表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゾンビがいる終末世界を生き抜いた最強少女には異世界はぬるすぎる  作者: 鳥助


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

47/99

47.瘴気の浄化クエスト

 翌朝、早めに王都を出た私たちは地図を見て目的地を目指して歩いていた。


「この方角だと……あそこの森じゃないですか?」

「そうね。初めて行く森になるわね」


 方角を確かめながら周囲を見渡すと、一か所の森を見つけた。地図をもう一度確認するが、あの場所で間違いなさそうだ。


「瘴気が出ているっていうから、物凄いまがまがしいと思ってましたが……普通ですね」

「今回は瘴気が薄いからなんじゃない? きっと、近づかないと分からないのよ。ユイは何か感じる?」

「見た感じ、あの森に嫌な気がありそうな……そんな感じしかない」


 目的の森を見て、嫌な気配を感じることができた。でも、それはとても薄いもので注意深くならないと分からない程度のものだ。これが瘴気を感じるということなのだろうか?


「じゃあ、近づいただけで瘴気に当てられた魔物が出てくることはないんですね」

「瘴気はあの森の奥にある気がする。だから、森の外側に近いところでは瘴気に当てられた魔物はいない」

「奥に行くまで、その脅威はないって思っていた方がいいのね」


 森の中がどんな風に変わっているのか分からない。決めつける方が危ないのかもしれない。だったら、森に入った時から脅威に対して注意を払った方がいいかも。


「とにかく、森の中に入ったら注意を怠らないこと。いつどこで瘴気に当てられた魔物が出てくるか分からない」

「分かりました。剣を鞘から抜いておきます」

「私も杖を構えておくわ」


 森に入る前に注意を払う。私も一メートルのメイスを発現させて、いつでも殴られるように用意した。


「じゃあ、入るよ」


 そして、私たちは森の中に入っていった。


 ◇


 森の中を順調に進んでいた。時々、ゴブリンが襲ってくるが、どれも普通のゴブリンだけで瘴気に当てられた感じはしない。


 それに、この森には人の気配も感じた。どうやら、あちこちで魔物討伐が行われているみたいだ。


「冒険者ギルドはこの森を立ち入り禁止にしなかったんでしょうか? あちこちで、戦った形跡が残っています」

「一応張り紙はしているし、注意喚起くらいはしているでしょ。それでもその情報を知らなかったり、知っていても無視していたりしていると思うわ。悲しいけれど、これが現実よ」

「ホント、馬鹿が多い」


 自分の身を守れるのは自分だけだ。その為なら、色んな所から情報を手に入れるべきだし、注意を払わないといけない。そんな事すらできない人たちが冒険者だなんて呆れる。それとも初心者だから、そういう経験がないせいか?


 どっちにしろ、この状況は信じられない。危険があったらそれを避けるのが常識だ。前の世界では注意を怠ることが死に直結していたから、過剰な注意を払っていたものだ。この世界の冒険者はぬるすぎる。


「どうします? 注意をしていきますか?」

「そんな必要はない。何か起こっても自業自得だ」

「分からなくて来ているんなら教えてあげたいけど……」

「知らない奴も情報の入手を怠った非がある。そいつらも何かあっても自業自得だ」

「まぁ、確かにそうよねぇ」


 そんな奴らに構っている暇はない。こっちはクエストを受けて来ているんだから、それだけを考えて進めばいい。周りを気にせずに奥に向かって歩いている時だ、近くから悲鳴が聞こえた。


「えっ!? な、何!?」

「こっちから聞こえました。行きましょう!」

「あっ、勝手に行くな!」

「気になるから行きましょう!」

「セシルまで……ちっ」


 私たちは今クエスト中なんだぞ。周りに気を使っている暇はないというのに……。先に行った二人を追って、私も走り出した。


 しばらく走っていると、地面に座り込んだ人たちが見えた。その人たちは乱暴に武器を振り回しているが、そこにゴブリンが飛び掛かる。その人たちは武器を捨てて、素手でゴブリンたちを掴んで攻撃を凌いでいた。


 そこに、私たちが飛び込んだ。


「助太刀します!」


 すぐにセシルが動いた。冒険者に襲い掛かっているゴブリンの首を狙って、双剣を振るった。一振り、二振りするとゴブリンたちの首は切れて一瞬で絶命した。


「あっちにもいるわね。溢れだす魔力よ、我が意志に従い、敵を切り裂く風の刃とならん。ウインドカッター!」


 突っ立っていたゴブリンに向けて、セシルが風魔法を放った。鋭い風の刃は飛んで、ゴブリンの体を切り裂いた。これで周りにはいなくなった? そう思った時、木陰からゴブリンが飛び掛かってきた。


「グギャーッ!」


 いつもよりも動きが早い。ナイフを振るってくるが、それを避けて脳天にメイスを叩きこんだ。骨が砕ける音がして、ゴブリンはそこで命尽きた。


 また周囲を注意深く見回る。だけど、辺りはしんと静まり返っていてゴブリンがいる気配はしなかった。どうやら、今はこれで終わったらしい。


「周りにゴブリンたちはいないようですね。あなたたち、大丈夫ですか?」

「あ、ありがとう……助かった」

「うぅ、怖かったよぉ……」

「いってぇっ……あのままだったらどうなっていたか」

「怪我はしているようだけど、無事で良かったわ。今日始めた感じではないわね」


 男が二人に女が一人の三人パーティーみたいだ。体のあちこちにゴブリンのナイフで傷つけられたであろう傷が沢山付いていた。


「あのゴブリンたち、いつもとは違ったんだ。動きは速いし、力は強いし。もう、ビックリして……」

「いつもとは違うゴブリンでまともに戦えなかったの……」

「なんだったんだ、アレは。ゴブリンじゃなかったっていうのかよ」


 三人ともまだ混乱しているようだ。話を聞く限り、あのゴブリンたちは瘴気に当てられて凶暴化したゴブリンだと見ていい。ということは、ここは森の奥地か。


「冒険者ギルドから瘴気が発生しているっていう話を聞いてませんか?」

「えっ、瘴気? この三日間、冒険者ギルドに寄らなかったから分からない……。町でブラブラしてたから」

「情報収集不足でこうなったみたいね。今、この森には瘴気が出ているみたいなの。その影響でゴブリンが凶暴化しているのよ」

「そんな……知らなかったわ……」

「凶暴化しているって知っていたら、狩場を変えたのに……」

「……情報収取しないほうが悪い。こうなったのも自業自得だ」

「何っ!?」

「ユ、ユイ! ここは落ち着いてー」


 だって、情報収取を怠ったこいつらが悪いに決まっている。戦いはいつ死ぬか分からない状況になるかもしれない。それを念頭において行動しなければ自分の命が危ないというのに……。


 誰かに期待して、行動をしないのも悪い。結局は自分の身は自分で守らないといけない。そんな手段がないのなら、外に出る方が間違っている。生死をかけた戦いはそんなに甘いものじゃない。


「私たちまだ初心者で、何をどうしたらいいのか分からなかったの……」

「初心者なら初心者らしく用心するのが鉄則じゃないの?」

「それを言われるのは痛いな……。最近、調子が良くて……そういうの怠っていたかも」


 自分たちの過ちに気付いて、そのパーティーは項垂れた。ふーん、反省はできるんだね。でも、反省ができただけではだめだ。結局はその後の考えが行動が自分の生死を分けるのだから。


「あなたたちには、今この森で戦うのは重荷でしょう。違う森で戦った方がいいですよ」

「でも、君たちも同じなんじゃ……」

「私たちは冒険者ギルドからクエストを貰ったの。この瘴気の問題を解決しに来たのよ」

「そうだったのね。だったら、私たちは他の森に移動しましょう。問題が解決するまでこの森に近づかない方がいいわ」

「……だったら、あいつらはどうなんだ?」

「あいつら?」


 気になるワードが出てきた。


「この森で出会った他のパーティーなんだけど、なんか森の奥を目指しているって言ってたんだよな。そこで力試しをするって言ってた」

「それは、大変です! 多分、奥には瘴気の根源があるんですよ!」

「もしかして、それを知ってわざと行ったってこと!?」

「た、多分……」


 へー、力試しね。相当自分の力に自信があるみたいだけど、どうなのか? 本当に力があるタイプなのか、それとも自意識過剰のタイプなのか……。


 倒したゴブリンに祈りを終えると、私たちは急いで森の奥地へと向かっていった。

お読みいただきありがとうございます!

面白い!続きが気になる!応援したい!と少しでも思われましたら

ブックマークと評価★★★★★をぜひよろしくお願いします!

読者さまのその反応が作者の糧になって、執筆&更新意欲に繋がります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新連載!

この世に一人だけの錬金術師~物作り好きのゲーマーが家族のためにアイテム革命起こします!~

コミュ障クラフターの私、引き継いだ能力が異世界では規格外すぎて無自覚に無双してしまう件~地味に暮らしたいだけなのに、なぜか注目されて怖いんですが~

【短編】転生鷹匠、戦乱の異世界で最強の相棒と成り上がる

旧作

転生難民少女は市民権を0から目指して働きます!

転生少女の底辺から始める幸せスローライフ~勇者と聖女を育てたら賢者になって魔法を覚えたけど、生活向上のため便利に利用します~

追放を計画的に利用して自由を掴んだ王女、叡智と領地改革で無双する

転生したら魔法が使えない無能と捨てられたけど、魔力が規格外に万能でした

スラムの転生孤児は謙虚堅実に成り上がる〜チートなしの努力だけで掴んだ、人生逆転劇〜

ゾンビがいる終末世界を生き抜いた最強少女には異世界はぬるすぎる

元社畜はウィンドウで楽しい転生ライフを満喫中! ~ゲームのシステムを再現した万能スキルで、異世界生活を楽々攻略します~

異世界喫茶で再出発ライフ

ゴミスキルだと捨てられた少女たち、実は最強の生活能力スキルだったので気楽なスローライフ冒険旅を満喫する

推し命の転生者、弱小ポンコツな推し神様のために万能な推し活パワーで騎士爵領を大領地にする

過保護なお姉ちゃん系王女を救うために何度も死に戻っていたら、全部バレていて曇らせてしまった

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ