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結婚式は小さな教会で行なうことになった。
ルーカス様は大々的な結婚式にしてはどうかと進言してきたけれど、大規模な結婚式では自由が利かない気がしたから遠慮をしておいた。
「本当にわしで良かったのかい?」
「良いから頼んだに決まっているじゃないですか」
私がそう告げても店主――もう魔女の薬屋は畳んでいるけれど――は納得をしていないようだった。
しかし店主は納得していないものの、ここまで来てくれたのだから、あとは押せば行ける。
「バージンロードはお世話になった人と一緒に歩くものですよ」
「しかしお前さんの本当の親はまだ生きているだろう?」
「ええ。きちんと両親も呼んでいますよ」
私を家から追い出したとはいえ、両親にはアレクシス・ラミレスと結婚するまで育ててもらった恩がある。
さすがに結婚式に呼ばないのは子どもとして薄情すぎると思ったのだ。
「そうではなく。隣を歩くのは本当の親の方が良いんじゃないかねえ」
なおも心配そうな店主に笑いかける。
「両親は前回の結婚式でエスコート役を体験しているので、もう満足したと思います」
「エスコート役は満足したか否かで決めるものでは……」
「私の結婚式なんだから、少しくらい私の好きにしてもいいんですよ!」
そう言って私は立ち上がった。
そろそろ入場の時間だ。
「これは、少しくらいの範疇を超えていると思うがねえ」
「細かいことはいいじゃないですか。今日はめでたい結婚式なんですから!」
私がウェディングドレスをふわりと舞わせながらそう言うと、店主は仕方がないねえと肩をすくめた。
「もちろんルーカス様の承諾は取ってあるので安心してくださいね」
店主の手をとり、結婚式会場へと歩を進める。
「さあ、行きましょう」
会場のドアを開けると、真紅の道の先にはエマと手を繋いだルーカス様が立っていた。
一歩一歩、踏みしめるようにバージンロードを歩く。
目の前には、私の掴んだ運命が広がっている。
了




