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第一話 <<ゲーム・スタート!>>

短めですが、読んでいただければ嬉しい限りです!


読者の皆さんへ

まずは読んでくれて、ありがとうございます。

あなたたちのような読者を大切にすることを、面白いと思ってもらえることも第一に、これからも執筆頑張っていきます。

それから、ブックマーク・評価していただいた方へ

ほんとにありがとう!ぼくはほんとに読者に支えられています。これからの執筆の励みにさせていただきます。なにかと至らないかもしれないけれど、これからも応援してください!


::

ぼく、京都悠太朗(みやこゆたろう)はゲーマーだ。生粋かつ日本のアマチュアの中ではトップランカーと自負できる程度には。あるいは、アマチュア世界でしか気取れない、世界に気取られすらしない程度の。

「そんなに卑下してどうするのよ、ウタノ。あなただって私だって同じクランで戦って()()仲間じゃん」

ぼくのことをキャラネームで呼ぶ、中二からの厨二な付き合いしていた、黒歴史を共有した数少ない友人の少女、いや。美少女の槇村真江(まきむらさなえ)はこんなことを言ってくれるけれど、しかしプロから声が掛かることも、一部例外を除いてなかったことも確かだし。何よりも、ぼくらはぼくらだったからこそあの戦果を残せたのであって、ぼくがもし他の誰かと戦っていたりしたら、運が良くてもアマチュア中堅にも届かない程度に終わっていただろう。

「じゃあ、さ……。そこまで言うならさ、私たちまた寄りを戻すの?今回で」

ぼくとしては願ってもないのだけれど、いや。ゲームの中にまで痴話喧嘩を持ち合わせてくるようなあの二人を、このまま許すのは業腹だし、願い下げだ。

「なら、どうするの?」

「どうしたもんかなー。今回でメンツ変えるかなあ?」

確かにあのメンバーは最強だ。最凶だったし、最狂だったが、それでも強かった。ぼくの到達点の形と言っていいだろう。でもなー……。

「まあ、火力の面で真江はスタメンになるけど……そもそも真江以外のメンツのリアルなんて知らないし。どうする?一回組んでみる?」

「い、嫌じゃないけど……とりあえず手を離そっか」

おっと……。なぜか知らないが、考え事をしていると良く分からない行動に出てしまう癖があるようで、基本的に最善手を打つからまだしも、たまに本当に迷惑をかけてしまうから申し訳ないじゃ済まない。

「ごめんね。……またやっちゃったな」

でもまあ、同じように左手で、最善手を打っていたのだろう。それは、ぼくにしては珍しい、考えているゆえの無意識の一手なのだろう。

「それじゃ……」

「ああ……うん」

「「ゲームスタート」」

ぼくたちは最新型の、最新鋭のVRゴーグルを装着し、仲良く意識を手放した。


::

バイクで駐車場に乗り込んでやれば、なぁんか周囲からの視線を感じるぜ。おっかしいな……。なんで俺に視線を向けてくる奴がいんだ?

「当たり前でしょう?あなたのバイク目立つんですよ」

ん?別に市販品だしそんな珍しいもんでもねえだろうに。あ、もしかして俺のこと無免許運転だと思ってんのか?失礼な奴らめ。

「あったりめーだろう!オメーが昔無免許ならなんでも乗れる発言したからこうなってんだろうに。ぶっ殺されてーのか!あアン!?」

うっせーんだよ、女子中学生!それに、俺は別に無免許運転ならなんでも乗れるなんて言った覚えねえよ!宇宙飛行士じゃねえが、宇宙船までなら多分運転できる、って言っただけだ。

「この地球(ほし)じゃ同じことなんだよ!その発言はよぉ!」

同じじゃねーよ!俺自転車乗れねーし。

「はあ!自転車乗れないの!?笑わせないで!」

んだと!……三人乗りの後ろくらいしか乗ったことねえんだよ。経験不足だ。というか、何でキレてんだよ。

「……ちなみに宇宙船は、どうなんだよ!」

それは、

「ちょっと二人とも。部屋過ぎてますよ」

あー、ごめんごめん。

俺たちは雑談を終えて、先輩に続いて部屋に這入る……。いやー、久しぶりに薄暗いジメジメしたデスクに帰ってきてみれば、なんだかんだ忙しそうにやってんじゃねーか。関心関心。

それで?No.00001の接続から一時間経過した現在の様子はどんなもんなんだ?

「えっと、現在同接13221人、平均レベルは……三十分で4、ですね」

おう、先輩サンキュー。にしても、三十分で平均レベル4はちと低くねーか?俺の、と言うよりチームの見立てじゃ、平均レベル6くらいが目安だったんだろ。

「誤差だろ!レベルの差異2くらいでごちゃごちゃうっせーんだよ!」

オメーは黙ってろよ女子中学生!……そんで、先輩としちゃあ、どうなんだよ。

「うーん……。誤差、だとは思うんですけどね。同接数は想定より結構多いくらいですし……。まあ、紀埜があんなことをしなければ、もう少し増えたかもしれませんが」

いやいや。アレでいいんだよ。オメーだってこのゲームにあんだけ情熱(プライド)かけて、ガチ勢が増えてくれりゃ嬉しいだろうが。

「そりゃ、そうですけ、ど……!」

お、どした?いい感じの奴でも見つけた?それともイケメンに惚れ込んじゃったか?ま、そんなタイプでもねえか。

「アホ!そんなこと言ってる場合じゃありませんわ!いきなり不正ログインしてるプレイヤーがいるじゃありませんの!」

ああ……そういうことか。なるほどねー。つまり、同接数と画面内に映るプレイヤー数が、明確に合わねえってことだろ?

__おいクソメガネ、そいつの特徴教えやがれ。

「ええと……一応男性プレイヤーのようです」

オッケー。先輩、警告は?

「抜かりないですよ。十分前には終わらせてあります」

ナイスだぜ、先輩。

「私の創った電脳空間に堂々と蔓延ってる害虫ぶっ飛ばして!さっさと終わらせて来なさい!」

はいよ。女子中学生のお嬢様……!

俺はリーダー席に座って特別製のVRゴーグルを装着すると、ゲームスタートの声で浮遊感と共に電脳世界へと沈み込む……。

……そんじゃあ魅せてやりますか!俺の実力!

そんで待ってろよクズが。本物の理不尽ってヤツをとくとご覧に入れてやるからよ!


::

何度味わっても慣れない電脳世界への突入の感想はいらねぇな。ステータスは……相変わらず「現実世界」での数値そのままかね。

俺は確認ごとをさっさと手短に済まして、不正プレイヤーをぶっ潰すことにする。

『紀埜。不正プレイヤーは八時の方向に少し進んだところにいます』

了解、と。

俺は脳内に直接話しかけてくる先輩の声に応答しながら、言われた座標へと、ひとっ飛びで移動する。

よぉ、オメーがクソ野郎かあ。

「んな、お前どこから!?」

そんな、よく分かんねえ質問してくんじゃねえよ、ったく……俺はムカつく目の前のクズの質問に完全無視をかましつつ、手短に要件だけ鉤括弧を使って切り出す。

「テメーが不正アカウント使ってプレイしてんのはネタは上がってんだよ。

「……それとも何か?現在(いま)はお仕置きシステムであるこの俺に、勝てるとでも思ってんのか?あアン!?」

俺の剣幕に怯んだのか、恐らく現実世界の身体情報をほとんどそのまま使って構築しているだろう、その醜い顔面を、さらに醜く歪ませて一歩下がる。

……ったく、張り合いのねえクズだなー。

「お、お前が何者かは知らんが、お前が俺に勝てるという道理もないだろう!お仕置きシステムだが何だが知らんが、お前が何度俺を殺したとしても、仮にアカウントを停止しても、俺は別の抜け道から入ってくるまでだ!」

……あーあ。コレはダメだな。

大体、抜け道を探すよりも、普通にプレイした方が絶対いいってのに。俺、壇上で注意までしてやったってのに。まあ、そんだけこのゲームにこだわってくださる、クズに免じて、一生ゲームできないの刑で赦してやろう。

__じゃあな、クズ。

俺は今更戦おうとする男の脳天をぶっ飛ばし、電脳空間に漂うデータを視認して、電脳世界からおさらばした。

ま、一人俺のこと見てる奴がいたが、多少ネットで話題になる程度でそこまで大事にはなんねえだろ。

よっしゃ。終わったぜ!

「お疲れ様です、リーダー」

クソメガネじゃん。柄にもなくお出迎えか?

「乙彼じゃん!」

お、地雷じゃん。元気してたか?

「爆発物に元気は、おかしくないかー!」

まあまあ。……そんで?

俺はゴーグルを外して、先輩以外が揃っている部屋を見渡し、問う。……別に、こんなことにならないとも、思ってはいなかったんだが……つまりは可能性くらいは考えてたが。俺は鉤括弧をつけて、威圧する。

「オメーら、なんか隠してんだろ」

「……」

別に、チームの奴らの考えることくらいこちとらわかってんだから、話してくれれば別に良かったんだけどな……。いやいや、何で口つぐむんだよ!

俺は一つ息を吐いて、なんでもないように、立ち上がるようにして机の上に立つ。別に必要のねえデモンストレーションなんだが、ちょうどいい。

オメーら、俺もゲームも舐めてんの?


::

なんて、ちょっとした冗談のような笑えない話が始まってしまった。

俺としては、ちょっとした質問のつもりだったんだが、いささか無理が祟ったのか結構な論争になっちまって、気づいたら先輩帰ってきてるし、日付変わってるしで。

まあ、アイツらのやりてえことは理解したし、俺もそれ了承した。終わってしまえばなんてことのない、なんでもない話だったわ。メンドクセーから語んねえけど。

大丈夫大丈夫。そん時が来りゃあ、軽く話して、軽く見ず聞かずで水に流すつもりだし。

……てなわけで、超微妙な雰囲気になっていた俺たちだったが、論争もこれで終わりってところで、面倒な案件が降ってきやがった。

……なんだよ!メンドクセー!

それは、限りなく面倒な話で、まだ一日も経っていないというのに、ソイツは現れやがった。

「来ちゃいましたね……絶対にありえないはずのタイミングで単独でレアモンスターを引いてしまう……いえ、惹きつけるプレイヤーが」

ふーん。で?なんて名前のヤツなの、ソイツ。

「……えっと、個体番号No.13220。キャラネームは『ウタノ』です」

ヒューヒュー、結構なイケメンじゃん、多分。まあ、俺の中にはカッケーとかくらいの認識しかねえんだけどな。

んで、コイツが俺の残業を増やしてくれる、異分子くん第一号ってわけだ。舐めてるよなー。いや、舐めてねえからこそなんだけど。

かと言って、コイツが死んで、あるいは勝って、はい終わりじゃねえんだよなー。……面倒な話だ。死ぬ気で遊んで貰ってる身としては、何も言えねえんだよなあ。

その日、俺らの予想通りに、あの『ウタノ』というプレイヤーは単独でレアモンスターに勝ち切ってみせた。正直、想定内ではあるが、面倒なことに変わりはねえ。何せ、これを皮切りに、世界の胎動が活発化しだすと思うと……ゲーマーって、ゲーム運営って、業が深いぜ。

だがまあ、アイツが動いてくれたおかげで、一週間でサービス終了を迎える展開だけは回避できたと思えば、有り難いんだがな。

俺はその後も、その少年プレイヤーに、現段階では想定の一番外側を走ってくれる異分子第一号くんと呼んで、世界の存続を託すことにした。


::

それが功を奏したって感じになんのは、もうちょい先なんだが……。まあ、俺が世界に対して依怙贔屓しまくった結果、という感じも否めねえな。

そんでもって、未来ついでに、だが。想定通り、予定調和的に……いや、期待通りに、彼女の登場を迎えることとなるのだった。というか、他ゲーでPKしまくって、俺んとこにも危険人物として情報来てたから、イベント会場でなんとなくわかって激励しといたからな。逆にアレで来ねえなら、こっちとしても願い下げだぜ。

そんな濃いメンツとの直対面ってのも、もうちょい先のお話。


……ハッハー!オメーら期待通りじゃなかったら、ぶっ飛ばすからな!

んじゃ、俺はそん時まで寝てるからー。先輩、あとはよろしく。

誤字脱字誤植修正その他意見感想などあれば、感想欄から教えていただければ嬉しいです!

次回、明日更新です。

では、改めて応援よろしくお願いします。


次回予告

地雷「なんか、知り合いのPKが登場するぜ!」

JC「……それだけ!?もっと何かあるでしょう!ただでさえ場面転換の多いってのに」

地雷「……?燈ちゃんが暴れるぜ!」

JC「暴れてなかった瞬間がなかったでしょう!」

燈:オメーなに言ってやがる!

次回 <<美しい毒華>>

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