第42話 出会い
集落を出発して3日、俺の予想通り特におもしろい事も無く、獣が度々襲ってくるものの俺が真っ二つにするかメレンが魔法で爆殺。
集落を出てからメレンはなんか機嫌が良さそう。最近ずっと不機嫌そうだったが、直してくれたようでよかった。でもなんで機嫌悪くしてたんだろう?俺ずっと睨まれてたんだが………。俺のせいか?
今は歩き疲れて一休み中。拉致されてきたばかりの頃に比べて随分歩き慣れたがそれでもかなり辛い。起きたら筋肉痛で上手く立てなくなることすらあるし。
メレンは今は俺にもたれ掛かってうたた寝。地面にごろ寝は固いから嫌だと今更ながら駄々をこね、そのおかげで俺は全く動けない。
寝顔は可愛いが一時間程動いてないせいか足が痺れてきた。あと、そろそろ出発したいのだが………。
「ほら、メレン。さっさと出発するぞ。起きろ。」
少々強引だが肩を掴んで前後に揺らして起こす。メレンは起こされ方が気に入らなかったせいか少し不機嫌そうだったが、すぐに直ったようだ。
そのまま順調に進んでいき、段々日も落ちてきたところで今日は進むのはここまでにして、焚き火と食事(葬った獣の肉を乾燥させたものを持ち歩いている)の準備をしようとした時。
「…………?カイン、何か聞こえない?」
メレンにそう言われて耳を澄ます………確かに聞こえるが、何の音だろう?どうやらそれ程遠くでもなさそうだ。
「これ、鳥が羽ばたいている音かな?」
…………わかりづらいがバサバサいう音が聞こえる。
「一応様子見に行く?誰かか襲われてるかもしれないよ?」
「そうだな……一応、戦う準備をしておこう。」
俺は剣を抜き、メレンもボウガンを構えた。そして音のする方へ向かっていくと……。
誰かが俺が最初に出会ったあの大きな鳥三羽に襲われていた。男のようだが、鳥とやりあっていてよくわからない。
「げ、本当に襲われてやがる。メレン!!」
「わかってる!!そこの人、伏せて!!」
メレンが素早くボウガンを二発鳥の頭に撃ち込んで一匹撃破。鳥の頭が吹っ飛んで血と脳と頭蓋骨の破片が飛び散る。鳥達は不意討ちにびっくりしており、一羽がどこかへ飛んでいってしまった。
もう一羽はさらに男に襲いかかろうとする。
「させるか!!」
俺はそう叫んで斬撃を飛ばす。斬撃は左の翼に命中。切断まではいかなかったがいまにも千切れそうな状態になり、到底使い物にならない程の重症だ。
地面に落ちた鳥は男の方へ這っていったが男に頭を蹴られて絶命した。
男が俺達に話しかける。
「君達、ありがとう。俺一人じゃ危ないところだったよ。」
男は俺と同じくらいの年齢だろう。身長は俺より10センチ程高い。焦げ茶色で俺よりやや短い髪で、全体的な顔のパーツは整っている。
で、服装は………どう見てもあっちの世界の洋服。白いTシャツに青いジーンズという格好。と、いうことは、この人も………。
「もしかして………アニマロイドに連れてこられたとか?」
「あぁ。よく知ってるね。そういう君達もあっちの世界から?」
「あぁ。」
男の背後からキツネが出てきた。こいつも機械動物………。
男は俺達に自己紹介した。
「俺はジェルス。ジェルス・ノヴァール。16歳、学生。君達は?」
「俺はカイン・セプル。アンタと同じ16だ。」
「へぇ、カイン………。アダムとイヴ?」
「Cainじゃない。Kainだ。」
「そうか、で、そちらの可愛いレディーは?」
「メレン・マチル。あと、私は17だから。」
「へぇ。17か。俺より年上か。よろしくね。メレン。………て、メレン!!?」
ジェルスはメレンを見て驚愕したような表情になる。どうかしたのか?
「メレン・マチルっていったらあの………マチル家の一人娘の?」
は?マチル家?
メレンは面倒くさいというのが顔に書いてある。
「いや、まぁ………そうだけど。」
「すいません、マチルさん!!軽率な言動を………。」
「あぁ、いいから。そういうの。メレンって呼んで。あと言動も改めなくていいから。」
ここで俺がメレンに話しかける。
「えーと、メレン。その……マチル家っていうのは……。」
「あ、あなたには話してなかったっけ。私はマチル家の一人娘。要するに名家の跡継ぎね。」
「あ、跡継ぎ……。」
ヤバい。こいつが名家の一人娘……。とんでもない奴と一緒に旅してた。しかも同じ部屋で寝泊まりもしてたし……。
「別に私は跡継ぎなんてしたくないんだけどね。一般人と同じような暮らしがしたい。お金持ちの生活って肩身が狭いの。自由が殆ど無い。私もここに来るまではスケジュールに縛られて生活してたし。」
あぁ、ヤバい。こいつの親父さんが俺がメレンと同じ部屋で寝てたの知ったら俺始末される。一般人が名家のお嬢様と1つ屋根の下とか許されるものではないだろう。
「で、その事でちょっとメイドと喧嘩しちゃってさ、感情に任せて家飛び出した所に拉致されて来ちゃったの。家飛び出したのは申し訳なく思ってるけど、おかげで今私は縛られてないからその点では幸せかな。それとさ。私の友達も私をお嬢様として見てるから、どうもよそよそしくってさ。カインは私をお嬢様としてではなく、一般人として見てくれてたから、その、ちょっと嬉しかったよ、………て、カイン、あなた聞いてる?」
ヤバいヤバいヤバい。どうしようどうしようどうしよう。これじゃ世界救っても俺の人生バッドエンドじゃん。
「……………………。」
いや、もう、この時点でバッドエンドなら、いっそメレンを好き勝手したあと始末された方が
「話しを聞けーーーーーーーー!!!!」
「ゴハァッ!!(断末魔)」
メレンのハイキックが俺を現実へと戻してくれた。メレンは怒った表情になりながら続ける。
「とにかく!あなた達は私の事をお嬢様として見ないで。一般人として見て。カイン、今まで通りに接してよ。別にこの世界で何しようが私のお父さんに知られる訳ないんだから。」
「はいはい。わかったよ。で、ジェルス。お前はこれからどうするんだ?」
「どうするって………これから城に向かう所だけど………。」
「よし、それじゃ、一緒に行こうぜ。一緒にいた方が安全だろ?それに、数が多い方がにぎやかでいいと思うぜ?メレンもいいよな?」
「うん。もちろん。別々よりかはずっといいよ。」
「わかった。じゃあ、よろしく頼む。」
と、いう訳で新たにジェルスを加えた俺ら三人は焚き火を焚いてた場所までもどり、食事をしながらあっちの世界にいた頃の話で盛り上がり、その後、眠りについた。




