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熊について

「山歩きと熊」


 幼稚園児、もしくは僕に山の絵を描いてくれと頼むと、こんな2次元的な絵を描くだろう。

挿絵(By みてみん)


 実際の山には奥行きがあり、頂上を繋いだ線を尾根、低いとこを繋いだ線を谷という。

挿絵(By みてみん)

尾根の特徴は以下の通り


・地形の影響で水や落ち葉、木の実(栄養源)が集まらず、風も強いので乾燥する

→植物が育ちにくい

→周囲より高く、さらに植物も少ないので、見通しが良い

・水が集まりにくいので、整備した道がぐちゃぐちゃになりにくい

・ケータイの電波が届きやすい


山歩きをするにはうってつけの道である。登山道は尾根に作られることが多い。


では逆に、谷の特徴を以下に記す。


・水、落ち葉、木の実が周りの高い場所から集まってくる

→いろんな生き物が集まってくる

→熊も例外じゃないです…


というわけで、登山するときは沢の近くで警戒MAX、尾根についたら滅多なことでは熊に合わないので気楽に行きましょう!



「熊スプレー」


 ある日森の中熊さんに出会ったとき、命を助けてくれるのは鍛え抜かれた肉体でも、神への信仰でもない。熊スプレーである。


 数年前まで熊スプレーの流通量は少なく、ドイツのようわからんメーカーが作った射程5メートルの小さいやつを携帯するほかなかった。ただ、去年あたりの熊被害が騒がれだしたタイミングで、日本製の射程距離が長いスプレーが市場に出回るようになった。弊社でも射程10メートルのものを2本購入し、登山の際に携帯している。


(弊社は四国の会社が作ったスプレーを購入したのだが、熊のいない四国で作ったスプレーがちゃんと効くのかといちゃもんをつける社員がいた。)


 去年の秋、調査で山登りをしたとき、ふと熊スプレー性能を知りたくなった。あたりに人がいないこと、風向きを確認し、スプレーを噴射してみたところ、噴射口から真っ赤な霧が広がり、2メートル先で霧消した。水鉄砲みたいにある程度狙いを定めて打つものではなく、煙幕のように自分の近くをガードするものらしい。赤いのはカプサイシン(唐辛子の辛い成分)だろう。

 射程10メートルって書いてあるのに、実際には2メートルしか霧がでないじゃん、やっぱ四国で作ったから射程短いのかなと考えながら山を降りた。


 それから2ヶ月経ったある日、後にも出てくる植物マスターおじさん(以下植おじ)と一緒の現場に入った。そのとき熊スプレーの話をすると、植おじも熊スプレーの効果を確かめるため、仲間数人と、近所の広い駐車場で実験を行ったらしい。


 1人が熊スプレーを噴射し、後の数人が10メートル先の風下で待機する。赤い霧は発射と同時に2メートル先まで広がり、その数秒後、今まで味わったことのない激痛が植おじとその仲間たちの眼を襲った。赤い霧は薄まることによって2メートル先で透明になるものの、薄まっただけで消えることはなく、10m先でも大人複数人を悶絶させる程度の辛み濃度を保っていたらしい。四国の工場の人たちも、こんな感じで実験していたのだろうか。



「熊と会った植おじの話」


 河川水辺の国勢調査というものがある。数年おきに国土交通省が全国の生き物屋さんを動員し、河川・ダムの動植物を調査しているんです。弊社は他の仕事で手一杯なので、なかなかこの調査には参加できないんです…


 先ほど可哀想な目にあっていた植おじは、この調査に駆り出され、東北の山奥の水辺の植物調査を行った。調査期間中、4回熊を目撃し、そのうち2回でかなり危ない目に遭っている。


 まず1回目、川沿いを歩いていたとき、5m前方の茂みからガサガサッと音がして、その音と共にかなり興奮した様子の熊さんが出現。「あ、おわった…」と思いつつも、ダメ元で熊スプレーを使用することに。


 熊スプレーには、誤射防止用の安全装置が付いているものがある(弊社のモノにはない)。平常時には1秒足らずで安全装置を外せるのだが、いざ熊と相対していると、この装置がなかなか外れず、5秒くらいかかったそうだ。震える手でなんとか装置を外し、指を押下すれば噴射できる状態になったが、この押すという単純極まりない作業も、極限状態になるとできなくなるらしい。とは言ったって、スプレーの押すとこ(正式名称知らない)を押せなくなるなんて信じられないですねぇと僕が言うと、植おじは「いやいやいや、ほんとほんとほんと」と強調する。熊スプレー(特に安全装置付き)を持っている人は事前に練習をしたほうがよさそう。


 なんとか熊スプレーを噴射すると、熊は逃げていったらしい。無事でよかった。


 2回目のピンチはこれまた川沿い。川の左岸側の調査が終わり、対岸の右岸側の調査を始めた。数分後左岸側の、さっきまで自分がいた場所近くのクルミの樹がユッサユッサと揺れている。恐る恐る上を見ると、ヒグマ並みのサイズを誇る、おそらくこの辺り一体の主であろうツキノワグマが、樹の上でクルミを食っていたらしい。


 熊がいる樹のお隣で調査をしていた植おじは「あんだけでっかいと餌には困っていないし余裕もあるから、こちらには見向きもしなかった」という。なるほど、でっかい熊より、痩せた熊の方が人を襲うのね。



 ちなみに最近の熊はクルミが好きだそうで、折れたオニグルミの樹があったら近くに熊がいる可能性が高いとのこと。僕もクルミが好きなので、同じクルミ好きのよしみで、見逃してください。お願いします。


以上、参考になれば幸いです。

書きたいことはあらかた書いたので、次回投稿は数ヶ月後です。


次回のタイトルが「新人さん、モームリで退職」とかにならないことを願ってます。

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