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スタイリッシュ異能バトルの世界で俺だけ魔法少女としてエロゲの竿役と戦ってる  作者: かませ犬
愛の契り編

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35/46

気持ち

 世界樹(ユグドラシル)さまから授かった知識で世界の壁を壊せる方法はわかったけど、今の俺に壊すことは可能なんだろうか?


 知識として壊し方だけじゃなく、実際にマジカルチンポッコや世界樹(ユグドラシル)が壁を壊している光景が脳裏に浮かんだけど、明らかに攻撃の規模が違う。俺が使ってるマジカル波の数十倍は太い特大のビームを発射していた。


「今の俺に⋯⋯壊せますかね?」


『結論から言うと、今のあなたでは難しいと思います。単純に壁を壊すための威力が足りません』


「ですよねー」


『ですが⋯⋯魔法少女は無限に強くなれる存在です。あなたならあっという間にわたしたちを超える強さを手に入れると確信しています』


 無限に強くなれる⋯⋯か。その方法は啓吾から聞いているけど、マジカルチンポッコを倒せるレベルまでいけるか?


「ん?」


 先程と同じように暖かいものが体の中に入ってくる感覚がした。全く同じように俺の頭の方へと登っていく。


『今、あなたに送ったものはわたしと悪魔の戦いの記憶です』


「これが⋯⋯」


 頭の中にマジカルチンポッコの戦いの光景が浮かび上がる。近い未来に俺が戦う相手だ。世界樹(ユグドラシル)さまはマジカルチンポッコとの戦いの参考のために俺に記憶を見せているのだろう。


 けど、文字通りの規模感が違う。映画の大怪獣バトルを見ているような気分だった。


 動けない世界樹(ユグドラシル)さまに対してマジカルチンポッコが一方的に攻撃しているように見えて、世界樹(ユグドラシル)は堅い防御魔法で防ぎながら時折反撃のビームを放っていた。


 夢の世界と影の世界、二つの世界の王の戦いは正に互角。


 だが、戦力差に大きな違いがあった。たった一本で孤軍奮闘する世界樹(ユグドラシル)さまと違って、マジカルチンポッコには大勢の部下がいる。


 マジカルチンポッコは部下を巧みに使い世界樹(ユグドラシル)さまを護る防御魔法を一つずつ丁寧に剥がしていく。


 詰将棋のようにゆっくりと、だが着実に。あまりの手数の多さに反撃する暇すらない。こうなってしまえば甲羅に籠る亀と同じ。


 戦いはそのままマジカルチンポッコの優位に動き、物量で押される形で世界樹(ユグドラシル)さまは敗北した。


 妖精たちがもう少し強かったら⋯⋯もう少し持ちこたえていたら、結果は違ったかもしれない。


 マジカルチンポッコに敗北した世界樹(ユグドラシル)さまは悪魔たちによってその身体を鎖によって縛り上げられた。絵面は巨木に鎖を巻いているようにしか見えないな。


 エロ同人とかなら、女体を縛り上げる⋯⋯みたいな感覚だろうか?どうやらこの鎖はマジカルパワーを抑える力があるらしい。


 抵抗してくる妖精や魔法少女を無力化して犯す為の代物で、エロゲによくある拘束道具だと思ってくれて構わない。


 こうして鎖によって世界樹(ユグドラシル)さまはマジカルパワーを抑えられ、無力化された。戦う力はもう殆ど残されておらず、こうして俺と会話したりするのがやっとらしい。


 妖精たちのように世界樹(ユグドラシル)が亡くなっていないのは、悪魔が欲望に忠実な生き物だからだ。


 倒した相手を凌辱したい。そんな願望の為に生き殺しにされている。


 世界樹(ユグドラシル)さまが言っていたように、外法が完成すればその身体を女体へと作り替えられ⋯⋯悪魔たちの気が済むまで犯し尽くされる。


 それは⋯⋯俺も他人事ではない。負ければ俺も同じようになる。悪魔の性的対象が今は世界樹(ユグドラシル)さまに向いているからどうにかなっているだけ。


 仮に世界の壁を壊せても⋯⋯今の俺ではマジカルチンポッコを倒せない。悪魔の物量を押し返せない


『安心してください。当分の間は人間界に本格的な侵攻は始まりません。今は前世の知識を活かして『くっころ』してますので興奮した悪魔は、わたしに釘付けになってます』


「あ、そんなことしてたんですね」


『はい。今のわたしにできることはエロ同人みたいなセリフを吐いて悪魔の興味をわたしに集中させることだけなんです⋯⋯』


 人間界への悪魔の侵攻が始まらず、来ても少数なのは世界樹(ユグドラシル)さまの演技のお陰ってことか。


 とはいえ、他にできることは本当にないのか?エロ同人みたいなセリフしか吐けないってもう末期だろ⋯⋯。


『この後はメスガキにでもなったつもりで悪魔を煽るつもりです。なので当分の間は人間界への侵攻は疎かになるでしょう』


「あ、はい。ありがとうございます」


 メスガキボイスで煽られて悪魔がムキーってなってザーメンぶっかけるってこと? 見たくない光景だなー。


『わたしはできる限り悪魔の注意をこちらに引き付けます。なので⋯⋯強くなってください。マジカルチンポッコを倒せるほどに』


「強く⋯⋯」


『はい。わたしが思うにあなたはもっと自分の気持ちに素直になっていいと思います。愛に性別や種族の壁などないのですから』


「俺の気持ちに素直に、か」


 啓吾のことは好きだ。


 親友として⋯⋯いや、もう俺の中ではそれ以上の存在として好きなんだと思う。


 だから告白を嬉しいって思ったし啓吾を見てドキドキしている。前世を経験しているからこの感情は初めてなんかじゃない。そのせいで戸惑ってはいるんだけどな。


 俺は普通に女の子が好きだった筈なんだ。前世では彼女と付き合ってそういう事もした。今世では彼女はできていないけど、恋愛対象は変わらず女性だった。


 女の子に変わっても精神が性別に引っ張られているわけじゃない。今も女の子が好きなまま。なのに今の俺の心を占めているのは⋯⋯。


『好きなんでしょ、彼が?』


「俺が好きなのは⋯⋯」


 ああ⋯⋯そうか。啓吾と一緒か。


 俺は男が好きなんじゃない。啓吾だから好きなんだ。


 魔法少女になって何もかも失った俺を救ってくれた啓吾が大好きなんだ。


『いい反応でしたね。きっと恋する乙女のような表情を今しているに違いない⋯⋯実に素晴らしい!さぁ、自分の想いをその意中の相手にお伝えしなさい。そしてイチャラブセックスをするのです』


「はぁ?」


 世界樹(ユグドラシル)さまが謎にテンション上がっているとかそんなのはどうでもいい。後半の言葉がパワーワード過ぎて全て吹っ飛んだ。


 想いを伝えろって背中を押すのは分かるけどさ、イチャラブセックスをしろって言うのはおかしいだろ? どんな応援の仕方だよ。私情が混ざりすぎてドン引きだわ。


『おや、何故そのような反応をするのです?魔法少女が強くなる方法は幾つかありますが、好きな相手とのイチャラブセックスが最も効率が良いのですよ』


「あ、はい」


『なのでわたしが悪魔を引き付けている間、あなたは恋人とイチャラブセックスをしなさい。たくさん愛して貰いなさい。あなたが愛し合っている間はわたしが悪魔をそちらには行かせませんので!』


 世界樹(ユグドラシル)さまはイチャラブものの作品が好きなのがよーく分かった。けど、自分が好きだからって俺に強要するのはやめて欲しい。


 というより俺と啓吾がイチャラブセックスをする前提で話しているんだ? 確かに啓吾のことは好きだけど⋯⋯それとセックスに結びつくのは別だろ。


 流石に男とヤるのを受け入れるには時間がかかる気がする。漆原の時みたいに腹をくくっていれば話は別だけど。


『まだ決心がつかないのならわたしがあなたに言い訳を作ってあげましょう。世界を救うためにイチャラブセックスをするのです!世界の為なのです!どうです?イチャラブセックスをする気になりましたか?』


「もういいですか? 話長いのでそろそろ切り上げたいんですけど」


『そんな!』


 こんな事を言い出さなければ俺も邪険に扱わなかったと思うし、同じ転生者として助けて上げたいって気持ちも僅かにあった。


 実際問題、世界樹(ユグドラシル)さまが悪魔を注意を引いてくれていなければ、とっくの昔にこの世界は悪魔に蹂躙されていた可能性すらある。


 感謝の気持ちでいっぱいになるはずなんだよ!世界樹(ユグドラシル)さまが悪魔を引き付けている間に力をつけて、助けてあげようってそんな展開になるのが魔法少女もののアニメじゃないか?


 なんで自分のことはいいからイチャラブセックスを優先しろって話になるんだよ。意味が分からない。


 どこまでいっても俺の世界観はエロゲらしい。


 深いため息が出た。


「言い訳は、もういらないです。俺も自分の気持ちに素直になろうって思ったので⋯⋯」


『それはつまり!?』


「もういいですか?」


『ええ!もう十分です。わたしは悪魔にザーメンをぶっかけられながらあなたたちがイチャラブセックスするのを心待ちにしておきます!ミューに報告するように伝えておかなければ⋯⋯ふふふ、楽しみにしてます!ふぅー!!いぇええーい!』


 そんな奇声と共に頭の中に聞こえていた声が途切れた。


「アルミホイル買わなきゃ」


 意味はないだろうけどな。マジカルパワーとやらをどうにかしなければ、どう足掻いても世界樹(ユグドラシル)さまの声を受信してしまう。着拒とかってできないのかな?


 また、ため息が出た。


「⋯⋯⋯⋯」


 薄らと見える世界の壁をもう一度視界に入れてから窓を閉める。今の俺ではあの壁はまだ壊せない。強くなるしかない。


 魔法少女が強くなる方法は単純だ。幸福を感じればいい⋯⋯幸せだって心の底から感じた時に魔法少女は強くなる。


 世界を救うために啓吾と愛し合う。そんな言い訳は別にいらないんだけどな⋯⋯もう、自分の気持ちには向き合えたから。


「まだ、起きてるかな?」


 ベッドの傍に置いてあったスマホで時間を確認すると世界樹(ユグドラシル)さまと話しているうちに日が跨いでいた。


 0時を回っているからなー。流石に寝ているか?


「確認だけ⋯⋯」


 寝てたら諦めようって、逃げ道を作って部屋の扉を開けるリビングまで足音を立てずに向かう。


「あ、明かり⋯⋯」


 リビングがまだ明るい。


 啓吾は暗くしないと眠れないタイプだ。まだ、啓吾は起きてるってことだ。


「いく、か」


 胸がドキドキしている。結果的に言えば世界樹(ユグドラシル)さまに背中を押された形にはなったけど、俺は啓吾が好きだってはっきりと分かった。


 啓吾が俺に言ってくれたように、自分の気持ちを素直に伝えたい。


 リビングに近付く度に緊張が高まっている。


「啓吾?」


 リビングのドアノブに手をかけて勇気を出して開けてみた。


「あれ?」


 リビングには啓吾の姿がなかった。テーブルの上にはスマホと鍵が置きっぱなし。帰った訳ではない。となると⋯⋯。


 予測をつけて廊下を歩いてトイレまで向かうと、照明のスイッチが入っていることに気付く。俺の目当ての人物はトイレに籠っているようだ。


 どうしようか?小にしろ、大にしろ⋯⋯トイレにいる時に声をかけるのは気まずいな。リビングで待っていようか。


 そう思ってその場を離れようとした時、啓吾の苦しそうな声が聞こえて足が止まる。


「啓吾?」


「⋯⋯ん⋯⋯っく⋯⋯」


「啓吾!!」


 啓吾の声に居ても立ってもいられずトイレの扉をドンドンドンと強く叩く。大丈夫か!と声をかけるとやっと反応が返ってきた。


「⋯⋯大丈夫だ、⋯⋯腹⋯⋯下してるだけだから」


 啓吾の苦しそうな声に胸がキュッとする。


「本当に、大丈夫か? 救急車呼んだ方がいいか?」


「そこまで酷くないって⋯⋯ちょっとお腹がギュルギュルしてるだけだから」


 俺を心配させない為か、啓吾が声を張ったのが分かった。


「本当だな?」


「あぁ⋯⋯楽になったら戻って寝るから、そこまで心配するな」


「分かった⋯⋯薬出しておくから後で飲めよ」


「悪い、助かる」


 腹を下しているなら人に近くにいて欲しくないよな。俺だって排泄音とか聞かれたくないもん。それが好きな人なら尚更。


 それでも心配なので薬を出しておくことにする。リビングに戻って棚に置いてあった薬箱から整腸剤と鎮痛剤を取り出して机の上に置いておく。


 楽になったらリビングに戻ってくるって言ってたから、ここに置いてたら分かるよな?


「大丈夫かな?」


 心配なのでそのままリビングで待っていると、しばらくして啓吾が戻ってきた。


 顔色が良くない。お腹を抑えて辛そうにしている。俺の顔を見ると辛さを耐えるように歯を食いしばった。


「啓吾⋯⋯」


 無理しているのが一目で分かった。


「そんな心配そうな顔すんな。出すもん出したら落ち着くと思うから」


「うん⋯⋯」


「薬出してくれたんだな。ありがとう⋯⋯」


 辛いのは本当に腹痛だけだろうか?顔が青白く見えるのは俺の気の所為か? どうしても啓吾が無理しているように見えた。


「本当に大丈夫か?」


「ま、流石に今日は無理をし過ぎたからな⋯⋯そのせいだと思うわ」


「なら!」


「大丈夫だって。薬飲んで安静にしてたら治るからさ⋯⋯本当に辛かったらちゃんと言うよ」


 大丈夫だから、と念を押された。


 俺が言えたことではないけど、一人で抱え込まないで欲しい。無理している啓吾は見たくない。


「ちゃんと言えよ」


「約束する。⋯⋯ほれ、もう遅いから先に寝てろ。純平がいつまでも起きてたら気になって、出るもんも出ないから」


「分かった」


 俺が此処にいることで、俺に気を遣わせないように意地になっている気がする。自分の弱ってるところを見せたくない。そんな男のプライド。俺も男だから、その気持ちはよくわかる。


 本当は心配だけど、啓吾の言う通りにしよう。


「おやすみ」


「あぁ、おやすみ」


 コップに水を注いで薬を飲む啓吾の姿を視界に収めてから、リビングを後にする。


「ん?」


 リビングを出て直ぐ、扉越しにではあるけど啓吾が俺の名前を口にしたのが分かった。小さな声だったから呼び止める為じゃない。


 耳をすませて聞こえてきた言葉に頬が緩む。


「うん、俺も好きだよ⋯⋯」


 啓吾には聞こえないように小さく呟いて自室へと向かう。


 今度はちゃんと面と向かって言うからさ、早く元気になれよ⋯⋯啓吾。

主人公に原作知識がなかった場合、人知れず啓吾は死に⋯⋯数日経った後に啓吾が行方不明になったことを知ります。

悲しみに暮れる主人公を慰めるていで害獣が近寄ってきて初体験⋯⋯なんてエロゲ的なIfもあったり。

この世界線では漆原にチ〇コを使えなくされているのでありえないですけどね。

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