第24話 あくどい女
ルーザが、楓さんの正体について語り出す。
「まず、この世界にサキュバスやエルフといった種族は元々存在しません。ですが、異界人と表示されているということは、楓さんはこの世界で産まれたサキュバスで間違いありません。つまり、楓さんの先祖には別世界から訪れたサキュバスがいたということになります」
「だから、サキュバスであり異界人でもあると」
「”言語理解”を持っていないのもこれで説明が出来ます。”言語理解”は他のスキルと違い、向こうの世界で産まれれば皆に与えられますから。まあ、楓さんの先祖のサキュバスが、私がいた世界から来たとは限りませんけど」
ポカーンとした顔の楓さん。話しについて来られていないようだ。
?・・・今の説明だと、複数の世界があるのは確実と言うことか?
「・・・私がサキュバスだから襲われていたということ?」
「そうですね。正確にはサキュバスの固有スキル”妖艶”が原因ですね」
”妖艶”のスキルを表示する。
⚫妖艶:性的なものを感じる要因により異性の性的な欲求を高める
「見た目や匂い、感触などに反応するんでしょうね」
「加賀拓哉が楓さんに触ったとき、そんな反応はなかったぞ」
あいつ、生意気にも悪態をついていやがった!・・・舌を抜いておくべきだったか?
「うーーーん、”催眠”のスキルの効果なのかも、。ご主人様、ちょっと楓さんにスキルを使って、触ってみてくださいよ」
無茶を言うなよ、ルーザ。楓さんは男が怖いんだぞ。
「い、良いよ、王子になら触られても構わないから」
「その、王子という呼び方は止めて欲しいんですけど・・・」
「そんな!他の呼び方なんて畏れ多い!!」
なにが!?どこぞのホステスじゃあるまいし!そんなスポーツ選手に贈られるような痛いニックネームは嫌だからな!
「普通に名前で呼んでください」
「じゃあ、固金様」
「様付けも禁止で!」
これ以上”様付けが”増えるのは耐えられない。本当は、ルーザにも「ご主人様」呼びを止めて欲しいんだ。ルーザは、自分は奴隷だからと聞き入れてくれないし。
「・・・固金くん?ならどう?」
・・・良いな!楓さんに言われるとしっくりくる。
「今日から俺のことは固金くんで」
「う、うん固金くん」
なんでそんなに嬉しそうなんだよ!こっちまで照れくさくなる。
「早くスキルを試してくださいよ・・・」
ルーザが少し怖い。
俺はクズがしていたように楓さんの腕に触れ、スキル”催眠”を発動。そして、楓さんの左胸を揉む。やはり、先程のどうしようもない程の情欲に駆られない。
・・・・・やわらけ~
「うわー、固金、それはちょっと・・・」
「ご主人様、そんなに触りたかったのでしたら、いつでも貸しますよ!」
「固金さんは、やっぱりオッパイが好きなんですね!」
そうか、わざわざ胸を揉む必要は無かったんだ!クズの再現をする必要があると思って揉んでしまった。
・・・・・・なんでマリアは、俺のことをオッパイ好きだと思っているんだ?・・・好きだけど。
「どうやら、効果はあるようだ」
楓さんに掛けたスキルの効果が切れた瞬間、ビクビクッ!と身体が撥ねた!?
「ハアハアハアハア、何・・・今の・・スゴく・・・・・気持ちよかった♡」
エロフよりもエロい生き物がいるーーー!!
ヤバイヤバイヤバイ、劣情に人格を上書きされるような感覚が!
俺は自分に”催眠”を発動して意識が・・・・・・・・・・ふう、治まった。・・・なんか疲れる。
「ルーザ、この状況をなんとか出来ないか?」
「?、スキルをコントロールすれば良いだけの話しですよ?」
「その方法を楓さんに教えて欲しいんだけど」
「簡単ですよ。今まではスキルの存在を知らなかったから常時発動していたんでしょうが、スキルの発動を停止するイメージを持てば良いだけですよ」
たったそれだけ?
「楓さん」
「う、うん、やってみる!」
目がチクリとする。
すると、楓さんの周りに、緑色の靄みたいなものが見える。
少しずつ、靄が楓さんの中に消えていき、完全に無くなる。
「なんだか、空気感が変わった気がする。固金くん、試してみて!」
と言って、俺の両手を自分の胸に押し当てる。・・・あんた何してんの!?
モニュ、ムニュ。
「・・・どう?」
「・・・・・スゴく柔らかいです」
クッソ、指に力を入れてモミモミしたいんですけど!
「私も、さっきみたいにならない」
「ここまでされて襲い掛からないのなら大丈夫でしょう」
ルーザが保証してくれた。
「私の長年の苦しみが、こんなあっさり・・・・・・」
確かに、スキルの存在を自覚しただけだからな。
楓さんの震えている姿は、喜んでいるのか嘆いているのか判らない。
「・・・皆さんは、固金くんとどういう関係ですか?」
今になってそこに触れますか。
「私達は、み~んな固金さんの家族ですよ。皆で結婚出来る国に行って、一緒に暮らすんです!」
「!!!・・・わ、私も!・・駄目かな?」
「良いですよ!楓さんも一緒に固金さんの女になりましょう」
「ありがとう!困ったことがあったら何でも言ってね!絶対に力になるから」
なぜ、俺の意思を確認してくれないのだろう。・・・別に良いけど。俺も、楓さんを手放したくないと思ってしまったし。
まさか、半月の間に彼女が四人になるとは。
「ちょっと待った!」
突然叫んだのは祭り。楓さんのこと、反対なのか?
「スキルの事もあるし、楓さんには私達のこと、シャスティングのことを全部話しておかないと!」
とても大事なことを忘れていた。
☆
あの後、深夜になるまで話しは続いた。
キッチンカーに残っていたお弁当と、俺と楓で作った簡単なおかずで夕食を済ませ、この半月の出来事を楓に話した。
楓を始め、マリアと祭りの生い立ちの話しもした。ルーザだけは、制約のせいであまり自分の事を話すことは出来なかったが。
話の途中で、俺は楓さんを楓と呼び捨てにする事になり、楓が力になりたいと言って、シャスティングに参加する事になった。
ハンティングギアで楓を、俺の庇護対象として登録する。たったこれだけで、次回から楓も異界にいけるようになるそうだ。
四人はあっという間に仲良くなったようで、皆で楓の弁当販売を手伝うことになった。・・・・・仕込みの手伝いは俺だけだがな。
海外への移住計画のため、少しでもお金を貯める。それが、今の俺達の目標だ。
「・・・それにしても」
楓を家族として迎えることになった翌日。
今日は、楓の引っ越しを手伝うことになっているのだが、八時を過ぎても誰も起きない。寝るのが遅くなったから仕方ないが。
祭りは九時半からバイトだから、そろそろ起こさないと。
左肩には祭りの胸が、右肩にはルーザの胸、左腹部に楓の胸、右腹部にマリアの胸が当たっている。
俺も眠気が残っているため、心地の良いまどろみを手放したくないと思ってしまっている。
四人の女の子の匂いと体温に癒やされる。
チラリと見ると、楓の胸の谷間が見えた。
色気のある黒いネグリジェに包まれた肢体は、男好きする身体をしている。あの後、皆でお風呂に入ったので間違いない。
下半身が反応してしまう。・・・・・よし、見られる前に起きよう!
根性で楽園を抜け出し、朝食の準備を始めた。
☆
楓さんが荷物をまとめ、マンションに持っていく物をキッチンカーに積んで運ぶ。三往復したところで、あらかた運び終わった。
荷物の大半は料理に関係する物だった。
後は、要らなくなった大型の荷物を業者の人間に買い取って貰うだけだが、俺はスゴく居心地が悪い。
というのも、楓が住んでいたのは、セキュリティがしっかりした女性専用の学生マンションだったからだ。
引っ越しの手伝いという名目でいるとはいえ、通報されるのではと不安なのだ。
万が一通報されれば、俺とマリア達の、世間一般の常識的に望ましくない関係が暴かれかねない。
マリアとルーザは、内職を終わらせるためにマンションに残った。内職に使う時間を楓の弁当販売を手伝うことに使った方が、パフォーマンスがいいと判断したようだ。
「固金くん、これを受け取って」
そう言って差し出してきたのは、通帳とそのカード。
「私が仕事で貯めたお金、約四百万円が入っているわ。私が今後稼ぐお金も全部この通帳に入るから、移住計画に役立てて」
通帳の中を見ると、引き落とされた形跡が無かった。一円たりとも手を付けていないらしい。
「今まで生活費はどうしていたんだ?」
「両親は、私が大学を辞めたことも働き始めたことも知らないから、いまだに学費を含めた生活費を別の通帳に入れてくれてるの」
「・・・楓、さすがにそれはあくどくないか?」
かなりの額になるんじゃないのか?
「良いのよ、二人とも私の意見なんてろくに聞かないし、母親のせいで誘拐されそうになるは、父親には何年もエロい目でみられるは、もう散々よ」
半分以上は、本気で言ってそうだな。
「・・・・・まあ、良いか。」
「高校を卒業したら移住するつもりなんでしょ。私への仕送りもその頃に終わるし、私の親に現状を伝えると困ったことになるかもよ」
「そうだな」
黙っていた方が良さそうだ。
「ねえ、固金くん。私、今日大丈夫な日なんだよ」
「な、何が?」
楓、本気か!楓の一挙手一投足に背筋がゾクゾクする。この異常な高揚感、スキルを発動しやがったな!
「私は構わないよ」
「業者の人が来るかも!だから・・・」
「後、三時間は来ないよ?」
四つん這いで迫ってくるサキュバス楓。なんて、魅惑的な暴力。揺れる黒髪と巨乳、健康的な太股に綺麗な鎖骨、上気した頬に、期待が込められた潤んだ瞳。
「・・・ごめん」
楓の頬に触れ、”催眠”を発動。楓の動きが止まり、”妖艶”が解除される。
「ふう、助かった・・・」
自分にスキルを使ったわけではないため、劣情の余韻は残っている。
「私じゃダメ?」
再起動した楓が、達観したような顔で聞いてくる。
「一番は、マリアだから。それに、移住が決まるまではしないつもりなんだ」
「固金くんは、ちゃんと将来のことを考えているんだね」
「まだまだ漠然としたものだけどな」
まだどの国に移住するのかも決めていない。
一年以上先の話とはいえ、もう少し具体的に考えないと。
「したくなったらいつでも良いからね♡」
「・・・・・・・・うん・・」
業者の人間が来るまで、悶々とした時間を過ごすことになった。・・・この後バイトなのに!
エッチな展開が多くなってしまいました




