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#00 プロローグ
貴方には、“どうしても相入れない人間”がいるだろうか。
別に、嫌いな人間の話じゃない。
価値観や性格の違いで、誰しも合う・合わないは生じる──そういう話だ。
だが、ほとんどの人間はそれを表には出さない。
そして、その溝が埋まることも、また稀だろう。
社会は常に、互いが仮面を被った上で成り立っている。
それゆえに、本当に分かり合える人間は少ない。
……ま、ここまで偉そうなこと言ってなんだが、これはただの愚痴の前置きだ。
くだらない話だと思うなら、聞き流してくれて構わない。
だが、どうせなら少しだけ付き合ってほしい。
俺にも、”どうしても相容れない人間”がいる。
理解する気もないし、したくもない。
──そして、ここからが本題だ。
少し、想像して欲しい。
『もし、ある日突然、そんな“相入れない人間”に自分がなっていたら』
あり得ない話だ。
漫画の世界でもあるまいし、考えるだけ無駄なことだと、俺も思っていた。
──だが、神は非情だった。
これは、そんな最悪な体験をせざるを得なかった俺の、長くて短い追想録だ。




