↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
20/38

~19.ほぼ独り言ですが、決してぼっちじゃないよ?…ほんとだよ?~

生中継を終えた後に俺達はウィンの部屋で今後の打ち合わせをした。

現状の報告や襲撃の対策など思いのほか話し合うことが多く、大体の形に出来上がったところには日は沈み、夜が訪れていた。

ウィンとルヴィアはその後に会議に出席するらしく俺とリムは与えられた個室へ移動することにした。

どうやら俺の部屋はリムの部屋と隣同士であるため(俺の護衛だかららしい)リムに案内してもらった。

「う~ん…それじゃまた明日ね!」

ドアの前で背伸びをすると、リムは俺に元気よく手を振って自分の部屋へと帰っていった。

リムよ。元気がいいのはいいのだが…今変化してるんだぞ。

いい年したおっさんがそんなことしてると違和感しか感じない…まったく元気なやつだ。

俺は苦笑しつつ、自分の部屋へと入った。

「…はっ?」

中を見た瞬間、思わず呆然としてしまった。

俺の目の前には開放感のある空間が広がっていた。

内装は洋風で城内に施されていたそう見事な彫刻がいたるところに装飾されている。

奥には一人で使うには十分すぎる大きさのセミダブルのベッドに、横にはテーブルセットが一つ。その手前には化粧台まで置かれている。

さらに横についているドアを開くと洗面台と浴室があり、一人で使うには十分すぎる大きさがある。

当然、あっちで住んでいた部屋より(ちなみに6畳)倍以上広い。

ま、まさかこんな個室がもらえるとは思っていなかった…やはり勇者とか肩書きあるからなのか。

部屋の中をあちこち見終えると、俺は風呂に入った。

髪を乾かして浴室から出てきたころには自分が思っていたよりも時間が経過していた。

おそらくいつもよりかなり長く湯船につかってしまったのが原因だろう。

いや、だってしょうがないでしょ。

ただでさえ大きいし、それに謎の入浴剤があるんだよ?

パッケージに「かっぱの湯」って書いてあったら試すだろ!

実際には深緑色で、沼みたいになってあせったけど…まあ体は温まったし疲労感が少し薄くなったけどね。

その後暇だったので部屋に置いてあったテレビ(のようなもの)を見ようとウィンからもらった魔法石をかざした。

どうやらスイッチ関係はすべて魔法石がやってくれるらしい。

たとえば電気を消したいときは魔法石をもって「消す」と念じればいい。

また目覚ましなども「何時に鳴らす」と念じるだけでセットが出来るようだ。

…魔法石、万能だな。

だが、俺は源炉(フィジ)を持っていないので使えない…なんという理不尽だ!

とか言いつつ、実は魔力を代替にすることができるらしい。そのおかげでウィンとリムに話すことが出来たのだ

まあ俺はよくわからないので携帯端末(スマートフォン)と同じと考えることにした。

とりあえずテレビのスイッチをつけた。

まず飛び込んできたのは大きな文字で「勇者召喚!」のロゴ。

その下には「冥族討伐の切り札となるか?」と書かれている…なんだこれ?

整頓された長いデスクの上でアナウンサーと専門家のような人が話をしている。

どうやらこれはニュース番組のようだ。先程からなんとか研究の教授と書かれた眼鏡を書けた男性が「勇者は特殊な魔技(レソナ)が使える」とか「伝説の武具を装備できる」とか「剣を一振りで3人以上を倒せる」とか色々語っている。

いやいやっ、俺は特殊はおろか魔技(レソナ)なんてなにも使えないし、伝説って○トの剣とか装備できないし、そんな抜刀斎みたいなことできないから!

気になって他のチャンネルを見ても、ほとんどの番組が勇者についての特集をやっていた。

そんなに勇者って注目されることなのか?独占なんて総選挙とかでしか見たこと無いぞ。

「…見るのやめよう。」

俺はそう独り言をつぶやくと、テレビの電源を切ってゆっくりとベッドに横になった。

(今日も色々あったし疲れたな…)

まだ目覚めたばかりで体が本調子ではないのか、身体全体に疲労感を感じている。

このまま寝てしまおうかと思ったが、しばらく経っても睡魔が襲ってこなかった。

(まあ…しょうがないよな)

眠くならない原因は自分でもよく分かっていた。それは打ち合わせの内容だ。

風呂に入っていた時も、テレビを見たときも…いやウィンの部屋を出たときからずっと頭の片隅で考えていた。

打ち合わせの中でも気になったのはリムの故郷…冥族の現状だ。


諸悪の根源となっているフィジレスは数年前に領地の端にある古代遺跡から発見されたらしい。すべてが同じ形をしており一つ一つ個別に厳重な箱に保管されていた。冥族の研究者がそれを持ち帰り研究、解析をすることとなった。

それで唯一分かったことは、われわれの持つ源炉(フィジ)に近い鉱石であることだった。

―もしかしたら魔技(レソナ)が使えなくなった源炉(フィジ)の代替が出来るかもしれない。

そのことによってフィジレスは注目を浴びることになり、更なる解析が急がれた。

しかし3年前、初めて形が異なり非常に大きなフィジレスが発見される。

これを都市部まで運び、到着すると同時に怪しく輝きだす。するとそれを見計らったようにフィジレスが共鳴し、暴走。次々に冥族の体の一部に付着していった。

すると付着した人物は自分の意思で体を動かせず、フィジレスに体のコントロールを奪われていく。

そのことからフィジレスには人間同様、意思を持っていることが判明した。

すぐさまフィジレスの研究は中断され廃棄命令が下った。

名のある冥族の魔技使いは協力し部隊を組みフィジレスを一気に破壊しようとしたのだが、そこで今まで知られていなかった能力…魔技(レソナ)の無効化が発動された。

その事に対処できないまま部隊は全滅。もはや抗う気力すら失われていった。

これを皮切りに、様々な場所からフィジレスが出現し、能力を駆使しながら次々に襲われ、体を乗っ取られていった…


現在、冥族全体のおよそ3割がフィジレスに乗っ取られているらしい。特に都市部に多く集まり、その数は都市の人口の半数以上にも及ぶ。

残りの冥族は元々ある地下や洞窟など地形を利用して避難しているようだ。

幸いにも冥族は元々得意な魔技(レソナ)が隠れるのに適したこともあり、隠れた場所を通るなどしない限りはなんとか誤魔化せている。

しかしこのままでは近い将来、全滅することは目に見えている。

そこで特に友好が深かった人族に助けを求めようと、数人が人族の領地へと向かった。

…が間もなくフィジレスに襲われて全員が体を乗っ取られてしまった。

しかしリムだけはフィジレスに抵抗でき、このハムアンレイスまではたどり着いた。しかしそれで気が緩んだのが、そこで抵抗しきれなくなり体を乗っ取られてしまったらしい。

…と、俺がこの事柄をまとめたのはリムの説明だと「フィジレスがバァンって出てきて」

実際にここまで分かるまで6回ほど同じ話を聞いた。

いや、もうね…国語って大切だよね、ほんと。

とりあえず事態は急を要することを全員が感じたため、俺達は近日中に冥族が住む領域に入り中心都市へ向かうことにした。

その時にウィンに「王女が危険なところに行くの許してくれるのか?」と聞いたところ「もちろん。そんなの無理よ。でも絶対に行くわ!」とはりきって答えた。

今すぐにでも向かおうとするウィンの勢いに、思わず苦笑してしまった。

いやいや…最高位の王女様がそんなアクティブでいいのかよ。

今回が特別だと思いたかったが、その発言を聞いてもルヴィアが何も言わないところを見ると…そういうのが日常茶飯事なんだろうな。じゃなきゃ冥竜に自分から戦いにいかないよな。

まったくウィンは行動力があるというか、やんちゃというか…目が離せないな。

ともかくリムが案内、ウィンが交渉、その2人をルヴィアと俺で護衛するという形となった。


「早くなんとかしてやらないとな。」

俺は不意に壁の方に目をやった。その壁の向こうには当事者であるリムがいる…彼女はもう寝てしまっただろうか。

…コンコン。

そう考えていた矢先、その壁からノックのような音が聞こえた。

何かの合図と思い俺もその壁に向かって二度ノックする。

しかしそ応答がない。気のせいだったのかと不思議に思ったが少しすると今度はドアのほうから音が聞こえた。

自然と笑みがこぼれながらドアに向かい、開ける

「にゃはは…どもども!」

そこには可愛らしいピンクのパジャマに身を包んだリムがいた。

風呂あがりなのか頬はほんのり赤く、髪は潤い、シャンプーの匂いがする。

その姿に一瞬見惚れてしまった。

「どうしたんだ?」

俺は顔を軽く横に振るとリムに声をかけた。

「えっとえっと…ち、ちょっとお話したいかなぁって!」

「…うん、わかった。中に入るか?」

「うん!」

そういうとリムは嬉しそうな顔で部屋の中に入っていった。


大変お待たせいたしました。

次回は6/7 21:00の予定です。

今後ともよろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。