表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/71

二人目は押しが強い。

今回も少し長めになっております。

修正しました。

「おはよう。瑞季ちゃんは一緒じゃないの?」


校門の前に楓がいた。


「風邪だって」

「じゃあ、お昼の春斗君予約」


楓は俺に体を密着させてこう囁いた。


「ドキドキさせてあげるから」


既にドキドキしているんだが、口に出したら負けだろう。

ゆっくりと楓を引き剥がす。

これ以上くっついていられると理性が持たない。

場所とか視線とかではなく楓が凄い。

女子ってなんでこんなにいい香りがするのかわからない。あと、なんか色々と柔らかい。


「もう良いの?」

「視線とか場所を考えてくれ」

正論を言い訳にさせてもらおう。

「じゃあ、二人きりの時に沢山してあげる」


そうきたか。

多分簡単に引き下がるタイプで無いことは昨日の件もあってわかっている。

かといってこっちが押し負けても駄目だ。

何をされるかわからない。


「止めてくれ」

「私、かなりお買い得だと思うよ。サイズに自信はないけどそれ以外なら」

「金は無いんだって」

「今なら愛してくれるだけで十分」


駄目だ。これはかなりまずい。

随分と恥ずかしい台詞を連呼してくれたな‥‥‥

実際押し負ける未来しか見えない。

しかしここで救いの手が差しのべられた。


予鈴が鳴った。


「残念、これ以上話していると遅刻になる。春斗君とならサボってみてもいいけど望ましくはない」

「そうだな、クラス向かうか」


なんとか助けられた感はあるが。

次が来たら耐えきれる気がしない。

と、言うか次は昼休みなんだよな。

もう、今日を乗りきれそうもない。

返事は早めにとは言われたものの本当にすぐになりそうだ。


「春斗君、また、あとで」


俺のクラスまで来ると俺の事を送って自分のクラスまで走って行ってしまった。


一時間目から四時間目までひたすらに浮かぶのは楓の顔だった。

隣にいるはずの幼馴染はいない。

楓の顔を上書きするものは何もなかった。


「遂に来てしまった‥‥‥」


四時間目の終わりを告げるチャイムが鳴った。


「春斗君。お昼一緒に食べよ?」

「わ、わかった」

「でも、ここじゃちょっとダメ。ついてきてほしい」


そういい俺の手を引いていく。

俺は引っ張られるしかなかった。


「音楽室?」

「ここは他に人が来ないから落ち着いて食べられる」


彼女は持っていた袋から弁当を取り出す。

大きさはそれなりに大きい方だと思う。

彼女は椅子に俺を座らせると隣に椅子を持ってきて座る。


「春斗君の為に精一杯()()()()()


一段目には色とりどりのおかずが。

二段目にご飯が入っていたのだが、そのご飯の上には可愛らしくハートマークが描かれていた。


「春斗君への愛を伝えたくてこんな感じにしてみた」

「恥ずかしいから、やめて欲しいんだけど」

「だから二人きりの時に見せたかった。ドキドキしたでしょ?」

「‥‥‥した」

「ドキドキしてもらえて嬉しい。本当は私もドキドキしてる。喜んで貰えるかわからなかったから」


そうだったのか。

表情が変わらないからわからなかった。

にしても、本当にいつ何処から不意討ちされてもおかしくない。

つまり、いつ恋に落ちてもおかしくは無い。

因みにさっきのも本心です。


「じゃあ、あーん」

「楓?」

「何か違った?」


大間違い。


「女の子が平然とそんなことしちゃだめでしょ」

「まだ、使ってないよ?」

「そういう事じゃなくてさ」

「あ、意識して貰えてる?それなら好都合」


ダメだ。勝ち目が見いだせない。

こうなりゃ自棄だ。


「わかったよ。いただきます」


楓の積極性を受け入れる事にした。

彼女の俺に対する接し方の普通がそれならそれに合わせてしまおう。

気の長い話かも知れないがいつかは慣れてしまうだろう。

もしくは向こうが照れてくれるか。


「どう?美味しい?」

「美味しい」


微動だにしなかったのは置いておこう。

とりあえず、普段食べている物とは格が違った。

素材とかはあるだろうが普通に調理が上手い。


「妹や親にも食べさせてあげられないのが悔やまれる」

「あ、妹がいるんだ」

「あ、悪い独り言のつもりだったから」

「大丈夫。妹思いでいいと思う。お兄ちゃんとは大違い」

「あの人はね‥‥‥」

「言いたいことから逸れた。私も料理は好きだから作りに行ってあげてもいいよ?」

「本当!?」

「うん、春斗君の家族は将来的に私の家族」


考え方は変わらないが本当にありがたい。

最近はバイトでそれなりの物は食べさせてあげられてはいるが他の人と比べればそこまでもないだろう。

ここは好意を素直に受け取ろう。

瑞季ので少しは賄えるかなと考えていたものの足らないことは明白だったからね。


「ありがとう、楓。今度デートでもなんでも‥‥‥付き合うのはまだ無しだけどできる限りの事はするから。」

「デートしてくれるの?」

「その程度で妹にちゃんと食べさせてあげられるなら全然安い」

「わかった。内容は後々決める。私は好きなことをしてるだけなのにデートもしてもらえるのは私にとって得しかない」


どちらも嬉しいならそれに越したことはないだろう。

さて、勿体ないし残りの弁当も食べてしまおう。


「隠しててごめん。これ、春斗君のお箸」


渡されたのは割りばし。

俺にそれを見せると言うのか‥‥‥


「これ、持って帰っていいか?」

「使える箸無くなっちゃう」

「いい!どうせならあーんでもなんでも来ていい!」

「前言撤回は無しだよ?」


割りばしはいくらあっても足りないのだ。

だからこそこういうところで貰っておきたい。

あ、残りの弁当は殆ど楓に食べさせられました。

美味しかったです。


「ごちそうさまでした」

「お粗末さまでした」

「そういえば楓、食べてなかったけど?」

「一時間前に食べた。問題ない」


早弁してたらしい。


っと。もうそろそろ教室に帰らないとまずいな。

楓も一緒に教室まで帰ろうとするかと思うと、

「私ちょっと御手洗い」

と、行ってしまった。


教室に戻り椅子に座るとズボンの後ろポケットに何か入っている感触があった。

取り出して見るとピンク色のスマートフォンと小型の充電器が入っていた。

その携帯には何件か着信が入っていて

『私の使ってない方のやつだからあげる。女の子カラーのやつでちょっと恥ずかしいと思うけど無いよりかはましだと思うから』

『契約は外してないからインターネットもそれなりに使えると思う。充電もそれなりにもつと思う』

無料通話アプリの連絡先の欄には

『楓』

『瑞季』と入っていた。

その下に『兄』と入っていたのは見なかったことにした。

なんとか10部分目まで書くことが出来ました。

ブックマークが日に日に増えてるのを見ると嬉しくなってたりします。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ