第12話 入院(続き)
(カイン視点)
「3日、ねぇ……………。骨にヒビ入っているとはいえ、結構かかるもんだなぁ………。」
俺は集中魔力治療室とかいう場所に送り込まれ、医者に
「下手に動くな」
と言われてずっと寝たままにしている。かなり暇だが医者に言われたから渋々寝ている。
「しょうがないよ、この状態から3日で治るんだからいいでしょ?」
そう言うメレンは動揺してるというか…………何か隠している様に見える。
「………お前、何か俺に隠し事でもしてる?」
「え、え?そんな事ないよ?どうしてそんな事聞くの?」
確実に動揺してる………こいつ、嘘が下手だなぁ…………。まぁ、大した事じゃないだろうし、あまり詮索しないほうがいいかな………。
「いや、気のせいか…………。ゴメン、変な事言って。」
「いや、いいの。で、良かったじゃん。普通なら何週間もかかるでしょ?」
「そうだな…………でも、暇だなぁ………3日このままとは…………。」
携帯でネットでも見れたらいい暇潰しになるのだがこの世界に来たら携帯の電源が勝手に落ちてしまい、点かなくなってしまった。今は壊れないようにネコに頼んで異次元にしまっている。
しかもこの世界は技術が全然進歩してないらしく、テレビ、ラジオ、雑誌、その他諸々もない。その為、こんな状況じゃ死ぬほど暇なのだ。
あーあ、あんな事やらなきゃ良かった。今思えばプロのロッククライマーでも絶対やらないようなもの、やろうと思う事自体が正気の沙汰でなはい。ましてや実際にやるななど…………。しかも軽い(小さい)とはいえ人を背負って…………。
「ねぇ、カイン?私、ちょっと町を詳しく見てみたいんだけど、行っていいよね?」
いいねぇ、メレンは………、俺は寝たきりを強いられているのに…………。もちろん、メレンにそんな事は言わないが…………。
「あぁ、もちろん。行ってきな。」
「うん、じゃ、行ってくるね。」
そう言って、メレンは走って外へ出ていった。
しかし凄いなぁ…………。回復の魔力で満たされている部屋か………。ここにいるだけで疲れが取れて、体が軽くなっていくような心地よさがする。ふと左腕を見るとひどく腫れていたのが収まり、傷跡だけになっている。
まぁ、今までずっと歩き続けたんだ…………折角だからゆっくりするとしようか…………。
……………その数時間後、医者からの話を聞き、メレンが下敷きにしてなければ入院期間は半分程度で住んだ事を知るのであった。
あいつ………隠してたのってこの事だったのか……………。
…………………はぁ…………。