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拳の剣聖  作者: 心戒
16/21

一章 12話

続けて次話投下ぁ!

フッフッフ、この攻勢に驚いて声も出ないか?

……え? 今までサボってたんだから当たり前? とっとと次も書けや?

……ヒッ、ヒッ…、グスッ…、つ、次もッ、な、なるべくすぐにぃっ…、イック…がぎます、ねっ

、…ヒンッ……。

「う、う〜ん……ヴァンデルこのやろぉ〜……」

「リンさん? リンさん大丈夫?」

「うぅ〜、許してやるから髭……触らせろぉ……」


そう言って寝ぼけた俺は両手でヴァンデルの髭を掴む。理由は勿論うっかりミスの制裁だ。


「え? きゃっ!」


ムニィ


「あれぇ? ヴァンデル……髭が、なんか柔らかいなぁ……」


そう言って俺はヴァンデルの髭をニギニギした。


ふにふに


「っあ……、いや……っ!」

「え〜、離したくないなぁ……だめぇ?っちぇ〜……」


パッと俺はヴァンデルの髭からしぶしぶ手を離した。


「あっ……はぁ、はぁ……。ね、寝ぼけてるのよね……?」



「う、うーん……あれ、ここは……」


気がつくと俺は見知らぬ部屋にいた。全体的に質素で俺が今寝ていた寝具以外は何もない部屋だ。


「リンさん?」

「ん?」


俺を呼ぶ声に顔を向けるとそこには紛う事なき美少女が素朴な椅子に腰掛けて、こちらの様子を窺うように見ていた。

だが何故だろう、心なしか顔が赤く見える。


「どうしたの? 風邪かな?」


そう俺が尋ねると彼女はブンブンと首を縦に振り肯定した。


「そ、そう! ちょっと風邪っぽいみたいね!……(やっぱり寝ぼけていたみたいね……)」

「ん? 何か言った?」

「い、いいえ、何も言ってないわよ?」

「そう?」


俺は徐ろにベッドから体を起こし軽く伸びをする。すると多少身体が軽くなったのでベッドから降りることにした。


「あら、もう起きて大丈夫なの?」

「え? あ、うん。それになんだか申し訳ないしね」

「そんなことないわよ、私の父と母は貴方にこの家に泊まって言って欲しいみたいだし」

「え、そうなの? あれ、というか今何時なんだ?」

「今は闇の1時位かしら」

「やみ?」

「そう、闇よ」


(……ってことは、え〜? 闇だから、夜でいいのかな? だとしたら今は——)


「夜の1時ってことか」

「夜?」


彼女が怪訝そうな顔をして聞いてきた。ああ、もしかして夜って言葉が無いのかな?


「そうだね、闇って言葉と同じ認識で大丈夫だよ」

「そうなの? 聞いたことなかったから分からないわ」

「まぁ、そんな無理して理解しなくてもいいと思うよ、本当に闇と似たような意味だから」


俺の言葉を聞いて彼女は未だ納得いっていない様子ではあったが、形だけは理解したと言ってくれた。


「ふぅ……さてと」


俺はずっと気になっていたことを口にした。


「ごめん、キミ、誰?」


そう言った瞬間彼女の顔が固まる。そう、それはまるで見事な石像のように。

その様子を怪訝に思った俺は思わず口に出してしまった。そう、()()()()()()のだ。


「え、えと、どうしたの? 大丈夫? 何か俺()()()()()やっちゃったかな!?」

「…………」


彼女は石像状態を一回解くと、急に俯いた。


「え、え? どうしたの? 大丈夫?」

「マズイこと……? ええ、やったわよ……」

「え、ええ!? い、いつやっちゃったかな!?」

「ついさっきね……」

「え、ええ!? 何がいけなかったの!?」


本気で心当たりがない。一体彼女は何に怒っているんだろう。見た感じかなり憤りを感じていらっしゃるようだし……。


「何が、いけなかったか、ですってぇ……?」


そう言った次の瞬間、彼女の紅い髪が爆ぜる。いや、爆ぜたように見えた。そして彼女の周りにはオーラとでも呼ぶべきものがユラユラと灯火のように揺れている。


「あんたねぇ……、人の胸揉んどいて私の名前が分からないって、ふざけんじゃないわよぉッ!!!」


なん、だと……?


「ま、待って! 俺がいつキミのその……、む、胸を揉んだっていうんだ!?」

「だからついさっきって言ったでしょ!」

「ついさっき!? 俺はそんなこと一切してないぞ!?」


マジで心当たりがないから話がさっぱりすぎる!


「そりゃ覚えてるわけないじゃない……、あなた寝ぼけてたみたいだし、ねぇ!」

「寝ぼけてた?」


(そりゃ覚えてるわけないな、くそぅ!)


まさかそんな夢のようなイベントを自発的に起こしていたとは。夢の世界でボケたことをやっていた自分をぶん殴ってやりたい。


「それじゃそろそろツケを払ってもらおうかしら……!」


そう言って彼女は何かを唱え始めた。


「〜〜〜〜〜〜」


(マズイ……!)


何か知らないが間違いなく危険があるということだけは察知できた。それはなぜか、実に簡単だ。

俺の目前では彼女が何事かを唱えるごとに、小さな太陽かと見紛うほどの火球が時間に比例して膨れ上がっていくのだ。お陰で俺の脳内ではやたらめったらに打ち付けるような音に変化した警鐘が喧しく音を上げている。


「と、とにかくむ、胸を揉んだことは謝るから! だから……! ……え〜、と」


俺が未だ名前を思い出さないことが決定打になったようで——


「冥土の土産に()()! 教えてあげるわ、アーリィよ、よろしく」

「ヒィ! よ、よろしく!」

「うん、じゃ、さよなら」


可憐な笑みを浮かべながら手を振る彼女は太陽の女神が君臨したのかと思うほどに幻想的で美しかった。


「待って、待って! 死ぬ、死ぬって! これリアルだよ、熱いよ焼けるよそして死ねるよぉああぁぁぁあああああぁぁぁぁ!!!」


その時俺の脳内では産まれた時から今この時までの、自身の人生というストーリーが超高速のコマ送りで再生されていた。


(これが、走馬灯ってやつかぁ……)


そんなことを考える俺の眼前に火球が迫る。そして火球が閃光と爆風をつくりだした時、俺の意識は文字通り飛んだのだった。


翌日、村の人々の捜索でゴルドー爺さんという人の畑に頭から刺さって爆睡しているのが発見された。

後に村人達は口々にこういった。

アレが伝説の始まりであったと——。





グスッ……、ヒッグ、ウフゥッ……、こ、これは違うよ花粉で涙が止まらないんだよ! グスッ……。

ご、ごまかしじゃねーし!

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