代償は
俺はフィーリナと登校していた。
二人とも日傘を差している。
「フィーリナさん、俺って吸血鬼になったの?」
「吸血鬼になったら、吸血鬼狩りに殺される対象だよ。劣化版の吸血鬼になったのじゃ、御前さんは。だから日傘を差しておるのじゃろ?」
「100%の吸血鬼じゃないんだ、ふぅー……どれくらい陽の下に出てたら死ぬんだ、俺は?」
「一時間くらいは平気じゃろ、多分……御前さん、今は眠くないのか?」
「今のところ眠気は無いけど……なんだよ、不安になるようなこと言い出して?」
歩くのを止めず、質問を投げかけてきたフィーリナだった。
「夕方まで容赦のない眠気が襲ってくるわい、御前さんに」
「夕方まで……えぇ〜っっ!?マジでですか!?」
「真じゃわい」
「うっそぉー!!!」
「御前さんのガールフレンドはこんでも良かったのか?」
「今日は休んだ方がいいから。他にデメリットは!!」
「味覚は駄目になるじゃろうな」
「えぇ〜っっ!!あぁあああぁぁぁ〜〜〜っっっっ!!!!!なんでそんな大事なこと言わなかったんだよっっっフィーリナさぁあぁぁんんんっっっ!!!!!」
俺は頭を抱え、絶叫した。
「言う余裕なんぞなかったし、聴いてこんかったからな。早よ立って歩け、御前さん。遅刻じゃろ」
「誰のせいでこんなダメージ食らってると思ってんだ!?フィーリナさんよぉ〜!!!」
「さぁ〜なぁ」
「おいっっ!!待てよ!!!」
校門を抜ける前にフィーリナが俺の影に潜って隠れた。
駐輪場から歩いてきた安堂が日傘を差しているのをめざとく指摘してきた。
「おい希沙連ぁ、なんで日傘なんて差してるんだよ?」
「陽射しが強くてな」
「はぁあ!?あの希沙連がなにを言ってんだ。日傘なんて差すなよ!!」
安堂に日傘を取られそうになって、日傘を握っていた手を安堂から距離をとった。
「やめろ、安堂!!」
周囲にいた生徒達が驚く。
「なんだよ、希沙連……」
安堂が走っていき、校舎に入っていく。
はぁぁ……吸血鬼の劣化版って。
陽射しの下を歩けないし、夕方まで眠気が襲ってくるらしいし、味覚も駄目になるって……はぁぁ。
体育はなんとか耐えられるらしいから良かったが授業中に寝たら……ああぁぁぁあああぁぁぁぁ。
授業はどうにか眠気が襲ってこずに乗り切れた。
まだタイムリミットは来てないのか、味覚はまだ正常だ。




