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一花、咲く
数年後の、ある春の朝。
佐藤の庭では、新しく植え替えられた黒松の若い苗木が、朝日を浴びていた。三十年育てたあの黒松の隣に、新しく迎えた命だ。
スマホの画面には、積立NISAの残高がじわりと育っている。そしてもう一つの画面には、何年にもわたって積み重ねてきた盆栽の記録が、あの日から途切れることなく続いていた。
派手な数字でも、大きなバズりでもない。だが、確かに、時間をかけて育ったものだった。
「……盆栽も、金も、記録も……すぐには咲かんものだな」
佐藤は老眼鏡を押し上げ、画面と若木を交互に見つめた。
かつて「文字サイズ極大」の画面に振り回されていたあの日から、随分と遠くまで来たものだ。だが佐藤は、今も変わらず、この巨大な文字と共に生きている。
老眼に負けるものか、と。
そして今日もまた、何かのはずみでスマホが妙な挙動を見せ、佐藤は老眼鏡をキュッと押し上げながら、あの見慣れた自動ドアへと足を向けるのだった。
「鈴木くーん!」
最後駆け足になっている。。。書くことの難しさを痛感させらました。




