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スタイリッシュ異能バトルの世界で俺だけ魔法少女としてエロゲの竿役と戦ってる  作者: かませ犬


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救う方法

「なぁ、啓吾⋯⋯」


「なんだ?」


 テーブルの向かい側の席に座った啓吾が俺が作ったチャーハンを勢いよくかき込んでいる。よっぽどお腹が空いていたんだな。美味い美味いって言いながら食べてくれるから作った側からすると嬉しい。


「お前の能力でさ、悪魔たちの世界に乗り込む方法とか分からないか?」


「おいおい、それくらい解るに決まってるだろ」


 なめんなよ!とチャーハンを一気にかき込んで食べ終わると、こめかみに手を添えて人差し指でポンポンとしている。


 啓吾曰く、別にこんな動作をしなくても能力を発動できるが⋯⋯使っているのが分かりやすくていいだろって。俺に対するパフォーマンスだな。


「オレの能力(アビリティ)によると可能とは出ている。けど、今の段階では無理だな」


「なんで?」


「悪魔の侵入を防いでいる世界の壁ってのがあるから逆に乗り込めないんだ」


「あー、そうなるのか」


 戸締りをしっかりし過ぎているせいで、こちら側まで通れなくなっている感じだな。


「それに⋯⋯一人で乗り込むのは危険だ」


「まぁ、それもそうか」


 悪魔の総数がどれくらいいるか分かっていない。少なくとも幹部である『百八柱』の百以上いるのは確かだ。


 魔法少女として抱える問題を早く解決したい気持ちはあるが、流石に無謀すぎるか。多勢に無勢なんてレベルじゃない。


「正直、オレからすると純平が一人で戦ってるのは気が気じゃない」


「けど、俺を魔法少女にした妖精曰く⋯⋯悪魔はマジカルパワーを持つ者以外には倒せないって」


「らしいな。オレの能力(アビリティ)もそう返答しているよ」


 マジカルパワー以外で倒せるなら、俺がわざわざ世界の為に戦う必要なんてないんだ。放っておいたら多分、『アビリティ・ストライク』のラスボスが出っ張ってきて対処してくれる気がする。


 あのチート野郎なら悪魔に負けることはまずありえないしな。


「悪魔のことは魔法少女の俺に任せておけよ。どうにかするから」


「オレの能力で手伝えることがあればなー」


「それこそ悪魔が次はいつ襲ってくるとか解るか?そしたら凄い助かるんだけど」


「おっ!そういうところならオレも貢献できるか!いいね」


 先程と同じようにこめかみに手を添えている。なるほどねー、と小さく呟いた後うんうんと、首を縦に振っている。


「オレの能力(アビリティ)によると次に悪魔がこの世界にくるのは四日後だ。しかも次は二体同時にくるらしい」


「四日後!」


「どうした?」


 一番、最悪なタイミングで悪魔がこの世界にくる。よりにもよって四日後かよ⋯⋯その日が、雲雀と啓吾が戦う日だぞ!


 原作の流れはしっかり覚えている。時系列もだ。今から二日後の日曜日に雲雀と雀はラスボスと遭遇してバトルを行う。正直、そこら辺はもうどうでもいい。


 推しキャラに会いたいとか、今は割とそれどころではない。いや、まぁ気になるから原作イベントは見にいくけど⋯⋯以前のように心躍る感じではないな。


 俺が確認したいのは原作と流れが変わっていないかだ。俺が雲雀と関わったことで多少、物語に変化が起きているのは知っている。それがどこまで影響するかをこの目で確かめておきたい。


 ───俺は、啓吾を助けるために原作に介入する。


 その想いはもう確固たるものだ。その上で原作のことも考えないもいけない。


 一番簡単な啓吾を救う方法は雲雀との戦いに啓吾が勝つことだ。啓吾がラスボスに殺されたのは雲雀に負けて、無様にアジトに戻ったから。なら、啓吾が勝てば死ぬことはない。


 けど、その場合⋯⋯原作が詰む。啓吾が雲雀を殺すとは思いたくないけど、負かすことで原作の展開が大きく変わるのは間違いない。


 そうなった時、この世界はどうなる? 雲雀や仲間たちの活躍がなければ『Los Lobos(ロス・ロボス)』を倒すことはできない。雲雀がいなければラスボスを倒すことはできない。


 展開が大きく変わる。それこそラスボス勝利エンド待ったなしだ。


 そうなるとこの世界はどうなる? ラスボスが理想としている『能力者のための世界』になるんじゃないか?少なくとも原作で語る世界像はラスボスの理想を押し付けたようなクソッタレだ。


 そんな世界になれば生きづらくて仕方ない。だから、原作通りに雲雀たちにラスボスは倒して貰った方がいい。


 なら、どうやって啓吾を救う?


 原作におけるソルシオン戦は雲雀の成長の為には必要不可欠だ。雲雀の成長はラスボス討伐へと繋がる。その戦いを経験させた上で、啓吾を救うにはラスボスに殺される前に救うしかない。


 俺がラスボスを倒す?魔法少女になった俺なら雲雀たちの代わりにラスボスを倒せる?⋯⋯無理、だな。


 勝てるビジョンがまるで浮かばない。チートすぎるんだよな、ラスボスが持っている能力が。雲雀たちが勝てたのが不思議なくらい最強なんだよ、あいつ。


 そうなるとラスボスと敵対するのは合理的じゃない。


 だから啓吾の死因となっている、アジトに戻る前に俺が回収する! それが最善の選択肢じゃないか?


 啓吾の能力はぶっちぎりのチート能力の一つだ。組織として考えるなら、生かした方がいい。それは間違いない。


 啓吾が原作で殺された時、不幸が二つ起きていた。一つは能力を使い切ってボロボロの状態でアジトに帰還したこと。


 能力を使い切っていなければ自身の能力で死を切り抜けることができた筈だ。あのラスボスなら口八丁で丸め込むことができただろう。


 そしてもう一つが、ラスボスの右腕 (ルオ)(グイ)がいなかったこと。彼は参謀としてラスボスを支えている。思慮の足りないラスボスを補佐をするのが彼の役目だ。


 若鬼があの現場にいれば啓吾の能力の有用性を説いて、生かす選択肢も生まれた筈だ。つまり啓吾が負けてあの日アジトに戻りさえしなければ⋯⋯ラスボスに殺されることはない!


 その場しのぎでいい。それで啓吾を救える筈だ。俺は原作で起こる雲雀と啓吾の戦いを見届けた後、啓吾を連れ帰る。それが啓吾を救いながら、原作通り進める方法!


 ただ、不安要素は一つある。啓吾が生きていた場合⋯⋯原作がどうなるのか?


 啓吾が生存している場合、『Los Lobos(ロス・ロボス)』の幹部としてまた雲雀たちの前に立ち塞がること間違いない。その場合、雲雀たち⋯⋯詰むんじゃないか?それくらいチートなんだよな、こいつ。


 作者もぶっちゃけてたけど、啓吾が生きてたら主人公たちが勝てないから退場させたとか言ってたよな、確か。マジでそのレベルの能力なんだわ。 


「どうした?」




 ───監禁するか?




 連れ帰った後、原作が終わるまで俺の家に閉じ込めておくか?そうしたら啓吾は関われないから原作通りに進むだろう。


「いや、なんでもない」


 流石になし、だな。


 魅力的な案にも思えるが、啓吾に嫌われる可能性がある。それは嫌だ。そうなると⋯⋯どうするか。上手いこと誘導して主人公陣営に加えることが出来ないかな?


 そもそもの話、なんで啓吾が『Los Lobos(ロス・ロボス)』に所属しているかが、分からない。原作で全く語られていなかったからな。


 能力が目覚めたきっかけは心当たりがある。多分、啓吾の父親の事故がきっかけだろう。父親が亡くなったあの日に能力に目覚めた可能性が高い。家族が大好きだからな⋯⋯啓吾。


 ───人質、か?


 『アビリティ・ストライク』のラスボスは手段を選ばない冷酷な男だ。幹部の中にはラスボスに無理やり従わされた者もいた。そいつは確か、子供を人質に取られていたな。


 啓吾も同じように家族を人質に取られて、無理矢理組織に入れられた可能性がある。


「⋯⋯⋯⋯」


「オレの顔をジッと見つめてどうしたよ?」


 一番手っ取り早いの啓吾に聞くことだけど⋯⋯原作のソルシオンが脳裏に浮かんで聞くことができない。


 ソルシオンとして雲雀と戦うこいつは普段の啓吾とは思えないほどに冷たい。雲雀を倒す為に手段を選ばない冷酷さすら見せた。


 俺の知らない⋯⋯啓吾の一面だ。


 『Los Lobos(ロス・ロボス)』について聞いたら、豹変するとか⋯⋯ないよな?他のアニメや漫画だと、真実に近付きすぎて殺されるなんて展開もよく見る。


 能力について語っても『Los Lobos(ロス・ロボス)』について話す気配はない。俺を巻き込まないためかな? そうだと、いいな。


 なら、無理に聞かない方がいい。


 俺がこの世界が『アビリティ・ストライク』の世界だと啓吾に話さなかったように、誰もが話したくないことはある。


 啓吾にとって組織がそれだ。ソルシオンとしてのもう一つの顔が、啓吾の話したくないものなんだと思う。


 だから無理には聞かない。どんな事情があるかも知らない。俺は俺のエゴで啓吾を助けて、原作通りに進めればいい。


「なぁ、啓吾⋯⋯俺の分食べるか?」


「あん?どうした?いつもならそれくらい食べるだろ?」


「いや、女の子になったせいか⋯⋯胃が小さくなったみたい」


「なるほどなー」


 いつもの感じでチャーハンを作ったはいいが量が多すぎた。女の子になって食べれる量が減ったのは知ってたつもりだけど⋯⋯啓吾と話していると、それが楽しくて量を減らすのを忘れてた。


「ならオレが食べるからくれ。お腹が空いてるから入ると思うわ」


「悪い⋯⋯助かる」


 皿に三分の一ほど残されたチャーハンが啓吾の元に渡り、レンゲを使って先程と同じようにかき込んでいる。


 美味しそうに食べてくれるのが、凄く嬉しい。ジーッと見つめていると、バツが悪そうな顔をするのでふと思いついたことを口にする。


「食べ残しを食べる場合ってさ」


「なんだよ⋯⋯」


「間接キスになると思う?」


 啓吾が口に含んだものを吹き出しそうになり、手で咄嗟に抑えていた。


「お前⋯⋯ふざけんなよ」


「はははは!冗談だよ冗談」


「たくっ⋯⋯」


 ぶつくさ言いながらも啓吾は俺が作って、俺が食べ残したチャーハンを完食してくれた。本当に良い奴だよな。


「ご馳走様!美味しかった!」


「お粗末さま」


 食べ終えた食器を持ってキッチンに向かう。洗い物をしながらチラッと啓吾の方を見ると布巾でテーブルを拭いていた。なんとも気が利く男だ。


「⋯⋯⋯⋯」


 俺たちの関係は親友だ。俺が女の子になっても啓吾は分かってくれた⋯⋯。


 純平(おれ)として接してくれている。


 ふと思ったんだ。


 たびたびSNSで話題になる男女の友情について。俺たちの場合はどうなるんだろうな?


 元が男で、今は女。啓吾から見て俺はどう映っているんだろうか?


「ん?何かようか?」


「いや、なんでもない。ゆっくりしててくれ」


「了解ー」


 ───今度聞いてみるのも面白いかもしれない。

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