第10話 到着
前回からちょっと間が空いたのですが……………俺高校生で色々あるので、許してください。なるべく早く投稿できるよう頑張ります。
うーん……………よく寝たなぁ…………。俺が目を覚ますと既に日が高く昇っていた。昼前くらいだろうか…………。俺は体を起こすと、体に付いた落ち葉を払い落とし、大きく伸びをした。と、同時に腕に痛みが走る。
あいつに切られた腕が大きく腫れている。やっぱり消毒しないと駄目だな……………。道具なんて無かったからどうしようもないんだが。
まぁ、それでもメレンには感謝しないとな………。メレンが治療してくれなかったらこれより酷い事になっていたに違いない。
……………やっぱり、メレンって昨日初めて聞いた名前じゃないな………。何処で聞いたかは覚えてないけど。………やっぱり気のせいかなぁ…………?ま、いっか。
メレンを見ると、まだぐっすりと寝ている。普段からとても可愛らしいが、寝顔は特に可愛い。俺は思わず微笑み、その寝顔を眺めていた。
……………………………。
………………コイツ、いつまで寝ているんだろう?もうそろそろ昼を過ぎると思うんだが…………。
「メレン、起きろ。」
と声をかけて体を揺さぶってみるが全然起きない。
その後もゆさゆさ揺さぶってみたりほっぺたをぷにぷにつついてみたり(起こそうと思ってやっているのであってメレンを愛でたくてやっているのではない)あれこれやってみたが起きない。
そういえば心の中で念じれば魔法が使えるんだよな…………。
ボフッ!!
「うわあぁ!!な、何!?」
落ち葉の寝床を魔法でひっくり返すとメレンがびっくりして飛び起きた。
「何じゃねぇよ、サッサと出発するぞ、もう日が高い。」
「うん……………すぅ…………。」
メレンの目が再びとろんとなって眠たそうになっていく……………。
…………………………。
「起きろーーーーーーーーー!!!!」
で、出発して大体3時間くらい。
「もうそろそろ森を抜けるぞ。」
ネコがそう言った。やっと………森が終わる…………そう考えただけで、不思議と力がでてくるような気がする。森を抜ければすぐ城下町だと言っていた。ようやくまともに休める…………。
ついに、森を、抜けたーーーーー!
と思ったら、ここは高い崖の上。崖の下に大きな城と町が見える。
え?城って崖の下にあるの?確かに森を抜ければすぐ近くなんだが………。
「おい、ネコ。この崖………どうすればいい?」
「どうすればって………降りろ。」
「いやいや、生身の人間が飛び降りるとか無理だって。」
「でも、ここ降りないと城には行けませんよ?」
「………………。」
嫌だがしょうがない。まず、杭となる太い気の枝を拾い、崖の近くに大きな石を使って打ちこんだ。体当たりして強度を確かめる………。
「だぁーーーーーー!!(断末魔)」
問題ない。全力でぶつけてみたが大丈夫だ。痛い…………。
次に、太いツタを集め、結んで一本の長いロープの代わりにする。それを杭と体に結びつけ準備完了。ここまでで大体2時間くらい。
「嫌!!絶対嫌!!」
メレンは怖がってやりたがらない。…………しょうがねえなぁ…………。まぁ、当たり前だよな……………。こんなのすすんでやるのは相当な馬鹿だ。
俺はメレンをおんぶするような感じで背負い、アニマル共に手伝ってもらい、ロープで結びつけた。
……………背中に柔らかい感触が…………………い、いや、気にしないでおこう。
「じゃ、じゃあ降りるけど、暴れるなよ。」
「うん…………。」
メレンの声は明らかに不安そうだ。俺だって不安だ。もしツタが切れて落ちたら確実にあの世行きだ。世界の危機を救いに来たのに落下死なんて笑い話にもならない。
俺はゆっくりと崖を降りていく。メレンが小刻みに震えているのがよく分かる。
そのまましばらく順調に降りていったのだが………、
真ん中あたりに差し掛かった辺りで急に強い風が吹いた。
「きゃーーーーー!!」
よほど怖いようでメレンが悲鳴を上げる。俺だって叫びたい程怖い。だが勇気を振り絞って少しずつ降りていく。
と、その時。
「カイン……………。杭が……………取れた…………。」
今にも泣きそうな声でメレンが言った。
「……………え?」
思わず上を見ると、杭がこちらに向かってまっすぐ落ちてくる。あ、ヤバい。
杭は俺の頭に直撃し、俺は思わず手を離してしまう。
「うわあぁぁぁぁ!!!」
「きゃあぁぁぁぁ!!!」
真っ逆さまに落ちていく。ヤバイヤバイヤバイ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ!!!
と、その時、俺はとっさに思いついた魔法を使った。
ブオォォォ!!
上昇気流を発生させ、落下を緩やかにする……………のだが。
前にネコが言っていた通り俺に魔力があまり無いのか地面に着く少し前に上昇気流が止まってしまった。
ドサアァァ!!
「うああぁぁ!!(断末魔)」
うぅ………死ぬかと思った…………。幸い、メレンが上になってたからメレンは無傷なのだが落下に加えてメレンの下敷きにされたから衝撃が半端じゃねぇ………。
「ごめんなさい…………カイン………大丈夫………?」
メレンが心配そうに声をかけた。
「あ、ああ…………。なんとか……………うッ!」
痛みで息が詰まる。俺はメレンを結んでいるロープをほどいてよろよろと立ち上がった。痛みでふらつく。肋骨を何本か折ったかもしれない。まともに歩くのが難しい。
「無理しないで。カイン。歩ける?」
「うっ…………!!キツい…………。」
「支えてあげる…………。これならどう?」
「ありがとう………悪いな、迷惑かけて…………。」
「ううん、迷惑は私のほう。ごめんね、カイン。私のせいで…………。」
「お前のせいじゃないさ…………それより、早く行こう。暗くなり始めている………。」
メレンに支えられながら俺は城のほうへ歩いて行った。
そして門の所に辿り着くと、見張りの兵士らしき人が声をかけた。
「そこの方、大丈夫ですか!?」
メレンがその兵士に言った。
「早くこの人を、カインを病院へ………。」
そして俺は病院へと運び込まれた。