久しぶりにお嬢様三人は集結する。
「春斗、いらっしゃーい」
「お邪魔してる」
「隣の部屋から私も来ましたわ!」
全員集合してる‥‥‥
「露骨に嫌な顔をするのは、酷い」
「ここは私の家ですわ!」
そういや一応瑞季の日なんだけど、お金はどっちから出ているのだろうか。
「三倍疲れるのに変わりはないから」
「‥‥‥直球」
「真っ正面から言われるとは思いませんでしたわ」
「春斗って結構ズバズバ言ってくれるんだね」
「告白は長い間言えてないのに」
「うるさいなぁ!」
もうこの時点で普通より疲れてます!
「いやまて、楓がいるから‥‥‥」
「おサボり、厳禁」
「いやぁぁぁ‥‥‥」
「夢、夢ですわ‥‥‥」
《悲報》勉強をサボっていたことがばれる。
「それじゃ、任せた。早めに思ってこれるように努力はするけど」
「任された」
その後ろがかなりうるさいけど、気のせい気のせい。
「出来るだけ、進める」
「楓ちゃん‥‥‥酷いよ~」
「サボった、罰」
「だって、春斗と一緒にいたかったんだもん」
「だったら早めに終わらせる方が正解。後は、春斗君に教えてもらうとか」
「‥‥‥思い付きませんでしたわ」
二人とも何処か残念だとは思ってたけど、こういうところ。
三時間が経過。
人の集中力って一時間も持たないって聞いたことあるけど、どうなったかな。
「ただいま、それ以外の仕事は終わらせたから、後は、各部屋位しか、仕事は残ってないけど‥‥‥」
「おかえり、春斗君」
部屋にいたのは、楓だけ。
「他の二人は?」
「汗だくになってたからお風呂、私は春斗君を待ってた」
「別に行っても良かったのに」
「春斗君に頼むべきことがあるから」
無茶ぶりだとは察していたのだが、その通りだった。
「あ、春斗来た!」
「春斗様、こちらですわ!」
ああ、嘘であれ。
大浴場。
俺こそ腰にタオルを巻いているが、横にいる楓は巻いてない。
普通は逆だろうに。
「マナー」
「知ってるよ」
洗ってから入るのが普通なのはわかってるんだけど、楓以外の二人の行動がわからない。
特に目の開けられない頭を洗っている間は特に。
ほらぺたぺたと‥‥‥
「聞こえてるぞ」
「あ、ばれた?」
「しかし」
「無防備なのに変わりありませんわ!」
「おい、やめろ、どこ触ってるんだ。くっそ、シャワーはどこだ」
「私が持ってる」
「返してくれ‥‥‥」
やっと目が開けられる。
長い時間暗い景色が続いてたから眩しい。
「‥‥‥当たってる」
「当ててる」
「あー、ずるい私も!」
「私もやりますわ!」
やらなくていいから、早くどいてくれないかな。
「少しは大きくなった。自信ある」
「流石にそこまでじゃないとは思うよ、楓ちゃん?なんだったら私も同じくらい大きくなってるつもりだから!」
「大きさなら負けませんわ!私が断トツですから!」
俺を挟んで争う必要あります?
もうちょっと場所考えてくれると嬉しいなぁ。
なんて言葉は言えずに口論を聞き続けるしかなかった。
「風呂ってこんなに疲れるものだったっけなぁ‥‥‥」
いつもは回りにいたのはじいさんだけだったから疲れるわけがないか。
そして、洗う側から現れる側になるとはおもわなかった。
「そういえば春斗いつぶりのお風呂?」
「確か、一昨日には入ったけど」
「一応聞くけど、亜季ちゃんとかも?」
「そうだけど」
なんか露骨にアワアワしだしたんですけど。
‥‥‥その電話はどこにつながってるんですかねぇ?
そんでもって外が騒がしくなって車が出動したんだけど?
「何したの?」
「妹ちゃんの回収!この暑い中毎日入れないのは駄目!絶対!」
「は、はい‥‥‥」
車が戻ってくるまで約十分位。
「なんで呼ばれたのかな‥‥‥私。」
「‥‥‥」
雪は自分とサイズの変わらないぬいぐるみを抱えて震えている。
そりゃ突然連れてこられたら、ねぇ?
「今日は春兄ここだったんだ。お疲れ」
「まだけっこうな時間残ってるけどな」
「二人はこっち!一緒にお風呂入ろう」
「‥‥‥私そのために呼ばれたの?」
「正解!さあ、行こう!」
「‥‥‥これってなんの罠ですか」
外堀を埋めに動いたのかな、とか思ってしまった。
瑞季の頭じゃ多分そんな深いことは考えてないと思う。




