7日目
僕は何故か人間のオスに大切に抱えられて人間の住処へ連れて行かれている。
「このミンミン様がいなければ、魔王を倒すことはできなかっただろう」
「そうね、勇者。ミンミン様は四天王を倒すときからお側にいてくれたわ」
「ミンミン様が神の使いなのかもしれねぇな」
人間たち3人が僕を大切に扱いながら何やら話している。
人間の住処に戻ってくれば、多くの人間が僕の方へ羨望の眼差しを向けていた。
何なのだろうか。
僕は蝉の楽園を見つけて子孫を残そうとしていただけなのだ。
忘れていた、早くメスを探さなければ。
人間が住処から外に出たときに僕はすぐに飛び立った。
「うおっ!!!」
「きゃっ、急に動いたわ!」
「ビビったぁ…」
東へ向かえば、見覚えのある景色が見える。
近くの木に留まり、鳴く。
ミーンミーンミンミー
ミーンミーンミンミー
来た…!!!!
メスの蝉だ!!!
僕はすぐに求愛の鳴き声で魅了していく。
これで僕は子孫を残すという義務を果たせた。
よかった。
我が人生に…
否。
我が蝉生に悔いはなし!
僕は子孫を残すことに成功し、最後の力を振り絞って飛び立った。
最後に人間の住処をみたくなったのだ。
たった数日、ともに蝉の楽園を探していた人間たち。
広場へ向かえば数時間のうちに何やら大きな石像ができていた。
石像は留まりやすそうだ。
しかし、僕にはもう留まる力も残っていない。
石像の足元の日陰に降り立った。
「ミンミンさまだ!」
子どもの声がした。
最後の最後に聞くのは人間の子供の声とは何とも言えない。
「ミンミン様が石像を見に来てくださった!!」
「ミンミン様ばんざーい!」
「ミンミン様ばんざーい!」
ー完ー




