第三十七話 鉄の園
後ろについて歩き学園の中へ。しばらく歩き応接室へと入っていく。
「では改めて、儂はこの技術者養成学園、鉄の園の学園長、ジェロイド・ディーじゃ」
「サイモンです。よろしくおねがいします」
皆挨拶をする。
「ささ、座ってくれ。とりあえず手紙を読ませてもらうぞ」
コスラさんの手紙とリテン王の手紙を読むジェロイド学園長。
「ほほぉ、あの放蕩王に気に入られるとはな。ああ、昔はやんちゃなやつじゃったんじゃ。今はまあまあの王じゃがの」
王とは昔から付き合いがあるのかな? 色々と知ってそうだ。
「ふむ、手紙の内容、理解した。君達は装備を新調したいとの話じゃな。我が学園が全面的に協力しよう」
「ありがとうございます」
「と言ってもうちで何が出来るか知らないじゃろうから説明からじゃな」
「はい」
ジェロ井戸学長がこの学園について話をした。
要約すると鍛冶、裁縫、彫金等、未来の職人達を育成するためと装備品の研究をするための機関だという話だ。
「君らにとっては装備品の研究機関が重要になるじゃろう。ここには世界最先端、最高の技術が結集しておる。実はここの研究チームの一つがブレイドを作ったんじゃ」
「ここで作ったんですね」
「そこの二人は身につけているという話じゃな」
「はい」
「さて、説明は終わりじゃ。今度はそちらの要件を聞こう」
それぞれが欲しい物を学園長に伝えた。
「ふむ、話はわかった。ではサイモンから」
「残念じゃがオリハルコンの剣を超える大剣は現在作れない。オリハルコン以上の素材がウチにはないんじゃ」
「それなら仕方ありませんね」
「おっと、早合点するな。オリハルコン以上の金属ならある場所は知っておる」
「おお、それはどこです?」
「竜の国。あそこにオリハルコン以上の金属があるとの情報じゃ。まあ、違う種族じゃから難しいかもしれんが」
「わかりました。知り合いがいるので聞いてみます」
「ほほぉ! 顔が広いの。ではその件は任せた」
そこの王様と拳を重ね合ったんだけど言っちゃダメだったな。
「防具は研究所に詳しいやつが居る。後でそっちに連れて行く。ということで次はミュー」
「うちの研究では魔法と相性がいい金属の中で、一番良いものはデラニウムだと言われている」
「聞いたことがない金属ですね」
「最近見つかった金属じゃからな」
「どこにあるんですか?」
「剣聖が持っておる」
「ほう?」
「正確に言うと剣聖の魔力を大体1年間受け続けた金属、鉄がデラニウムになるようじゃの」
「剣聖、ですか。人類最強とは聞きますが何者です?」
「ミュー、お前さんは魔法と剣を同時に使うと言っておったの。彼も同じく魔法を使う剣士じゃ。ただ魔力が他のものとは桁違いに多いのじゃ」
「その魔力は魔女をも超える。岩山を一刀両断など朝飯前じゃの」
「とんでもない人がいるんですね」
剣聖。ゲームには出てくるが戦わないため強さがわからない。ラスボスには勝てないと言っていたからなんとか勝てるとは思うが、絶対に勝てるとは言いきれない。話を聞く限りはこの世界では人類の味方のようだが。
「そろそろ持っている鉄がデラニウムに変化する頃だと思う。こちらに寄ってくれると思うんじゃがいつになるかはわからんな」
「常に鉄を持って歩いているんですか?」
「鍛えるのに丁度良いとか。これはブレイドにも使われているんじゃよ。というわけで剣聖待ちじゃな」
「次はファム。武器はいらないとの話じゃがグローブ、手袋を使うという手もある。素手と同じように叩いて、掴んで、殴れる。利点としては多少魔力量が上がるものがある、といったところかの。まあ、ここらは趣味の話じゃがの」
「もしグローブが欲しくなったら研究所で相談してくれ。多分すぐ手に入ると思う」
「わかりました」
「後は防具じゃな。研究所に向かうかの」
ジェロイド学園長とともに研究所へ。中に入ると金属同士を激しく叩いたような音、鼻をつんざく匂い、目にくる煙。
「わっはっは、ひどい環境に思えるかもしれんが慣れじゃよ慣れ。むしろここに住みたくなるほど癖になるものも居るぞ」
簡単に研究所の紹介をしながら内部を歩く。
「お、いたいた」
「おや、学園長。その方たちは?」
「装備を新調したいんじゃと。王から優先してやってくれと手紙も来ておる」
「なんと」
男は手紙を受けとってうなずきながら読んでいる。
「了解しました。ここへ来たということは防具関連ですね?」
「そうじゃ。じゃあ後は彼と相談してくれ。終わったらもう一度儂のところへ来てくれ」
「わかりました」
手を振りながら研究所から去るジェロイド学園長。
「さて、改めまして鉄の園研究所所長、モール・ゴースです。よろしくおねがいします」
「サイモンです、よろしくおねがいします」




