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ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第十二章 定期公演 ~ Monthly Party 2024-25 ~ #9編

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第31話 今年、≪初夏≫はアイドル界の頂点に立つ

 さあ、いよいよコラボライブの時間だ。


 ≪初夏≫のみんなは準備万端。そこに何も不安はない。

 しかし今回はいつもと違って、5人だけでのライブじゃない。初めてのコラボレーションライブなんだ。


 あの国民的アイドルグループ≪Believe in AstroloGy≫とコラボする。

 正直これは、大きなプレッシャーとして5人重くのしかかっていると思う。


 ほら、みんなが緊張で震えて――。


「お母さんたちとの共演ですよ~。楽しみですね~」


「さっきあっちの控室にお菓子を差し入れたら、すっごい取り合いになって困っちゃった☆」


「今日のために体重を200gも落としてきましたわ~」


「みんな、いつも通りやりましょ。リハでも問題なかったわけだし、私たちは私たちのパフォーマンスを魅せる。私たちが見劣りするなんて思わないわ」


「人という字は、人と人とが支え合って生きているようで、実は片方が寄りかかっていて、だからサクラたちが寄りかかっても平気で――」


 思ったよりもずいぶんみんなリラックスして……と思ったけれど、1人だけヤバそうな人がいるな……。


「おーいサクにゃん。そんなに緊張しなくても大丈夫だよ」


 と、声をかけてみるも――。


「コーチ……どうしましょう……」


 サクにゃんの心の状態を表すかのように、ネコミミがピンと立ったまま小刻みに震えていた。


「まあまあ、そんなに思い詰めなくてもね。それぞれのポジションを守って踊れば、あとは良い感じに≪BiAG≫の人たちのほうが合わせてくれるって」


「そう……でしょうか……」


「今回のライブは大先輩が胸を貸してくれる。なーに、ちょっとくらい失敗したって余裕でカバーしてくれるっしょ。気楽に行こうよ」


 ただの拡張現実(A R)の投影に合わせて≪初夏≫が踊るわけじゃない。


 リハの時に観察した程度だけど、麻里さんたちが育て上げた≪BiAG≫の人たちは言われてもわからないほどに『人』だった。


 そう。

 今回の目玉は≪BiAG≫の7人に人格と人工の体があることなんだ。


 相手はどこからどう見ても人間。

 ≪BiAG≫といえばトップオブトップを極めた、経験豊富なアイドルだ。


 とくに≪BiAG≫はライブパフォーマンスに特化したアイドルグループでもあるわけだし、何が起きても全部カバーしてくれる。裏には麻里さんやシオもついているわけだから、何も心配はいらないんだよ。


「サクちゃん、お母さんに任せておけば大丈夫ですよ~」


 メイメイが微笑む。

 全幅の信頼、か。

 

 リハの時、メイメイは秋月美月さんとどんな話をしたのだろうか。

 スタジオに入っていないボクたちマネージャー陣は、演者たちの会話をモニタリングできていない。

 まあ、麻里さんかウタ辺りに訊けばわかるのかもしれないけれど、あえてボクはそれをしなかった。

 きっと2人きりでの積もる話もあっただろうし。


 そして、その短い時間でのふれあいがあったからこそ、今メイメイがこの笑顔になれているんだと思うんだ。


 今回はいつもの定期公演とは違って、曲の合間にフリートークの時間が多く取られている。その代わり、お当番のMCコーナーがないってわけ。


 そこでどんな話をするのか。

 それは≪初夏≫の5人に任されている。

 台本は完全に白紙だ。


 きっとメイメイが主導権を握って話を進めるんだろうな。

 暗黙の了解的にみんなもそう思っているはず。


 ≪BiAG≫のほうもエースの秋月美月さんがメインで話すんだろう。

 世間もこの2人の会話が聴きたい。そう思っているに違いない。


 その証拠に、年明けにコラボレーションライブの告知をしたにもかかわらず、そのニュースは各媒体で大きく取り扱われた。全国……いや、もうすでに世界にまで広がっているかもしれない。そう言っても過言ではないほど世間の注目を集めているんだ。今年最初のビッグトピックだって胸を張って言えるくらいにね。


 麻里さんのAI研究に大きく注目が集まっている。

 それに負けず劣らず、≪BiAG≫秋月美月と≪初夏≫夏目早月の母娘共演の行方も大きな関心事の1つなんだ。


 ここでのライブが成功すれば、≪初夏≫はさらに飛躍できる。

 すべての制約が取り払われ、あらゆる活動が解禁された今年、≪初夏≫はアイドル界の頂点に立つ。


 そのための大いなる第一歩となる――。


「今日、ここから伝説を始めよう」


『かえでくん、それはさすがにプレッシャーをかけすぎです。さくらさんが倒れてしまいます』


 ああっ、つい……。

 でも頭の中で夢想するくらいは許されるんじゃない?

 だってさ、いよいよ武道館ライブが現実味を帯びてきたんだよ。


 もう夢じゃない。

 もう目標じゃない。


 すぐ目の前にある現実なんだ。


 メイメイが笑顔で武道館ライブを迎えられるように。

 そしてその先の未来へ進めるように。


 とうとうそれに手が届くところまで来たんだから。


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