770話 エピローグ11
バルトーラからの出立を明日に控え、俺は白兎、ヨシツネ、タキヤシャを連れて白の教会へと向かう。
目的は白露への挨拶と、タキヤシャの約束……白の教会の門番、機械種タメトモに会う為に。
「機械種タメトモか………、ヨシツネがいるなら、タメトモがいてもおかしくないか」
「主様のおっしゃる原典によれば、拙者の叔父に当たる方なのですよね………、いまいちピンと来ませんが………」
街を歩きながら俺が独り言を呟くと、隣を歩くヨシツネが感想を述べる。
ヨシツネの原典である源義経と、機械種タメトモの原典である源為朝の関係は叔父と甥。
源為朝は、源義経の父親である源義朝の弟なのだ。
だが、原典が叔父と甥であっても、機械種同士だと無関係に等しい。
血がつながっている訳でも無く、もちろん顔を会わせたこともない。
しかし、少しばかりに歴史を学んだ者としては、名を模しただけの械種ではあれど、この両者を引き合わせしてみたくなり、ヨシツネを連れてくることにしたのだ。
世界と時を超えて、義経と為朝が出会うなんてロマンじゃん?
それを考えたら、滝夜叉姫と為朝との戦いも、そうだったのだろうけど。
「拙者の原典に関する本は一通り拝読いたしましたが………、どうにも妙な気分になりましたね。拙者………の原典が主様以外の者に従わねばならない所が特に」
「まあ、その辺は人間と機械種の違いだろ。人間である以上、肉親の縁には縛られるからな」
「結果、忠義を尽くしながらも、最後は兄、頼朝に疑われ、追われることとなりました。最後は逃げた先で討ち死に………。人間として考えるなら、不幸なのでしょう。しかし、拙者であれば、主様から疑いの目を向けられたのなら、大人しく縛につき、主様からの裁定を待ちました。それがどのような結果になろうと、受け入れることが忠義の証かと………。どちらにせよ、名前が同じなだけの遠い世界でのお話以上の物は感じませんでした。彼と拙者では考え方も生き方も違い過ぎます」
「それは………、従属機械種だからだよなあ………」
マスターに対する忠誠心が100%の従属機械種ならではの意見。
そもそも従属機械種であったのなら、その忠誠心を疑うなんてことはないのだろうけど。
マスターが『死ね』と命令すれば、即座に自死するのが従属機械種なのだ。
超高位機種や色付きになると個人差があるようだが、ヨシツネは特にマスターの命令に対して忠実な機種。
筆頭の白兎が割とちゃらんぽらんな所があるから、次席のヨシツネの生真面目さがちょうど良い具合。
ちなみにヨシツネは仮面をつけただけの姿。
人間そっくりなご面相を隠せば、外装を弄りまくったストロングタイプの近接型にも見えなくも無い。
見る人が見れば、レジェンドタイプではないかと疑われるかもしれないが、もう今更の話。
むしろ、ベリアルやロキ、豪魔や浮楽の存在をカモフラージュするには良い塩梅であろう。
「そう言えば、タキヤシャはどうだった? 自分の原典を知った時の感想は?」
ふと、後ろを歩くタキヤシャの感想を聞いてみたくなり、振り返って質問。
タキヤシャの原典、滝夜叉姫を記した書籍は流石に俺の蔵書にも無く、
散文的に残っていた記述をまとめて、『滝夜叉姫』の伝説を語ってあげたことがある。
その時は特に反応らしい反応を見せなかったのだが………
「…………ヨシツネさんと同じく、あまり自分事のようには感じませんでした。『お父様』を討ち取られた復讐なのでしょうが………、私の『お父様』はちゃんと健在ですから」
「お? お、おお、そうか………」
タキヤシャの発言に少々面食らう俺。
強化オプション『マサカド』のことなのだろうが、
『生首』状態を健在と言われても………と、違和感に耐えきれず。
だが、タキヤシャの中ではそれが普通。
元々最初からその形なのであれば、それを疑うことも無い。
「それに復讐はきちんと復讐を果たさなければ意味がありません。目には目を歯には歯を……、クヒッ! 受けた苦しみは10倍にして返さなければ復讐物とは呼べません……ヒヒッ!」
「いや、そのお話自体、そういうコンセプトじゃないから………」
ギラリと目を光らせ、顔に引き攣ったような不気味な笑みを見せて、私見を述べるタキヤシャ。
『復讐』に関することとなると、少々おかしな態度を取ってしまう仕様。
俺はそんなタキヤシャから数歩距離を取りながら、一応の反論を述べておく。
『滝夜叉姫』の物語は、父である平将門を朝廷に打ち取られた滝夜叉姫が復讐の為に神社で祈りを捧げ、荒魂から妖術を授かり、反乱を企てて、失敗する話。
復讐が大好きなタキヤシャにとっては中途半端だし、さらに自らと同じ名前の姫が敗北してしまうのだから面白いはずが無い。
源義経も、滝夜叉姫も、源為朝も、最後は戦いに敗れ、志半ばで倒れてしまう。
最後まで生き抜き、大往生で逝った英雄なんて少ないだろうから、
そういった意味ではレジェンドタイプの共通点なのかもしれない。
ピコピコッ!
『マスター! 僕の原典を知った感想はね!』
ヨシツネ、タキヤシャの話は終われば、次は自分の番とばかりに白兎がピョンピョン跳ねながら耳を揺らす。
フルフル!
『やっぱりボクが一番だったよ! 『因幡の白兎』でも、ボクなら鰐ごときに負けないし、『うさぎとかめ』だったら、ボクは昼寝したりしないから亀に余裕勝ち! それに『ピータ○ラビット』でも、ボクは素早いからマグレガーおじさんなんかに捕まらない! あと、『ミッフィ○』よりもボクの方が断然可愛い!』
「コラ、厚かましいぞ。世界中の童話に出てくるウサギを勝手にお前の原典にするな」
色んな方面を敵に回しそうな白兎の感想。
念のために『※これは白兎個人の感想です』と注釈を付けておこう。
気の知れた仲間達と雑談を挟みながら街中を進み、
もうすっかり元通りとなった白の教会の正門前に到着。
「さて、行くか。タメトモに会うにしても、まずは白露に挨拶しないと……」
白の教会の敷地内へと足を踏み入れる俺達。
そこから先は実にスムーズ。
すでに白の教会では俺は顔パスであり、事務手続きも待ち時間も無く白露の元へと案内される。
そして、白露に事情を話せば、すぐに機械種タメトモと引き合わせて貰えた。
「エヘン! これがレジェンドタイプ、機械種タメトモですよ! バルトーラの街の設立当初から、この教会を守って来た門番です!」
白露とラズリーさんに連れられ、教会の裏手に周り、街の中心部とは思えない程の広さを持つ裏庭へと移動。
白露が薄い胸を張りつつ両手を腰に当てたポーズで偉そうにタメトモを紹介してくれた。
「レッドオーダー化してしまったと聞いた時は、ツユちゃん、驚きのあまり後ろにひっくり返ってしまいました。続けて、修理可能な状態で倒されたと聞いて、心底ホッとしましたよ。ヒロとそちらのタキヤシャさんには感謝しかありません!」
「感謝してんのに、その偉そうなポーズは何なんだよ」
「だってツユちゃんは偉いのです! 偉いのだから、偉そうなポーズは当たり前です!」
ムフー! と鼻息荒く、俺からのツッコミを打ち返す白露。
どうやら今日の白露はクソガキムーブであるらしい。
「礼儀を知らないヒロにも視覚的に分かりやすいように、です! ツユちゃんが気を遣ってあげているのですよ! 感謝してください!」
「はいはい、ありがとよ…………、これはお礼だ!」
「むぎゅ! ぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!!!!!」
ムカッとしたので白露の頭を手で上から抑えつけ、
滑らかな銀色の髪をグシャグシャにかき混ぜてやる。
すると、白露は乙女にあるまじき悲鳴をあげ、
両手を振り回して俺に抵抗しながら抗議。
「ヒロ! なんてことするんですか! レディへの扱いがなっていませんよ!」
「お前がレディなんて10年早いわ!」
「なら、ヒロがジェントルマンになれるのは100年先です! それまでずっとモテない男子継続ですね!」
「なんだと! その暴言許すまじ! 仕返しに、このツインテールを蝶々結びにしてくれる!」
「ぎゃああああ! やめてください!!! 引っ張られると痛いです!」
「俺の心の方がよっぽど痛いわい!」
会うなり早々騒がしく喧嘩。
……いや、喧嘩とは言えないじゃれ合いみたいなモノだろう。
神聖であるはずの鐘守とこの街を救った英雄とも言うべき狩人のやり取りではないが、俺と白露の関係はずっと前からこんな感じ。
いつもは頼りない兄と生意気な妹のような、
まれに、情けない弟と優しい姉のような、
一言では言い表せない特別な関係。
バルトーラの街で出会って僅か3ヶ月程度だが、
俺にとっては中央に行っても忘れられない存在であろう。
きっとまた中央で出会える。
そう約束したのだ。
その時、おそらく姿が変わっていないであろう彼女に、
なんと声をかけるかは、未だ決められていない………
「白露様、ヒロ様。オフザケはその辺りでお止めください」
騒ぐ俺と白露に割って入ってきたのはラズリーさん。
颯爽としたメイド服姿にて有無を言わさない剣幕で注意。
「当のタメトモ殿が驚いてますよ。ご用があったのではありませんか?」
「あ、はい。すみません」
白露と同様、俺もラズリーさんには頭が上がらない。
どうしても年上の落ち着いた女性には逆らいにくいんだよなあ……
白露から手を放し、ラズリーさんに軽く頭を下げる。
すると、白露はピャーっと離脱して、ラズリーの背中に隠れた。
その上で俺に向かって、まるでお子様のように『ベー!』と舌を突き出してくる。
「む………」
後で白露のツインテールを固結びしてやる!と心に誓いながら、
タキヤシャが色々世話になったらしい機械種タメトモと改めて向かい合う。
全高2.5m近く。
分厚い装甲で機体を包んだ重装弓兵。
原典である源為朝の逸話の通り、右腕だけが異様に太く大きい。
背中に背負った超大型の和弓を引きやすく為の仕様であろう。
一言で言えば百戦錬磨の風格が漂う古豪。
ギリギリ中量級の大きさであるが、内から染みだす威圧感が重量級以上の迫力を振り撒く。
ブルーオーダーの時でさえ、真正面に立てばどんな猛者とて恐怖を感じずにはいられない。
現に俺も右手にカバーを付けた瀝泉槍を持っていなければ尻込みしていたであろう。
鎧兜の下の面頬から青い光が瞬く。
俺を品定めするように上から下までじっくりと眺めてくる。
そして、話し始めたのは機械種タメトモから。
発せられる幾多の年輪を重ねた重厚な響き。
老将軍と呼びたくなるような渋みと重みを併せ持つ声。
「ふむ? …………お主がタキヤシャのマスターか?」
「はい。この度はうちのタキヤシャがお世話になりまして………」
「カカカカカッ! お世話になったのは儂の方じゃぞ! カカカカカカッ!」
快活に笑う老将軍。
肩を揺らして大笑い。
「あのお嬢ちゃんが綺麗に動力部を一突きして仕留めてくれたおかげで、こうして今、自分の足で立っていられるからのう! お主の従属機械種は見事な腕じゃったぞ!」
「はあ………、まあ、タキヤシャの奮戦には俺も助けられました」
聞けば、教官の助力はあったにせよ、タキヤシャの会心の一撃が機械種タメトモの動力部を破壊。
それも損傷少なく、修理可能な状態で。
そのおかげで機械種タメトモも1週間足らずで復帰。
白露と白猫の2人で『蒼浄』を行い、無事、ブルーオーダーへと戻ることができたという。
「ほうほう? ………もしかして、儂を訪ねて来てくれたのは、例の約束の為だったかな、お嬢ちゃん?」
「はい…………、ですが、覚えてらっしゃるようですね」
機械種タメトモがタキヤシャへと声をかける。
するとタキヤシャが前に出て来て返答。
タキヤシャと機械種タメトモの戦いで、途中、教官が割って入って援護射撃を行ってくれたらしい。
そして、その後に続いた機械種タメトモと教官との言い争いも含め、
ブルーオーダーされ記憶を失うかもしれない自分に伝えてくれと頼まれた。
その謝礼の前払いとして受け取ったのが『5人張弓』の1機。
それが『赤の授与』として、タキヤシャ、及び、タキヤシャの従機の戦力アップにつながった。
タキヤシャはレッドオーダー時の機械種タメトモと交わした約束を律儀に果たそうとしたのだが、どうやら伝えるまでも無く、記憶は消されずに保持していた模様。
「カカカカカカッ!! 覚えておるとも! お嬢ちゃんの勇姿も、艶姿も、おっかない『お父様』とやらも! 儂の完敗じゃったわ! カカカカカカッ!」
「いえ………、ガンマン様のご助力がなければ、敗北していたのはこちらでしょう」
機械種タメトモの手放しの称賛にも、謙虚に振る舞うタキヤシャ。
とても目の前の豪傑を下した女傑とは思えないほどのお淑やかな姿。
しかし、機体スペックからしても、重量級に近い体格を持つ機械種タメトモ相手ではタキヤシャが不利。
そもそもタキヤシャは純粋な戦闘型ではなく、文武両道のバランス型なのだ。
バリバリの戦闘型相手では分が悪いに決まっている。
しかも、何百年前からこの街を守って来たと言う古豪の英雄型というからには、おそらく覚醒済み。
未だ覚醒に至っていないタキヤシャでは、強化オプションを限界まで使用して互角なのが精一杯。
多分、目の前の機械種タメトモの実力は、機体の大きさも考慮すれば、ヨシツネと同程度。
空間転移を得意とする高機動型のヨシツネと、
砲撃要塞とも言うべき仕様の機械種タメトモがぶつかれば、
果たしてどちらに軍配が上がるのかは、その時の運次第であろうが………
ふと浮かんだ想像に、僅かばかり俺の視線が斜め後ろにいるヨシツネへと移動。
すると、俺の挙動を見た機械種タメトモは、ふと笑うのを止め、
俺の背後に影のように従うヨシツネの姿へと視線を注ぐ。
機械種タメトモが……源為朝を原典に持つ機械種が、
機械種シャナオウヨシツネへ………源義経を原典に持つ機械種へ。
共に平安時代に造られた和甲冑姿。
どことなく似たようなデザインであることは素人目から見ても明らか。
気配を抑えてはいても、超高位機種であることは間違いない。
自身と同レベルの戦闘型ともなれば気にならないはずが無い。
「ほう? そちらの精悍な武士はお嬢ちゃんの同僚かの?」
「はい……、先任に当たります」
機械種タメトモの問いに、タキヤシャがおずおずと答える。
だが、立場を伝えただけで、名も教えず、紹介するそぶりも見せない。
それは当然。
紹介するもしないも俺の判断次第であるからだ。
チラリとタキヤシャから俺へと目配せ。
『どうされますか?』との問いだが、元々俺の意図は決まっている。
「えっと………、タメトモさん。俺の仲間を紹介しますね」
タキヤシャの前に出る。
機械種タメトモの前に立ち、仲間を紹介する旨を宣言。
「ほう? よろしく頼む」
俺の言葉に機械種タメトモは、ニヤリと笑ったような雰囲気を見せ、
ギラリと強い視線をヨシツネへと向けた。
自分の前に現れた新たな強者に興味津々である様子。
長い年月を稼働し続ける機種とは言え、戦闘型の本質は変わらない。
だが、俺が紹介するにしても、きちんとした順番がある。
ヨシツネを紹介する前に、当然ながら先に紹介しないといけない者がいるのだ。
「まず、俺の従属機械種筆頭、白兎です!」
フリフリ
『よろしくね、老公』
「……………お? ………おお、そうか。よろしく、のう………」
白兎が俺の足元で可愛らしく耳をフリフリ挨拶。
流石の機械種タメトモもこれには気勢を削がれた様子。
しかし、そこは老練な機械種にして、街の守り神でもある英雄型。
白兎の挨拶に機体を少しだけ屈め、白兎へと目線を近づけて返礼。
「ふ~む? 機械種ラビットが筆頭なのかの? お主も変わり者よの?」
「白兎は立派な筆頭ですよ。タキヤシャも含め、皆が従ってますから」
「ほう? それはそれは。小さいのに立派なことだの」
機械種タメトモは手で自身の顎辺りを触りながら感嘆の声を発した。
白兎はそんな機械種タメトモからの賛辞に気を良くして、耳をグルングルンと回転。
そのまましばし両者の間で会話が交わされる。
間に流れるのは温和な空気。
全長40cmのウサギ型と全高2.5m近い英雄型が向かい合い、
なぜか対等な雰囲気で語り合うという奇妙な場面。
そんな光景を眺めていると、俺の頭の中にふとした疑問が浮上。
見た目の格差は隔絶しているが、実力の程はどうだろう?
『八尺瓊勾玉』を取り込み、『征東将軍』の官職について以降、白兎は緋王の中位レベルまで実力を伸ばした。
チーム内の戦闘力でもベリアル、トロンに次いで第3位。
さらに整備技術や罠解除といったサポートスキルも完備。
また、チームでは唯一の時間制御を保有しており、まさに万能機と言っても差し支えが無いレベル。
おそらく機械種タメトモと一騎打ちで戦っても勝つのは白兎。
もちろん今の状況でそんな仮定は意味が無いのだけれど。
未来視の中では白兎はヨシツネと組んで機械種タメトモと対峙。
その時は2機がかりで苦戦したようだから、白兎の成長率は天琉に匹敵。
されど外見からその戦闘力を見抜くのは不可能。
機械種タメトモも、白兎が筆頭の座についていられるのは、まさか戦闘力もあってのことだとは思うまい。
俺の思考が終わったと同時に、白兎と機械種タメトモの会話も終了。
互いに満足した様子を見せる。
そして、次こそ機械種タメトモが望んでいたヨシツネの紹介。
「こっちが、俺の従属機械種の次席、ヨシツネです。俺が一番最初に手に入れたレジェンドタイプになりますね」
俺が前に出てヨシツネを紹介。
微妙に嘘ではないが本当でも無い情報を交えて。
俺の紹介に、ヨシツネはサッと一歩前に踏み出し、機械種タメトモへと軽く首肯。
青く輝く目はまっすぐに機械種タメトモを見つめ、
その口は一言も発することなく固く結ばれたまま。
それでも、一分の隙も見せない挨拶であることには変わりはない。
最低限の礼儀は心得た行動。
元々ヨシツネは社交的な機種ではないからこれが普通と言えば普通。
しかし、原典の関係からすればもう少し反応を見せてもらいたいモノだけど……、とも思う。
「ふむふむ? 随分と若い機種か………、稼働年数はお嬢ちゃんとさほど変わらんな。だが、随分と腕は立ちそうだ、恐ろしく短い間で研鑽を積んだのかの?」
「…………………そんな所でしょう」
「ほうほう? 声も滑らかだの。ひょっとして仮面の下は人間に近いのか? これは珍しい。戦闘型レジェンドタイプが覚醒によってここまで人間に近くなる例は少ないからのう……」
「……………そうですか」
機械種タメトモはそんな不愛想なヨシツネの態度を気にすることなく話しかける。
けれどもヨシツネの返事は最低限。
白兎とタメトモの会話とは大違い。
だが、別にヨシツネが不機嫌なわけではない。
仲間以外だとだいたいこんな感じの反応になるのだ。
その後も機械種タメトモはヨシツネに話しかけるも、
ヨシツネは一言二言返すだけの盛り上がらない会話が続く。
どうやら原典では叔父と甥の関係ではあるが、特にヨシツネに何の影響も見られない。
ということは、そこまで原典が影響するというわけではなのだろう。
もしかしたら、原典において、源為朝と源義経では物語上、両者の関わり合いが皆無という理由があるのかもしれない。
活躍した時代も場所も異なり、両者が出会ったという記録も無い。
それ故に特筆すべき影響が出ないという可能性もある。
まあ、いくら叔父と甥だからといって、いきなりペラペラと饒舌になるヨシツネは想像できないのだけれど………
「さて、このぐらいで良かろうか?」
「………………そうですね」
「では、始めるかの?」
「良いでしょう」
んん?
なんか、今………、
機械種タメトモとヨシツネの会話の流れが急変しなかったか?
やたら嬉しそうな機械種タメトモの声。
そして、なぜかヨシツネの返事も幾分感情が乗っていたような気が……
「え? 何、どうした、ヨシツネ?」
突然の変な流れに、ヨシツネを問い質す。
するとヨシツネは珍しく満足そうな微笑を浮かべて返答。
「ハッ! …………ここはやはり武人同士、刃と矢を交わし合って親交を深めようという話になりました!」
「なんでやねん?」
急に始まることとなったらしいヨシツネと機械種タメトモの模擬戦。
俺は話に付いていけずに、ヨシツネへとツッコミを入れた。
カクヨムの近況ノートに「狩人編の振り返り4」を投稿しました。
サポーター様限定にはしておりません。
ご興味のある方はご覧ください。




