第59話 新垣春&水沼渚~生誕祭2025☆カエデ好き放題スペシャル~ その4~衣装の候補は最大100着⁉
「エントリーナンバー1番のかえでくん。本日の意気込みをどうぞ」
レイにマイクを向けられる。
意気込み? インタビュー的なあれなのかな。
「えーと、もうすでにボクだけ5時間ぐらい歌わされているので、喉の温まり具合はばっちりです。そして今のところボクだけコスプレ衣装を着させられているので、ほかのみんなにもさっさと罰ゲームを受けてほしいです!」
だからブーイングすなっ!
インタビュー中でしょうが!
でも普通に考えておかしいでしょ?
ボク以外の3人とも、ジーンズとかTシャツとか普通に普段着なのに、ボクだけメイクまでキメキメで不思議の国のアリス風のエプロンドレスを着させられているんですよ? まあ別の話として、アリスにウサミミカチューシャは違うと思うんだよね。アリスとうさぎは別キャラクターだから合体した衣装はおかしい。解釈違いだ!
つまりだ。
3人とも早くコスプレしなさいってこと!
「それでは先に、もし選ばれた曲が歌えなかった場合の罰ゲームの衣装をチェックしておきましょう」
「あ、そういう感じ? 先に衣装が発表される形式なんだ?」
歌えなかったらその時に抽選するのかと思った。
「衣装が先に発表されているほうがやる気が出るのではないかと思いまして、一部ルールを変更しました」
「やる気……とは?」
罰ゲームがないほうがやる気が出ると思いますけれどね?
「デモンストレーションを兼ねて流れを追いましょう。かえでくん、まずはこちらの『抽選開始ボタン』をタップしてください」
レイが差し出してきた端末上に、赤いボタンの画像が表示されていた。真ん中に『スタート』と書かれている。
「これを押せば良いのね。はい、スタート、と」
指先で赤いボタンの画像を軽くタップすると、画面が切り替わって円状のルーレットが回る映像になった。同じ映像が巨大なスクリーン上にも表示されているのでそっちを見よう。
画面上にはカラフルな円盤が表示されている。中が細切りにカットされたピザのように10等分に色分けされていて、0~9の数字が描かれていた。今はその円盤が点滅しながらクルクルと回転している状態だ。そして時計の12時の位置に矢印が表示されている。ここに止まった数字が当たりということなんだろうね。
衣装が10着ってことかな。
意外と少ないね。
「お、3に止まった。3番の衣装ってことかな?」
「いいえ、まだです。今のは10の位のルーレットです」
再びルーレットが回り出す。
2回目のルーレット盤もさっきと同じ。カラフルな円盤に0~9の数字が描かれているものが回っている。
「あー、2つの数字の組み合わせで決定するのか」
ってことは、最大100着⁉
とんでもないね。
「5番に止まりました。かえでくんの罰ゲーム用の衣装は35番に決定しました」
「こうやって決まるんだね」
なるほどなるほど。
「レイさん、35番の衣装はどんな衣装なの?」
「見たい見たい! ふんどしかな☆」
そんな衣装は出番がないし、用意されているわけないよね。
「35番の衣装に向かってドローンカメラが飛んでいきます。みなさん、スクリーンをご覧ください」
おー、生中継だ。
控室のほうに飛んでいったね。
ドローンカメラが控室の奥にあるクローゼットのほうへと飛んでいく。ずらりと並ぶ衣装たちがお目見えした。
なかなかにすごい光景だ……。
「ドローンカメラが35番の衣装を発見したようです。取り出してみましょう」
レイが手元の端末で何やら操作すると、クローゼットのハンガーが自動で動き始めた。こんな機能があったのか……。
って、この衣装は⁉
「35番の衣装が登場しました。どうやら……王騎将軍のコスプレ衣装のようですね」
「かっこいい~♡」
「コココココ☆」
「なんで⁉ そんな衣装、このドームに必要ないですよね⁉」
想像の斜め上を行かれたわ……。
ここは≪初夏≫専用のドームですよ⁉ 誰が何の目的でそんなコスプレをするんですか⁉
いや、しかも衣装のクオリティよ……。
ドンキとかに売っている安っぽいやつじゃなくて、これ、マジでプロが作ったでしょ。巨大な槍とか……見るからに凝り過ぎ。
「ひげもあります」
「あの特徴的なあごひげね! いやもうフルセットじゃん。ホントなんであるの⁉」
こういうのが100着あるってこと⁉
思っていた罰ゲームと違うなあ。
あんな鎧、絶対15秒じゃ着替えられないと思うし。
「それでは続いて曲の抽選を行いましょう。かえでくんはぜひ、難しい曲を引いて、罰ゲームを受けてください」
「その進行はおかしくない⁉」
思っていても司会の人が言っちゃいけないやつ!
「罰ゲームFoooooooo!」
「ファルファルファル☆」
それは別の将軍だからね!
絶対罰ゲーム受けたくないなあ。
ってそういうことか。
先に衣装がわかっていると何が何でも歌ってやろうって気持ちになるね……。
「スタートボタンをどうぞ」
ポチッとな。
今度は円状のルーレットではなく、曲名と歌手名が書かれたパネルがドラムロール形式でグルグルと上から回り始めた。
パネルが回る速度が速くなったり遅くなったり。
たまに見知った曲名が見えたりしてドキッ!
「ストップボタンをどうぞ」
頼む!
知っている曲お願いしまーす!
ポチッとな。
ストップボタンをタップ。
直後にパネルは止まらずに、段々と速度がゆっくりになっていく。
お願いお願いお願ーい!
知っている曲、知らない曲、知らない曲、知っている曲……。
ゆっくりゆっくり――。
ピッ、ピッ、ピィィィィ!
なぜか聞いたことがあるような変な鳴き声がして……画面のパネルが止まった。
運命の抽選の結果、ボクが歌う曲名は――。




