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何だかアレゲな材料

 三階に戻るとまだミルルが電話をしており、シルフ達もベッドですうすう寝息を立てていた。

 まだ時間がかかりそうだからと俺は思いながら、折角なので錬金術士の部屋に向かう。

 揃っている道具はなかなかいいので、試しにその虫の羽を使った錬金術を検索すると、


「錬金時間3分……カップラーメンが出来るくらいお手軽だな。試しに一つ、今作ってみるか」

 

 そうやって他の材料を放り込んで、サクサク作っていく。

 六角形の縁に囲まれた、メダルのようなものが出来上がる。

 確かこれを背中に張ってと服の上から貼り付けると、魔力が枝のように広がって服を透過して体にひっつくのを感じる。


 気持ちの悪い感覚だが、


「少しだけ飛んでみるか。“翔べ”」


 そう呟くと、背後に金色の輝きを感じて振り返ると、先ほどの虫の羽がプルプル震えていた。

 何となく虫になった気がしたがそれは良いとして、


「へー、こうすれば手軽に飛べるな。でも何かの拍子に故障すると怖いから、それ用の靴を用意するか。確か衝撃吸収に特化した靴が……これだ“羽うさぎの靴”。それで材料を、変化させると、落ちても大丈夫な高度が変化するから……“柔らか鳥の羽毛”だと、30メートル、“針金蜘蛛の糸”だと100メートル、“雨垂あまだれの結晶”だと、333メートル……東京タワーの高さと同じか。でもこれがいま持っている中で一番良さそうだな。これにして、作っている時間は5分」


 時間が短いので、さくっと作ってしまおうと俺は手を出し、結果ブーツ状の靴が出来上がったのだった。






 折角なので作ったばかりの道具で窓の外から飛び出して、ブーンという蚊だか何だかの騒音を大きくしたような音を聞きながら、上手く操作しようとした。

 結果、自由に飛び回れることが判明したのだが、


「やっぱり地面に足をつけていないと怖いな。とりあえず三階の窓からミルルに話しかけてみるか」


 確か電話は窓際だったなと思いながらブーンと飛んでいって、その窓に目指して飛んでいき、下から顔を出して手を振る。

 ミルルはそんな俺に気づいて驚いたように電話を持ったまま凍りついている。

 面白い顔がみれたなと思って俺は玄関に降りてから、ドアを開いて中にはいっていくとちょうどミルルが電話を終わらせたところだった。


「それでどうだって?」

「タイキ、今窓の外にタイキが……気のせいですね」

「いや、外で俺が飛んでいたんだ。この道具で」


 試しにフワッと飛んでみる。

 それを見たミルルが、


「タイキ、その魔道具、私も頂けませんか?」

「それは構わないが……じゃあ靴も作るかな」

「靴、ですか?」

「ああ、高い場所から落ちた時に危険だから」

「そんな魔道具もあるのですか? ぜひ、ぜひ作っていただきたいです! あ、お金はもちろんお支払いします!」

「別に材料は余っているし無料でいい。折角だからシルフと鈴の分も作るかな」

「そんな、迷惑は……」

「代わりに、そのアイテムが必要な遺跡を教えてくれえばいいよ。俺はまだこの世界のことにはそんなに詳しくないのだし」

「……分かりました。お言葉に甘えます、タイキ」


 嬉しそうにミルルが微笑む。

 何だか美少女の笑顔は幸せな気持ちになるなと俺がほんわかする。

 それにこの世界のことに詳しくないから俺も、自分なりに手探りでやっていかないといけないので、色々な情報も彼女から得られているので本当に助かっているのだ。

 うん、それだけだ。

 そこでミルルが、俺をじっと見上げて、


「さきほど実家に連絡してみましたが、マーヤというあの謎の魔族の正体を調べてくれるとのことです。そして必要とあらば保護すると」

「そうなのか……リズさんが悲しみそうだな」

「そうですね。でも、もしかしたなら親も探しているでしょうから会えるかもしれませんし」

「それを考えるとしかたがないか」


 そこで、シルフが起きてきたのだった。






「不覚、私が眠らされてしまったなんて」

「でもシルフ、私も眠らされてしまったもの」

「お姉様もですか? エイネは何でそんなに力をつけているのですか!」

「さあ、日々の努力の賜物ではないかと」

「眠らせて困っている人がなんでその能力を上げているのですか!」


 俺がしたような突っ込みをしているシルフに俺が、


「あー、うっかり能力を強化していたらしいぞ」

「……」

「まあ、眠気覚ましの薬を渡しておいたから、これからは歌の方に専念するんじゃないのか? 聞いてもらえるだろうし」

「歌が上手くなったからといって、能力強化に努力が向かわないとは限らないのでは?」

「……でも自覚をしたのだから強化はしないだろう、多分」


 そんな適当なと思ったらしいシルフはむっとしたような顔をするが、話していてもどうにか出来るわけでもないと気づいたらしくこれ以上口にしない。

 そこで俺達はようやくギルドに向かう。

 いつもの道を進んでいくと、そこで鈴がいた。


 よく見ると猟銃のようなものがたくさん並べられている店だった。

 ただ猟銃といっても、彫刻が施されたり魔石が付けられて威力が強化や、他にも様々な用途の銃が置かれている。

 どうして俺がそれが分かったかというと、銃の側に説明書きが置かれていたからだ。


 そこで鈴が俺達に気づいたらしい。

 楽しそうに笑いながら、


「やほー、タイキ。こんな所でどうしたの?」

「いや、ギルドで畑を借りようと思ったんだが、何を見ているんだ?」

「銃よ。これをいくつも一斉放射したら格好いいなって。うん、後で買ってこよう」


 鈴が楽しそうに、連続攻撃とか一斉射撃と広範囲攻撃もいいなとつぶやき続ける。

 はたから見ると、銃を見ながら嬉しそうにしている危ない人に見えるので俺は話題を変えるために、


「それより鈴は今仕事中なんじゃ?」

「今日は休みだってば。ただ、ちょっと必要な物が足りなくて。ちょうど買ってきたんだ」


 そう言って買い物袋を見せる鈴。

 袋からは緑色の葉っぱが見えて、それは、


「ネギか」

「そうそう。しかもこのネギ、この世界だと海の中に生えているらしいのよ」

「……昆布か、増えるワカメかと突っ込みたいが、どんなふうにそのネギが生えているんだろう」

「さあ? でもこの世界のもので私達の世界のものを作ると何だかアレゲな素材になっちゃうのよね」

「確かに味噌を作ったら、豆を使わなかったからな」

「あ、作ったんだ。でもその味噌を作って作った味噌煮込みうどん、結構人気なのよね」

「そうなのか。あ……今日のお昼鈴の店によるから」

「だから今日お休みだって」

「! そうなのか?」

「そうよ。仕方がないな、代わりに別の美味しいお店を紹介してあげる、ギルドに行くんだっけ? じゃあ先に行っていてよ。ネギおいたらすぐに追いつくから!」


 そう言って鈴はネギを持って、爆音を立てながら走り去っていったのだった。

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