第23話 獣の襲撃(続き)
テストがあったとはいえ、予定より遅れてしまったこと、深くお詫び申し上げます。
なんでこんな森に虎(正確には見た目が似ているだけで本物の虎ではないのだが)がいるかは置いておこう。そいつは大きさがヒグマと同じくらい。ずいぶんでかい。グルルルとこちらを威嚇しており、闘争心むきだしである。
こんな奴とまともにやりあっても勝てないだろう。勝ちたいのならせめてライフルとかグレネードランチャー(手榴弾を撃ち込む兵器)でも欲しいものだ。
しかしこちらにあるのは剣、短剣、弩。弩の矢なんて猛獣相手じゃ弱すぎる。ライフル弾が秒速800~1000メートルで対象をブチ抜くのに対し、弩は弓より少し強い程度の威力(ハンドガンにすら大幅に劣るが、鏃に毒を仕込めば威力は期待できる)。これでは怒らせるだけだろう。
しかし、こちらには魔法という大きな武器がある。隙を見て魔法で倒すのがいいだろう。
虎がジリジリとにじりよって来る。俺とメレンは虎と目を合わせたまま後ろにさがる。いつ跳びかかられてもいいように身構えておく。
……………コイツ、とびかかってこないな。何かに警戒しているのか?
………………もしかして、火を怖がっているのか?
考えてみればコイツも野生の動物だ。野生の動物は基本火を怖がるため、コイツにもあてはまるだろう。
俺は足元の大きな枝を拾い、魔法で燃えやすくして先端に着火させた。火を虎に向ける。
思った通り、虎は少しずつ後退していく。よし、これで魔法を撃ち込むのが容易になる。
「メレン、お前は魔力を溜めて。隙を見て一撃で仕留めよう。」
「分かった。」
メレンが手のひらの先に魔力を集め始めた。半透明の魔力の塊が少しずつ大きくなっていく。
よし、これなら勝てる!!虎は怯えているし、魔力で一撃で仕留められる!!
と、思った矢先。
「ガルルルル!!!」
突然、唸りをあげて、虎がとびかかってきた。爪が俺に向かって降り下ろされる……………。
次は……………なるべく一週間以内にあげたい。