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ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第十四章 定期公演 ~ Monthly Party 2024 -25~ #11編

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第99話 シミュレーションは終わりました。絶対安全です

 午後1時。

 レイがリビングのソファ席に座り、ノートパソコンを操作していた。

 マキがそれを後ろから眺めて、時折指示を出している。そんな午後。


「そろそろお昼にしない? ボク、お腹減ったんだけど」


 そしてとても暇なんです。

 マキが来ているし、無理を言って1日オフにしてもらっちゃったからさ、2人だけで遊ばれると、ボクは何もすることがなくて……。


 ベッドの上でうつ伏せになっていると、お尻の辺りを押される感覚。体をねじって確認する。


「がぅがぅがぅ!」


 犯人は花子。

 背中に木製のお皿を乗せて、ボクのお尻を鼻先でグイグイ押してきていたのでした。


「花子はさっきご飯食べたでしょ」


 お皿いっぱいにドングリ出してあげたじゃん。

 この天気だと運動もできないし、食べ過ぎは良くないよ。


「がぅ~~~~~ん!」


 悲しそうな声で鳴くんじゃない。

 お腹が減っているのはボクのほう!


「がぅがぅ~~~~~ん!」


 うーん。


「でもなー、この天気じゃなー、麻里さんのところに連れていって運動させてあげることもできないし……」


 本社ビルから大学病院ビルへの移動だけで、ずぶ濡れになっちゃうよ。悪いけど、今日はこのビルからは出られません。


「そういえば、ボクたちっていつあっちのビルに引っ越しするんだろう。まあ、本社にいたほうが仕事するのには楽で良いんだけどさ、一応大学生になったから、あっちのビルの寮に入ることになっているはずなんだよね。花子的には麻里さんの傍にいたほうが何かと都合が良いよねえ」


 そういえばウーミーって卒業して1年以上経つけれど、本社ビルから引っ越ししていないよね。あっちのビルのほうが部屋数が少ないとかなのかな?


「カエデ~。ちょっとこっち来て~!」


 リビングのほうからマキが呼ぶ声が聞こえてくる。

 

「はーい」


 やっと食事の時間になりそうかな。

 


「なんですか、これ……」


 ニコニコ笑顔のマキと、良い仕事しました感を出して汗をぬぐっているレイ。

 ボクはノートパソコンに映る2分足らずの動画を見せられているわけで……。


「シミュレーション動画に決まっているじゃな~い」


 シミュレーションね。

「何のシミュレーション?」とは訊かない。だって見たら一目瞭然だもの。


「もうこれはこのままで良いじゃない? 100万再生だっけ? この動画で狙っていけばー?」


 ボクに似たCGキャラクターが、背中から生えている傘を開いて空へと飛んでいく動画なんだけど、まあ、この動画ならボクが作り物だってわかるからギリ許す。これを投稿して、ファンのおもちゃにでもしたら良いじゃないの。


「これではリアリティがたりません。良くて10万再生といったところでしょう」


 10万も見られたらもう十分でしょ。

 感覚麻痺しているの?

 ≪初夏≫がデビューした時のことを忘れましたか? 最初に投稿した動画がちょっとずつ見られて、再生数が1ずつ積みあがって行くあの感覚を忘れてはいけませんよ?


「シミュレーションは終わりました。絶対安全です」


 レイが力強く頷く。


「どこが安全なの……。これ、動画の終わりのところで完全に空のかなたに飛んで消えていっているんだけど……」


 このシミュレーション動画の通りの状態になったら大事故ですよ?


「撮影が終わりましたら、傘を破棄してパラシュートを開いて降りてきてもらえれば、GPS情報を頼りに回収に向かいます」


「この天気でパラシュートは無理じゃないかな? 傘より風の抵抗を受けるんじゃない?」


 下手すると海外まで飛ばされそう。


「だったらパラシュートなしで降りてくれば良いにゃ」


「そんなの死ぬじゃん。地面にたたきつけられて粉々になるじゃん」


 さすがに粉々になったら、体の再構成ってできないんじゃないですかね?


「最後のところで、台風の強風に乗ってふわっと下りれば平気じゃな~い? そこはうまく自然を味方につけていこうぜ!」


「最後適当過ぎるよ。シミュレーションするならそこまでちゃんと徹底して。安全面に不安があるので、絶対やりません!」


 断固拒否の構え!

 すると、マキとレイがなにやらコソコソ話で作戦会議を始めた。


 おい、聞こえているぞ! 食べ物に睡眠薬を混入させて、「寝起きドッキリ」で空を飛ばせようとしているな⁉ そんなのドッキリの範疇を超えているからね⁉ 絶対寝ないわ!


「とにかく食堂に行こうよ。もう朝ごはん食べてからずいぶん経っているし、お腹減ったよ」


「かえでくん、今日どうしても食べたいものがあります」


 と、レイ。

 ノートパソコンをパタンと閉めて、ボクのほうを見てきた。


「おー、めずらしいね。何が食べたいの? シェフの裏メニュー的な? それならダイヤモンド会員のメイメイも呼ぶ?」


 メイメイがいれば、どんなメニューでも注文できるからね。

 裏メニューも、裏の裏のメニューも、裏の裏の裏のメニューもね。この世界にある料理のほとんどはシェフの頭の中に入っているみたいだから。


「駅前にある焼肉屋さんのまかない定食です」


「良いね~。わたしもちょうど肉が食べたかったんだ~。行こう行こう!」


「いや……台風だから駅前はちょっと……」


 今日は外出するのやめよう。

 食堂か部屋食にしよう?


「濡れたら困るので、かえでくんはこれに着替えてください」


 そもそも外に出なければ濡れないんだから、やめてお――。


「レインコートと水着じゃん! やっぱり傘で飛ばせて動画撮ろうとしているじゃんか!」


 騙されるかぁ!


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