第27話 集落へ(続き)
「えーっと、ちょっと………すみません。」
俺は兵士にそう言ってメレンに詰め寄った。兵士に聞こえないよう小声で。
「お前はいきなり何を言っているんだ!?」
「いや、正直に言っただけ………」
「馬鹿野郎!いきなり異世界から来ましたとか痛い妄想か精神疾患だと思われるだろうが!!」
絶対頭がおかしいと思われて追い返される。いや、病院か何かに隔離されないとも限らない。
「大丈夫大丈夫。魔法なんていう私たちにとっては痛い妄想みたいなのがあるんだし異世界転送くらい信じてくれるって。」
「そんなものか………?」
と、その時、兵士が予想外の発言を。
「君たち……それは本当か?」
……………本当の事言った方がいいかな?
「は、はい………。」
途端に嬉しそうになる兵士。
「そうか!言い伝えは本当だったのか!!」
……………は?言い伝え?
「君たち!これから君たちを族長様の元へ案内する!!いいな!!」
……………取り敢えず、入れるみたいだ。
内部は以外とたくさんの建物が建てられており、人も多く住んでいるようだ。あちこちで小さな子供達がおいかけっこなどで遊んでいる。
なんか、魔物に襲われているとか言っていたから外出してる人なんていないと思っていたから以外だ。
そしてこんな辺境な場所(失礼だが)なのでご老人ばかりかとも思っていたが若い人がかなり多い。というより大部分を占めている。
ふと、若い女性が娘と思われる7、8歳くらいの女の子と出店で買い物をしているのが目についた。木彫りの人形が欲しいらしく、女性の服を引っ張ってねだっている。人形がハニワみたいで全然可愛くないのはおいといて微笑ましい光景だ。
そして歩いて数秒経ってから、メレンがその親子を食い入るように見つめて足を止めているのに気がついた。
俺は引き返してメレンの肩を叩いて声をかけた。
「メレン?」
メレンは反応しない。どこか悲しげな顔をして親子を見つめている。
「おい、メレン!」
「あ、何?」
「どうかしたのか?じっと見つめていたけど……。」
「えーっと、その、可愛らしくて、つい。」
明らかに何か隠している。昔に何かあったのか?………深く追求はしないが。
「ほら、行くぞ。」
そう言うと、メレンは僅かに微笑んだ。
「うん。」
そして小走りで案内している兵士についていった。
………俺が気を揉んでも仕方ないか。
俺も急いで兵士についていった。
そして5分くらいして、俺達は大きな建物に辿り着いた。ここが族長さんとやらの自宅か。
俺はドアをノックしてドアを開き、中に入った。