第107話 マキカエレイ特別配信 その7~エンドレスな8月へようこそ
変身草のペナルティで石化しちゃったよー!
体は動かせないし、声も出せない!
どうしよう……。
(かえでくん、背後からゴブリンが2体やってきています)
ゴブリン⁉ 大ピンチじゃん!
(石化状態ですと、物理攻撃が無効状態になるので、ゴブリンの攻撃で傷つくことはありません)
お、おお……。
石化してタコ殴りにされて死ぬことはないのか……。ギリギリ助かった……。
(石化が解けた後にタコ殴りにされるかもしれませんね)
うわっ、正面に座り込まれた……。
完全にボクの石化が解けるの待っているじゃん! ピンチ過ぎない⁉
【カエデ、絶体絶命の大ピンチ! 石化が解けた瞬間にゴブリンたちに蹂躙されてしまうのか~⁉ エチエチ凌辱プレイのはじまりか~⁉】
エチエチ……さすがにそれは……。まあでも……今回死ぬのは仕方ない。諦めよう。あれが変身草だってことは覚えたし、次からは吐き出さずに飲み込めば良いわけでしょ。でも死ぬ時に痛いのは嫌だなあ。
(かえでくん、あきらめたら次はありません)
えっ? ゲームなんだから、ゲームオーバーになったらコンティニューすれば良いんじゃないの?
(ゲームオーバーになったら死にます)
それはまあ死ぬよね。ゲームオーバーだし。だから最初からやり直そうかなと。
(違います。ゲームオーバーになると、かえでくんが死にます)
えっ⁉
(これは、ゲームであっても遊びではない)
それ、聞いたことあるやつ……!
超有名なやつ!
ゲーム内で死ぬとリアルでも死ぬデスゲームのキャッチコピーじゃん!
(ゲームオーバーになると、今のかえでくんは死にます)
今のボク……とは?
(昨日時点のバックアップから再起動することになるので、今日の記憶はすべて消去されます)
記憶が消える……。
まあ、それなら実際死ぬわけでは……。
(昨日に死に戻りです。今朝のまきさんの襲来もなかったことになり、また朝4時に起こされるところから再スタートします)
えっとそれは……? 記憶が消えるのは、まあ、100歩譲ってそういうペナルティもあるんだなってことで受け入れるけれど……今朝の4時から再スタートって何? 最悪、記憶は消えても時間は戻らないでしょ……。
(それはどうでしょうか……ふふふ)
えっ、怖い。
(果たして今のかえでくんは何回目のループなのでしょうね)
ちょっとレイさん?……何を言っているんですか?
(ちなみに今が何月かご存じですか?)
8月……ですよね?
(正解です。エンドレスな8月へようこそ)
そ、それも有名なやつじゃん!
ウソでしょ……。まさか今、ホントにループしているの⁉
(さあ、どうでしょうね……ふふふ……爪爪爪)
ホルモンの名曲?……爪? なぜ爪?
ああっ、もう5分経つ!
石化が解けるっ!
(ゴブリンたちに殺されずにループから抜け出せることを祈っています)
やだー! 死にたくないぃぃぃぃぃぃ!
【さあカエデ。石化が解け始まっているぞ? ゴブリンたちも武器を構えて……殴りかかってきた~!】
ここでボクがとるべき行動は――。
「わーーーーーーーーー!」
威嚇!
動くようになった口で大声を出して威嚇だ!
ゴブリンたちの動きが一瞬止まる。
その一瞬が、ボクの生死を分ける結果となった。
「チィタマーーークローーーーーースラァァァァァァァァッシュ!」
かろうじて動くようになった右手に力を込め、スキルを発動。
一気に目の前にいるゴブリン2体を肉片に変えた。
(テレレッテッテッテ~。かえでくんはレベル3になりました)
やった……。
スキルが音声入力で助かった……。
【カエデ、ナイス! 大ピンチを切り抜けて、一気にレベルアップだ~!】
“おお、手に汗握る展開!”
“やるじゃんカエデ”
“ちょっとカッコよかったな”
“鬼気迫る表情”
“すげぇ、ドラマを見ているみたい”
“リアル感すごいな”
“ゴブリン倒すだけでこんなに盛り上がれるとはw”
(かえでくん、おめでとうございます。とうとう抜け出しましたね)
えっと……ありがとう?
とうとうって、さすがにループ云々は冗談だよね……?
(さあ、どうでしょうね。本当にループしているのか、それともしていないのかは、当事者には観測できませんからわかりませんね)
でも、爪ってヒントをくれたよね……。
(なんのことでしょう?)
ううーん。
でもありがとう……。




