第二話 <<美しい毒華>>
遅くなりました。あと、今話予告がありませんでしたね!
よく考えると、盆の時期に殺しのお話はよくないと思い直しまして、修正に修正を重ねたスーパーマイルド版です。そのため、普段より分量は少ないので、その辺は……ごめんね☆
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その電話の報告があったのは、運営開始から約三日後のことだった。
先輩、説明プリーズ。
「はい。システム稼働から、世界の胎動から二日が経った頃、私の元に一本の電話がありました。
「なんでも、クラン__つまりは三、四人で一時的なチームを組むあれですね。__の中に潜んでいたPKに殲滅された。別の人々からもそんな話を多数聞いている。さっさとログイン停止しろ。などと、まあこちらとしては荒唐無稽な話を聞かされました。
「もちろん拒否しましたとも。
「まずもって、このゲームではPKを禁止していませんしね。
「……それに、向こう側からの明確な悪意も感じ取れましたし」
そうそう。そんでクソメガネに頼んでコイツらの話の裏取らせて、しつこいソイツらに懇切丁寧に一から理由まで説明して、お引き取り願ったわけだ。
しかしまあ。ソイツらの話に出てきたPKは確信をもって特定できたもんで、俺たちはソイツにメンドクセー仕事増やしやがって、と呪詛唱えてたわけだ。
「そんなことしてませんよ、あなた以外」
いやいや、そこのそいつもしてるぞ。
……な、地雷?
「そうなんだぜー。あの女郎に、舞夢ちゃん激おこなんだぜー。私怨入りまくりの、超怨恨なんだぜー」
いやいや。私怨入ってちゃあ、ダメだろ。俺は言えねえけど。
まあ、あんま関係ねえだろ。ちょっとイベント会場でブラックリストで確認しててコイツかな、って奴いたから本気で本気を煽っといたけど。
「いやいや、関係させまくりだぜー」
おうおう、俺に関係させるだなんて、そんな大層なやつなのか?俺が事前にブラックリストで確認した限りじゃあ、普通だと思ったけど。
「それ、あなただけだと思いますけどね……」
先輩のツッコミは的確で鋭いねー。効かねえけど。
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No.10000『スイートピー』は所謂PKである。彼女について語りたければ、fps一強時代より前、ゲーム黄金時代と呼ばれていた時代にまで遡らなくてはならない。
かつて、彼女は『メルヴィ・オンライン』と呼ばれるMORPGにて、一日に一千人のプレイヤーたちを一人で葬ったと云われており、その逸話は寸分狂わず事実なのであった。普段はそんな素振りを見せずに、しかし戦うその一瞬だけで確実に相手を葬り去る姿は、まさしくスイートピーの毒性のようだと、恐れられていた。で、そいつは地雷のリア友さんなわけだ。
……なるほどねぇ。
と、そこまで聞いて、ようやく納得できた。こりゃあ面倒なことになったぞ、と。いや、面倒なことになった理由が明確になったのか。
つまり、PKで殺されるような情けねえ奴が多かったから、経験値がほぼ白紙に戻っちゃったわけか。
「そうですね。PKが、彼女がプレイしてくれることは分かっていましたけど、しかしその影響力があそこまで広がるとは……」
まあまあ、俺たちに言い訳は似合わねえって。実力主義でなんでもありな世界に、PKの一人や二人、人口の半分は全部くらい減らされても、そんだけ強くなって、そんな世界になったって、それだけなんだからよ。
「それだけ、って……」
しかしまあ、先輩もそんなこと言いつつも、アプデとかするつもりもなさそうだし、解決解決。
「いやー、あいつは、それくらいじゃ、止まらないけどなー」
ありゃりゃ。毒華ちゃんのお友達がなんか言ってる。そんなに気にすることかね?
「だってー。あいつ、異分子くん第一号とも応戦中だしー」
は!?応戦中っ、だと!?
……そうかそうか。そういうことかよ。
でもまあ、異分子くんレアモンの「モンちゃん」倒せたくらいだし大丈夫っしょ!
「いや、ごぶごぶ……かな」
まじかー。でもな、一人に肩入れしちゃダメだしな。
よし!両方殺すか!
「どうしてそうなるんですか、あなたは?」
え?前から異分子には一旦死んでもらうつもりだったし。
「怖いなー、読点使ってないところが、さらに怖いなー」
オメーの地雷感満載の喋り方の方が怖えよ!なんて、俺は突っ込まなかった。実に成長が感じ取れるぜ。あんまし成長が早かったら、火星くらいまで行っちまうかもな。
と、本気な冗談はさておきってことで、俺はモニターに映るウタノとスイートピーの戦いを高みの見物とさせていただく。
その戦いは圧巻と呼ぶ程度には洗練されたものだった。おそらく、電脳世界に入って四日程度の人間がしてはいけないものだろう。明らかにレベルが違う。
しかも、恐らくウタノはゲーマーとして、スイートピーの……名前呼びにくいな、本名プリーズ。
「遠藤静雅」
……ああ、スイートピーってそういうことかよ。よし決めた。あだ名は遠ちゃんな。閑話を続けよう。まずは異端児くんことウタノから。黄金色の少し長めの髪に薄い翡翠色の瞳、現実準拠なのか結構童顔気味のイケメン、っぽいかな。この間のレアモンスター倒したときの経験値で手に入れたっぽい__なんか強そう。加速系かな?__スキルとか使ってなんとか凌いでるっぽい。ちなみに武器は早くも初心者用から一新してそれっぽい連射特化の弓を装備してる。なんつーか、一発一発はホント牽制程度にしかなんねえわ、コレ。矢も結構なお値段するってのに、その辺は割と浪漫に身を委ねてんのかね?
「いえ、彼は矢を番ってませんよ」
ん?あぁ……へぇー、面白ぇことすんじゃん!今どき結構珍しいんじゃねえかなー、ここまで浪漫求めちゃってる夢見るゲーマー。
「ホントだよー。最近もっぱらお出しされたモンに夢見れない、小賢しい虫ケラくんが量産されちゃってさー。あれだよねー、ヒル○ワチルドレン(笑)とかねー」
おい、神聖なる戦闘の最中に茶々入れんじゃねえよ。
「分かってるんだぜ」
まあいい。昔の俺だったら三十発くらい殴っちまってたかも知んねえけど。
まあ、異分子くん第一号ことウタノはそんな感じで、遠ちゃんに話を移すと、まあなんて云うか、真っ黒な姫カットに真っ赤な瞳で、超怖ぇし、武器がタガーナイフは流石に予想外だぜ。
「あの女郎ぅ、あれしか使わないんだぜ。まったく舞夢ちゃんも困っちまうんだぜ」
だろうなぁ。というか、あの動き完全にアレじゃん。現実でもナイフ振り回してねえと、なかなか出来ねえだろ。
へー、そう考えてみっと電脳寄りの異分子くんと、リアル寄りの遠ちゃんって感じで面白い具合に戦ってくれてんじゃん。
まあ、いまどっちも死んだけど。
「あれ?一号くん、あのスキル使わなかったんですね」
あのスキル……?
俺は感想戦に入ろうとした段階で、先輩の発言に思考を止めて振り返る。ああ、コーヒーサンキュ。
……そういや自分で自然に使ってたけど、スキルってなんだ?
「説明しますと。
「……紀埜の趣向によって魔法の意味が序盤は薄れてるじゃないですか。
「ですから、ならいっそ魔法なんて意味ない状態にすればいいじゃないか、という判断を独断で下した人がいましてですね。
「それで魔法より便利で応用の効かないスキルって便利なものを導入したんですよ。
「ちなみにこれは三度目の説明ですし、一度目の説明以降は紀埜、明らかに分かっていて聞いているような節があると思うのですけど」
いやいや。その通りだけど。
俺は異分子くんの使わなかったスキルへの興味を失い、再び感想戦へと興じる。
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感想戦。
まず、遠ちゃんの背後からの奇襲を異分子くんの第六感__俺にも判別つかねえからとりあえずそう思っておく__によって神回避によって首の皮一枚繋がった状態から始まった。とりあえず俺ならそのまま鳩尾に蹴りを入れて終わり、だけど、俺が異分子くんの場合は恐らく魔法弓(仮命名)によって後ろに下がるかな。
ま、結果として異分子くんは転げ、遠ちゃんはナイフの三連撃を放っただけに終わったのだが。いやー、アレ多分三連撃のなんか、スキルみたいなの使ったよなー。リアルスペックだけで戦えとは言わねえけど、ちと残念だわ。あそこは一発で済んだってのに。
まあ、そっから、体制を立て直そうとする異分子くんに向かって遠ちゃんは投げナイフの要領で投擲。異分子くんの体制が立ち直るのをコンマ02秒くらいは遅めたんじゃねえかな。
んでもって、そのまま別のナイフで突きを放ったものの、流石にリーチ差で押し切ろうと考えたんだろう異分子くんの魔法弓によって足止め、そのまま膠着状態に、って感じだ。
そのあとは消化試合だったな。システムの都合上さっさと終わらせねえとマズい遠ちゃんと、時間切れを狙う異分子くんの、しょうもねえ鬼ごっこが始まって、魔法弓と武器である弓の特殊効果使って空中を逃げ回る異分子くんに、愛想を尽かしたのか遠ちゃんが渾身の一撃を放って、異分子くんは間一髪……死んだ。そんでもって、PK専用ルールによる時間超過と、魔法弓を放ってた異分子くんによって遠ちゃんもまた死んで、相討ち。
ガチでしょうもねーもん見せやがって。ぶっ飛ばすぞ。
ってことで、次PKしたときは、システムの使用上仕方なく、本ッ当に仕方なく縁ちゃんをぶっ飛ばすことになりましたー。
んで、それがいま。
よぉー、こないだはしょうもねえもん見せやがって。ぶっ飛ばすぞ!
「……望む、ところですッ」
改めてコイツは本当に戦闘狂すぎると思う。こんなに好戦的にテンション高くしておしおき用の存在である俺に向かってきた奴いねーもん。テンションフォルティッシモかよ!
いやー、でも勝てるしなー。
ダガーで向かってくる遠ちゃんに、俺は「あくまで装備品の」ピンヒールでハイキックを放って、スタン状態__えっと、つまりは脳震盪を起こした状態__にする。
遠ちゃんの顔面が醜く歪んでるが、残念ながら甚振るのは趣味じゃねえんだよ。嫌がらせと痛がらせは趣味だけどな。
はいつーわけで、ちゃんとした意味のある仕様になっているピンヒールで足蹴にするという状態で放置して、遠ちゃんを強制ログアウトさせる。
と、こんな光景がネット上のアホどもに見られたわけだ。嫌になるぜ、本当に。
……文句か称賛かどっちかにしやがれっつーんだ、このクソ野郎ども!全員まとめてぶっ飛ばしてやろうか!
誤字脱字誤植修正その他意見感想などあれば、感想欄から教えていただければ嬉しい、かな!
次回予告
燈:何々?……めんどくせーから省略?そりゃありがたいぜ!
先輩「そんなこと書いてないですよね!真面目にしてください!」
燈:真面目……何それ?
次回:<<現金な鬼>>




