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貧乏人は看病する。

楓はメインヒロインでは無いはずなんだけどな・・・

「今日の授業はこれで終わりっと」


次の月曜日は開校記念日でお休みなので多少の無理は大丈夫だと思う。

背筋を伸ばす。

扉の方へ目をやる。

既に楓が来ていた。


「瑞季ちゃんのお見舞い行く?」

「そりゃ心配だからな」

「私も行く。お兄ちゃんいなければ大丈夫だと思う」


そうだ。悩みの種は楓の兄であり楓じゃない。

それなら二人で行った方が良いだろう。


「それに春斗君の家族に作る料理も考えないと」

「そういえばそんな話も出てたな」

「だからスーパーに寄って買い物していく」


そういえばこの辺のスーパーはそんなに大きくない。

楓はかなりやる気の様だから応えてあげたいけどさ。


「どこのスーパーに行くの?」

「少し遠いけど大きいところ。休んでればすぐ着く」


校門を出ると明らかに高級そうな車と執事らしき人が待っていた。


「乗って?」

「おじゃましまーす」

「30分くらいで着くらしい。疲れてなきゃお話しよ?」


と、今日の学校生活の話等々をさせられたのだが、とてつもない広さ(普通の車には乗ったことないけど)の車なのに楓が凄く密着してくる。

まだ、肌寒いこともあるのに汗だくになりそうな気分。

それでも俺は話すのをやめない。

やめてしまうと気にしないようにしていた感触に意識が奪われてしまうからだ。


「春斗君大丈夫?顔、赤いよ?」

「そうか?」


理由なんて一つしか無いんだが。

楓の顔がこんなに至近距離にあるのが理由だろう。

あと、匂いも感触も良い意味でヤバイ。

誰か助けてください。


「ちょっと横になった方が良い」


上の空の俺は楓の力で簡単に倒されてしまった。


「無理しなくていい。着いたら起こしてあげる」


何か毛布的な物を掛けられたかと思うと俺の意識は何処かに飛んでいってしまった。


「起きて」


目を開けると目の前に楓の顔があった。


「楓!!だから近いって!!」

「全然起きなかったのが悪い。5分くらい前から声かけてた。」

「うっ‥‥‥」


それは明らかにこっちが悪い。

それを悪者扱いしたんだからより悪い。


「悪かった」

「買い物の間手を繋いでくれたら許してあげる」


流石楓。どんな状況も良い方向に持っていくな。


「わかった。その程度で許してくれるなら安い」

「春斗君の高いは1円以上」


車から下りると楓が手を差し出して来る。

俺はそれを受ける。

やっと楓の顔が元の調子に戻った。


「それじゃあ行こうか」

「ん」


最初は慣れなかった。

歩く速さとかの問題で中々上手く行かなかった。

それでも何とか買い物をできる程度には上手くなった。


「こんなに買うのか?」

「足らない方が勿体無い。多くても問題はない」

「それは金持ちの考えな。俺に言っても困る」

「じゃあ、余ったら春斗君にあげる」


楓はこういう所で俺の気持ちをわかってくれているから断りにくい。

俺の為に色々なことをしてくれているだから裏切りたくない。


「ありがたい」

「春斗君の考えがわりとわかるようになってきた。じゃあ、春斗君にも私のこと知ってほしい。バストサイズは‥‥‥」

「楓、場所を考えてくれ」

「それじゃ二人きりの時に教えてあげる」


二人きりなんてすぐ起きそうなんだけど。

気がついたら楓のこと色々と知っているような状況になりそう。


一通り回ってレジに向かう。


「本当に良いの?」

「俺のだからな。俺の分くらいは」

「それだから貧乏」

「ほっとけ」


今月は始まったばかりだ、少ない小遣いでも余裕はある。


帰りの車に乗る。

楓が自分の事について話し出したがしっかり断った。

そんな事されたら想像しそうで夜とか眠れなくなりそうだからだ。

ただ、もう既に匂いとか感触を知ってしまっているから眠りが浅くなっているのだが。


「少し寝る」

「わかった。おやすみ」


彼女は目を閉じる。

さて、静かになったし俺も少し寝よう。

と、思ったのだが。

肩に楓の頭があるのだ。

楓は俺の肩を枕代わりに使っているのだ。


なんだ、この状況。

髪の毛凄いふわふわなんだけど。

頬に当たってくすぐったい。


「‥‥‥おはよう。少しの時間だけど気分的にはよく寝た。寝てないの?」

「ちょっと寝れなかった」


「楓を意識しすぎて寝れなかった」なんて言ってしまったらいっそう楓は好意を向けてくるだろうから言ってはいけない。


「無理はいけない」

「無理してないから大丈夫」


瑞季の家には瑞季の母親に簡単に入れてもらえた。


「瑞季?入るぞ」

返事は無い。

仕方がないので扉を開ける。

そこには下着姿の瑞季がいた。

「あ‥‥‥」

「はは‥‥‥」

「は?」

「春斗のバカぁぁぁぁぁ!!」


枕や色々な物を投げつけられた。


「春斗!!そういうのは順番があるでしょうが!!」

「悪かったって謝ってるだろ?」

「春斗が望むなら何時でも見せてあげるのに(小声)」

「春斗君、私のを見ると良い。大きくはないから代わりにはならないかもだけど」


楓が服に手を掛けるので阻止する。


「楓ちゃん!!春斗は男子だから見せちゃ駄目!!襲われちゃうから!!」

「襲われるのはむしろ臨むところ」

楓にそれは禁句だ。


と、そうだったここに来た本来の理由を忘れてた。


「瑞季、これ見舞いの品な。こっちが俺、こっちは楓からな」

「春斗君、自分の分は自分の金で買うって言ってきかなかった」

「春斗は本当に馬鹿じゃないの?」

「俺の金で買わないと俺からのお見舞いっぽく無いかなって思って」

「それだけ?」

「それだけ」


それだけの理由で元々少ない財布の中身をまた少なくしたの?


「馬鹿じゃないの?それだけ妹ちゃんに食べさせてあげる量が稼げるのに?」

「俺の所から引けば良いかなって思って」

「全く無茶苦茶言うわね。いつも通りだけど」

「それで、起きてて大丈夫なのか?」

「全然大丈夫。多分明日には復活できると思うから」

「それなら良かった」


時計を確認する。

もう7時近くになっていた。


「そろそろ帰らないと。夕飯が間に合わない」

「そうだった。最後に瑞季ちゃんと二人きりで話したいことがある。家で料理の準備しててくれる?」

「わかった。インターホンは押さずに入ってきてくれて構わないから」

「了解。すぐ向かう」


春斗が開けていた扉が閉まる。


「楓ちゃん?春斗の家に行くの?まさかその事の自慢?」

「それは今日の事だけど話したいこととは違う。明日から三連休になるから瑞季ちゃんに提案がある」


楓が家に来たのは20分程経ってからだった。

次回までは楓メインです(予定)。

その次から三連休の出来事かきます。

感想等々よろしくお願いします!!

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