「さてと、それじゃベッドの方で契約を始めましょうか」
ミューはベッドに乗り、いつでも寝られる状況を作った。
ミューに宝石を渡し、何やら呪文を唱えるクリス。呪文を唱え終えると宝石は赤く輝き始めた。
「契約成立。どう?」
「おぉー、凄いのが来た。これは確かに動けないね」
「そそ、だから一日サイモンに看病してもらって」
「ご飯とかは普通でいいのかな?」
「肉体にも負担がかかるから柔らかく消化の良い食べ物がいいかな」
「了解した」
「あ、もしかしたら熱が出るかも」
「ふむ、水とタオルを用意してくるか」
俺は部屋から出た。
「どう? 体の方は」
「確かに凄い疲労感だね。話はできるけど体はほとんど動かせない」
「グフフ、色々お世話してもらうことになるわね。お花摘みとかも」
「!? しまった!」
「ははは、いいのいいの、愛を確かめあってくれれば」
「いや、だからそういうんじゃ……」
「フルーツ持ってきた。二人共食べる?」
「いただきまーす」
ミューは体を動かせないようだから俺が食べさせた。
お皿の中の果物を食べ終えたところでクリスは帰る準備を始めた。
「それじゃー帰るね」
「いろいろありがとう」
「いいよー、元はサイモンに助けられたカタチなわけだからさ」
「じゃねー」
その後は一日ミューの看病。
24時間たったところで宝石が割れミューの体調も元通りに。
「あ、ありがとうサイモン」
「ほほぉ、魔力が上がった感じがする」
目に見えないが何かの威圧感みたいなものは感じた。
「うん、凄いよ。たしかに魔女並みになったかも」
「さーてまたドルンゴだね。出発は明日かな」
「うむ」
次の日、二人で王都ドルンゴへ。




