第四十話 世界制覇は目前に
「OK!」
即決だった。王の隣でソメノがうなずいている。
「良いんですか?」
「最近娘が世話になっているようだからな。それと国宝と言っても重要度は低い」
「と申しますと?」
王が指を鳴らすと兵士達が奥から数個の金属の塊を持ってきた。
「誰にも加工ができんのだ。とにかく固い金属、それがこのドミクディヴァリウムだ」
「しかも重そうですね」
「しかり」
なるほど、ドミクディバリウムか。ゲームではここから自分で鍛冶をおこなって武器を作る必要があった。
「2つほどいただけますか? 剣用と金槌用に」
「構わん。持っていくがいい」
「はした金ですが多少用意してあります。いかがでしょう」
「そう、だな。そこは適当に包んでおいてくれ」
「わかりました」
(父上)
(わかっておる)
「オホン、それで、だ。今日は酒宴を用意しようかと思っておるのだがどうだ?」
「いえいえ、そこまでしていただくわけには」
「わっはっは。気にせずとも良い」
ふーむ、相変わらず心が広い王だ。無理な注文をした俺に対して酒宴でもてなすとは。
「では後ほど」
俺は客間へ。
「クックック。行ったか」
「はい、父上」
「ふふふ、さすが我が娘よのぉ。そうだ、あやつをわざわざ敵にすることもない。味方にできるのならそうしてしまえばいいのだ」
「そうです。わ、私の夫にしてしまえばよいのです。そうすれば我が竜の国が世界最強になるでしょう」
「最初は迷ったが強い遺伝子が残せるなら問題はない。それに基本的に竜族の遺伝子が優先されるらしいからな」
「そうでしたね」
「後は父上がサイモン殿を酔わせてしまえば決着です。次の日に「昨日は私に……。責任をとってください」と迫るだけです」
「しかしサイモン殿はああ見えてお酒が強いようです。私もたまにご一緒しますが帰る頃になってもまるで酔った気配はないですね。そのあたりが少々不安材料でしょうか」
「任せておけ。それに一度でも俺が酒で負けたことがあるか?」
「いえ、一度も」
「究極の酒、『八首魔竜』を使う」
「あのお酒を!?」
「そう、伝説上の竜、八首魔竜。コイツは強すぎて倒せなかったためこの酒を飲ませて酔わせた後首を狩って倒した。それがそのまま酒の名前の由来となっておる。その酒だ」
「しかし、あのお酒は強すぎて、どんな酒豪でもコップ一杯程度でノックアウトだとか」
「俺は三杯飲んでも大丈夫だ」
「なんと。そこまでお酒に強かったんですね」
「ククク、『酒が強い』など大した自慢にもならんと思っておったが、まさか世界を支配するための切り札となる日が来るとはな。わからんものだ」
「遂に世界が我が手に!」
「サイモン殿が我が手に!」
「ワーッハッハッハ」
「サイモン様、こちらです」
竜人のメイドに今晩泊まる部屋に案内された。
「ほー、これは見事なお部屋ですね」
「一番良い部屋に通せとのお話でした」
「ははは、竜の王らしい」
夕刻時、ホールに呼ばれ王の言葉で酒宴が始まる。
「楽しんでいってくれ」
「はい」
「そうだ、良い酒があるんだ。一緒に飲まないか」
「喜んで」
目の前に酒が置かれた。ほのかに甘い香り。一口飲む、日本酒に近いだろうか? 日本酒で言うと辛口、しかし甘味、酸味、苦味のバランスが取れている。これは美味しいお酒だ。
「美味しいお酒ですね」
「そうだろう、そうだろう。どんどんやってくれ」
(フフフ、もう少しもう少し)
お言葉に甘え次々と飲む。王も合わせて飲んでいるようだ。六杯目を頼む。ホントいいお酒だ、おいしい。
「グ、グフフ。つ、強いねサイモーン……」
テーブルに突っ伏す王。
「父上ーー!!」
ホールに入ってきた兵士が王を連れて行った。ソメノもその後を。
ミューの言葉を思い出す。
「あなたってお酒が強いのね」
しまった。俺のペースにあわせさせてしまったのかも。美味しいからと調子に乗ってどんどん頼んだのはまずかったかな。右手をあごに当て俺は反省した。
「あ、気にしなくて大丈夫ですよ」
「そ、そうですか」
兵士の人が気を使って声をかけてくれた。
一夜明け謁見の間。
「昨日は申し訳ありません」
「ワッハッハ気にするな。いやーまさか腕もたつが酒も強いとは」
「おそれいります」
挨拶を済ませ城を出る。
「あ、私もついていきます」
ソメノが城から出てきた。
「はい」
「そろそろ敬語は」
「まあ、竜の国にいる間はね」
「そう、ですね」
帰りは竜人を集めてもらって飛んでいってもらった。
「ありがとうございます」
「ハッハッハ、運賃は取るんだから気にするな」
トマニクに到着。
「おかえり。あら、ソメノも一緒なのね」
「温泉にはいりたくて」
「フフフ、わかる」
ソメノは温泉にはいり、一泊して帰っていった。




