第28話 族長
「えーっと、失礼しまーす。」
そう言って中に入る。内部はよく掃除されており清潔感のある部屋だ。
で、族長さまは…………もしかして、あれ、じゃなくて、あの、人……だよな?なんか超人ハルクみたいな巨人が静かに座っているが……。
なんかメッチャでかくて強面だ。俺達の世界のヤクザでもビビりそうな程怖い。俺だって膝が震えそうだし、メレンに至っては完全に怯えて俺の後ろに隠れている。
その巨人が口を開いた。
「おやおや、お客さんとは珍しい。しかも子供とは。道中危ないのによく来ましたな。」
見た目とは裏腹に優しそうな声だ。その声でメレンは少し落ち着いたようで僅かに族長の方へ顔を覗かせた。
「はっはっは。お嬢さん、そんなに怯えんでもよい。まぁ、わしの顔が恐いから仕方ないか。」
それを聞いて、メレンは恐る恐る俺の後ろから出てきた。
「族長様、実は……」
そう言って兵士が族長に事情を説明する。そうすると族長は驚いたような顔をして、
「ほう、そうか………お主らが……。言い伝えは本当だったのだな……。」
それを聞いて、俺は族長に尋ねた。
「言い伝え……ですか?」
「そうだ。わしの先代の先代の……、どれくらいかは忘れてしまったがとにかくご先祖が族長をしていた時、集落を訪ねてきたシャーマンが預言をおこなったのだ。"集落で悪意ある魔物が現れたらこの世界の人にあらぬ人、剣と魔法で危機を取り除くであろう"と。」
「それが……俺たちだと?」
「そうだ。異世界から来たのであろう?間違いないだろう。」
「そうですか……。預言通りということはこの集落で魔物が暴れているのですか?」
「あぁ。そうだ。バロンガという魔物でな。そいつがここ数年の間に急に暴れだしおった。もともとおとなしい奴なのだが……よくない事の前兆なのかもしれんな……。」
やっぱり世界征服を目論む奴等の影響なのか……?
「では……その、バロンガとかいう魔物を退治すればいいのですね?」
「そうだ。できればわしで退治したかったのだが、よる年波には勝てんな!もう少し若ければ軽くひねってやれたのだが。」
いや、おじいさん。あなた今でも十二分にムキムキで元気じゃないですか。俺あなたに勝てる自信無いのですが。
「やはりこういうのは若い世代がやるに限る。わしも長い間頑張ったが、世代交代の時期だ。」
そんなものなのだろうか。
「話を戻そう。で、バロンガの住みかはこの森の中心……つまり更に奥深くにあるのだが……場所はわかるのか?」
げ、この森、どんだけ広いんだよ。道もわからないし……。
「いや、全然わからないですね……。」
「そうか。ならば、君たちへ道案内と手助けをしてくれる物を数名紹介しよう。」
そう言って族長は兵士に告げる。
「今手の空いている者はどれくらいいる?」
「はぁ……たしか、三名程いたと思います。」
「では、その者たちを連れてきてくれ。」
「はい。」
そう言って兵士は家を出た。待つ間、族長の奥さんが、俺達二人にお茶を出してくれた。なんか、奥さんがいたって平均的な身長なのに驚いた俺は変なのだろうか?
そして待つこと10分程、家のドアがノックされ、開かれた。




