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ゾンビがいる終末世界を生き抜いた最強少女には異世界はぬるすぎる  作者: 鳥助


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22.冒険者ギルド

 武器で支度金を全部使った私は追加の支度金を出してもらい、自立するために必要な物を買った。今度はウィリーの監視付きで、必要なものを精査しながら買い物をする。


 荷物を入れるリュック、着替え、冒険者用道具一式など、色んな物を買った。本当なら私にマジッグバッグというものを買って欲しかったらしいが、お金がないのでそれは買えずにいた。


 マジックバッグ……漫画やラノベで見たことがある、容量が沢山入るリュックだ。そんなものまであるなんて、つくづくここは異世界なんだと思わせてくれる。


 必要な知識をつけ、必要な物を買い揃えた。これで冒険者になるお膳立てができただろう。ウィリーもここまで整えられて、満足げな顔をしていた。仕事をやり切った感じだ。


 そう、これで独り立ちの準備が終わったのだ。とうとう、地球人保護協会から出ていくための準備が揃った。ようやくここから出れると知った私は内心ホッとした。早く一人になりたかったからだ。


 やっぱり、他人がいるのは落ち着かない。ホームから出た後はずっと一人でやってきたから、一人で行動するのが慣れてしまった今では他人が邪魔だった。


 だから、ようやくここを出られそうで本当に良かった。


 ◇


「もう、行ってしまうのですね」

「準備は終わったみたいだから」

「もう少しいて欲しかったですが、仕方ありませんね」


 そして、とうとう地球人保護協会から出ていく日が来た。ウィリーは寂しそうにしていたが、私はせいせいとした気持ちだ。ようやく、こんな狭いところから出れると思うと嬉しくなる。


「これを持っていってください。これがあれば、困った時には力になれるでしょう」

「このカードは?」

「ユイさんが地球人だと分かる証明書になります。各地に地球人保護協会がありますので、ぜひご活用ください」


 私が地球人であるという証明ね。こんな証明が役に立つか分からないけれど、一応持っていこう。神官養成学校から貰った卒業証と一緒にリュックのミニポケットに入れるとリュックを背負った。


「何かあったら頼ってください。例え自立した後でも、困ったことがあったら遠慮なく頼ってくださいね」

「その日がくればいいね。じゃあ、世話になった」

「いつでも来ていいですからねー」


 通りを歩き出すと、後ろからウィリーが手を振っている気配がする。私は振り向かずに通りを進んでいく。これでようやく解放されたか……長かった。


 ここまで人と接したのはホームにいた時以来だ。ホームに比べると随分とぬるい対応だったけど、身の危険がなかったのが良かった。もし、身に危険が来たら遠慮なく殴り倒すつもりだったけど、その時は来なかったな。


 何はともあれ、これで私は一人で生きていくことになる。今では、ゾンビから身を隠しながら生きていた時が懐かしく感じてしまう。少しはこちらの生活に慣れてきた証拠だろうか?


 慣れたと言っても油断は大敵だ。いつ何時、何かの騒動に巻き込まれるかも分からない。それこそ、漫画やラノベで見たような展開になるかもしれない。そんな展開に巻き込まれるのはごめんだ。


 今、私は気を付けなければいけないのは、これから行く冒険者ギルドだ。あそこにいけば、望んでいないのに様々な展開が用意されている。しかも、初めて行くのだから絶対に巻き込まれる可能性が高い。


 それこそ、新人冒険者にいちゃもんをつける先輩冒険者みたいな者が出てくるかもしれない。経験がないことを言いことに、実力行使をしてくる可能性も高い。


 そんな輩が現れたら、即刻潰してやろう。遠慮は無用だ、二度と話しかけられないようにしてやればいい。よし、相手を潰しイメージはできた。これで、いつ現れても大丈夫だ。


 待っていろ、冒険者ギルド。突っかかるヤツは私が徹底的に叩き潰す!


 ◇


「ようこそ、冒険者ギルドへ。本日はどのようなご用件ですか?」


 私は冒険者ギルドに入り、すぐに受付に行った。にこやかに対応する受付嬢が見えるが、絡んできそうな冒険者はまだ見えない。まさか、どこかに潜んでいたり……。


「あの……本日はどのようなご用件ですか?」

「絡んでくる冒険者を叩き潰しに来た」

「えぇっと……」


 まだ現れない。どうして現れない。……そうか、まだ私が冒険者ではないからか。なるほど、そういうことなら先に手続きをした方がいいだろう。


「初めての手続きを」

「あぁ、初めてでしたか! では、まずはこちらにご記入をお願いします」


 受付嬢に話しかけると、パァッと表情を明るくして一枚の紙とペンを出してきた。私はそれを受け取ると、欄に文字を記入していく。スラスラと書き進めると、全ての欄を記入し終えた。


「できた」

「確認しますね。……確認する証明書がありますね。神官と地球人を証明できるものがありますか?」


 証明……あぁ、あれか。リュックのミニポケットを開けると、その中から二枚のカードを取り出して渡した。受付嬢はそのカードを確認すると、ギョッとして驚いた。


「あの……ここの欄が違うようですが?」

「一応、聖女として認められている」

「では、ここの項目は聖女に書き換えておきますね」


 そう言って示された部分を見ると、その欄は聖女とかかれていた項目だった。紙には神官と書いてのだが、どうやらそこには神官じゃなくて聖女と書くべきだったみたいだ。


 そうか、私の役職は神官じゃなくて聖女だったのか。てっきり、神官養成学校から卒業したから、職業は神官だと思っていた。じゃあ、今後の職業名は聖女となるのか。なんだか、面倒くさいことになりそうだ。


「はい、聖女と地球人だと証明されました。こちらのカードはお返ししますね」

「あぁ」

「では、冒険者についてご説明させていただきますね」


 紙を違う職員に手渡して、説明が始まった。聞いた説明はこれも漫画やラノベにあったシステムと同じだった。魔物を倒せば討伐料が貰える、魔物の素材を売ることができる。


 あとはクエストのことも教えられた。依頼主の依頼をこなして、代わりに報酬を貰うシステムだ。この冒険者ギルドでは魔物を倒すか、依頼をこなすかでお金が貰えるシステムらしい。


 事前の知識があって、この辺りはすんなりと話を受け入れられた。あとは細かい注意事項を聞いて、話は終わった。


「以上が説明になります。何か分からないこととか、質問したいことはありますか?」

「ない」

「では、身分証が出来上がりましたので、ここに血を一滴お願いします。血の情報を身分証に書き加えることで、この身分証は本人にしか使えなくなるようになります」


 渡された身分証と針を受け取ると針で指先を刺して、血の一滴を身分証に垂らす。すると、身分証が一瞬だけ光った。


「はい、これで情報を書き込めましたので、この身分証は本人にしか使えなくなりました。口座も一緒になってますので、このカードがあればキャッシュレスが使えるところでは、現金が必要ありません」

「どういうこと?」

「機械にこの身分証をかざせば、自動的に口座からお金が引き落とされます。とても、便利な機能ですよ。たしか、地球人の知識だと伺ったことがあります。でも、全てがキャッシュレスに対応している訳じゃありませんので、必ず現金も持っていてくださいね」


 ウィリーとの買い物では全て現金でやりとりしていた。なるほど、現金を持ち歩かなくてもお金が払えるのはいいな。この身分証は無くさないようにしないと大変なことになるな。


「では、お話は以上となります」


 受付嬢の話が終わり、その場を立ち去ろうとした時だ。


「待ってください」


 不意に私に声がかかった。どうやら、私の思惑は当たったようだ。冒険者にならないと起こらないイベントらしい。この私に声をかけたことを後悔させてやる。

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― 新着の感想 ―
養成所暮らしだったとはいえもう何年も異世界で生活しているのに地球で読んだラノベ知識で行動するとか現実と空想を混同しているというべきなのか中二病というべきなのかそろそろ知能が心配になってきますね。
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