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ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第十章 定期公演 ~ Monthly Party 2024 ~ #7編

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第30話 定期公演#7 その3~強さの象徴みたいに聞こえるよ

“私は黄ちゃんのメインボーカル曲も聴いてみたいです”


 コメント欄に書きこまれたその言葉がなぜか引っ掛かった。

 しかもコメントを書き込んだ人物のハンドルネームは≪黒ちゃんV3≫。


 ボンバー仮面V3本人か?

 まさか、ね……。

 

 アイツがわざわざ配信にコメントすることなんてあると思う?

 しかもボクのメインボーカル曲を聴いてみたいだって?

 さすがにないよねえ。


 ボクのことをいじるようなコメントは溢れるようにある。でもこれは悪ふざけにしてもちょっと笑えない。


 あの妖精演劇はチケットの一般販売もなかったし、オンライン配信もなかった。そのせいかSNS上ではそこまで話題になっていなかった。

 つまり、現地で見ていた人物でないと、「黄ちゃん」や「黒ちゃん」という演劇の中で生まれた愛称を知ることはできないはず……。実際演劇を見た小学生の親たちか、あるいは舞台上で参加していた人物……。


 まさかね……。

 だってボンバー仮面V3は、80%以上の確率で今日このドームに直接攻撃を仕掛けてくるんでしょ? そんなヤツがのんきに配信にコメントしているわけないよね。


「が~ぅ~」


「かえでくん、まだボンバー仮面V3は現れていません。気を張り過ぎです」


「うん、わかってる。麻里さんから何も連絡がないし、連絡がないってことは安全ってことで良いんだよね。でもどうしてもこの書き込みとか……気になっちゃって……」


 何事もなくこの定期公演#7を終わりたい。

 だけどどこかで、アイツと早く決着をつけて楽になりたいと思っている自分がいるのだ。


 いつまで怯えなければいけないのか、と。


 アイツさえ捕まれば、こんな厳重な行動制限は解除されるだろうし、お客さんを入れてのライブだってできるようになるだろうし。


 いっそ一思いに攻めてきてくれないかな。全面的に戦って終結させたい。

 だけどそんなことになったらまた定期公演が途中で中止になっちゃう……。それも絶対に嫌だ。


 あーあ、自首してくれたりしないかな……。


 ボンバー仮面V3とは妖精演劇の時に直接対話したけれど、実際そこまで悪印象がなかった……。

 言ってしまえば普通の人のようだった。

 子どもたちとも目線を合わせてちゃんと向き合っていて、むしろ好感すら……というのがアイツの作戦なのだろうね。油断させておいてドカンッ。きっとそうに違いない。危ない危ない。


 メイメイに何かをしようとしているなら絶対に許さない。

 でもあの時はボクにばっかり話しかけてきていて、メイメイのことを気にする素振りはほとんどなくて……。やっぱり謎だ。アイツが何を考えているのかさっぱりわからない……。


「かえでくんのことはわたしが守りますから」


「がぅ!」


 ん、2人ともありがとう。

 ボクもみんなのことを、メイメイのことを守るよ。



 気づけば5人がそれぞれ「次のシングルでは自分がメインボーカルだ」というアピールも終わっていて、3曲目のフォーメーションへと散っていくところだった。


 3曲目は、そうだ。ひさしぶりのこの曲が聞ける。


『ある初夏の日の出来事』


 定期公演#1のミュージカル『メイプルの冒険』の中で、メイメイがアカペラで歌ったけれど、 5人で歌うのは1stシングル発売記念イベント以来だ。

 定期公演で初めて聞けると思うと、すごく胸が高鳴るね。


 メイメイがメインボーカルを務めるこの曲は、やっぱり特別な思い入れがある。


------------------------------

 ずっと1人 歩いてきた

 孤独を感じたことはない

 気づけば こよみでは初夏の日

 でもまだ少し 肌寒いね


 隣には誰もいない ずっと1人でいることが当たり前だった

 自分自身が孤独であることさえ気づかない

 でもそこに憂いはない ただ無感情 

 悲しみなど感じたことはない

------------------------------


≪The Beginning of Summer≫結成の日々を振り返る。

 そんな楽曲だ。


 ある初夏の晴れた日。

 たった1人から始まったメイメイの旅路。


 それまでずっと1人で歩き続けてきたメイメイが立ち止まる。

 ふと気まぐれに木陰に腰を下ろしてみるんだ。なぜそこに腰を下ろしたのか、自分でもわからないらしい。


 しばらくそこで休んでいると、同じように1人で歩いてきた少女が1人、また1人と木陰に腰を下ろしていく。


 いつしか集まっていた5人。

 少女たちは互いに言葉を交わしたわけではない。 

 それでもなぜか、これまでとは違う感覚を共有していた。

 

 もう1人じゃない。

 5人の少女は1人ではなくなっていた。


 誰かが隣にいることで孤独の怖さを知った。

 誰かが隣にいることで分かち合う喜びを知った。

 誰かが隣にいれば、何でも乗り越えられると感じた。

 5人で進めば怖いものは何もない。



「かえでくん、今日のこの曲はどんなふうに聞こえましたか?」


 レイが尋ねてくる。

 前にこの曲が披露された時、1stシングル発売記念イベントの時にも同じことを聞かれた気がする。あの時聞いてきたのは都だったかな。


「そうだねー。なんだかみんな、強くなったなあって感じるよ。ボンバー仮面V3のことで怯えているのがバカみたいに思えるほど、みんな強くなったなあって。今日のこの曲はみんなの心の強さの象徴みたいに聞こえるよ」


 ≪初夏≫の5人は、着実に前に向かって進んでいる。

 この曲を聞いて、みんなの表情を見て、それがよくわかったよ。

 5人が5人とも自信に満ち溢れているもの。


 それぞれが個人活動でも実績を上げてきている。何か仕事に関する芯のようなものを手にし始めているのだと思う。

 それをグループに持ち帰って、今まさにこれから相乗効果を出そうとしている。


 5人でいる意味を今。


 彼女たちにとって、今が最高潮なんだ。

 でもそこで立ち止まっているということではなくて、きっとこの曲の間にもその最高潮を更新し続けている。


 だから何があっても大丈夫だって確信があるんだね。

 

 みんなホントに強くなったなあ。


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