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13.昇格試験

「お待たせしました。昇格試験ですが、明日明後日はいかがでしょうか」

「はい、大丈夫です」

「できれば一日半で済ませて欲しいとのことです。明日の朝出発して明後日のお昼に帰るか、明日のお昼から明後日一杯のどちらかということで」

「では明朝出発でお願いします」

 試験は明日に決まった。その後はまた裏の訓練場へ行き、火と水の攻撃魔法を試すことになった。水というか、正確には水の上位属性である氷だ。水魔法の熟練度がある程度上がれば氷魔法が使えるようになる。師匠に見本を見せてもらいながら、火の玉や氷の(つぶて)を飛ばす練習だ。これはただの火や氷じゃなくて、魔力を込めて飛ばすのが生活魔法との違いらしい。

 練習の甲斐あって、火の矢と氷の矢が使えるようになった。風の刃と合わせたら三属性だ。これだけ使えれば立派な魔術師といってもいいくらいだ。もっとも攻撃魔法は魔力の減りが早いから、今後も弓を主体にして、属性相性などの条件によって魔法を交えていく戦い方になりそうだ。

 ちなみにワイバーンは風属性なので、弱点属性は地だ。残念ながらあたしの魔法でワイバーンの弱点を突くことはできない。

 その夜は、師匠と魔力の特訓をして、さんざん泣きじゃくった挙句、最後にはまた失神してしまった。


 翌朝、ギルドに向かった。解体所の前で待っていると、中から冒険者装備の女性が出て来た。

「おはようございます」

 師匠がすぐに挨拶した。

「おはようございます。私が今日の試験官よ」

 冒険者かと思ったけど違った。試験官役のギルド職員だった。試験官とはいえ魔物と戦うことになる可能性もあるから、装備を着けてきたんだろう。

「あ、あたしが受験者です。よろしくおねがいします」

「よろしくね。ところであなたは付き添いなの?」

「荷物持ちです。彼女、まだアイテム袋を手に入れてないので」

「なるほどね。試験官なんて、あなたの時以来よ」

 そうか、師匠がBランクに上がった時もこの人が試験官だったんだ。

「急かすようで申し訳ないわね。何しろ急にワイバーンが入ってきて、しかもこの試験の結果によってはまたワイバーンが持ち込まれることになるから、私も忙しくて」

 どうやらこの人、解体所の職員らしい。

「それじゃ、さっそく出かけましょう。私の後ろに乗ってください」

「よろしくね」

 師匠と試験官が二人乗りして、あたしは一人で狩場に向かった。


 山を登り、森が途切れる手前でお昼を食べてから、試験が始まった。

「当然分かってると思うけど、戦いの際に助言はなしでお願いね」

「はい」

 ワイバーンはどこから現れるかわからないから、常に全周を警戒しないといけない。一昨日の最後には師匠の助けなしで倒せたんだ、いけるはず。

 前回狩って空いた縄張りを別の個体が埋めてるとは限らないから、前回よりも歩く距離は長くなる。そうしてやっと見つけたワイバーンを、一射で落とすことに成功した。

「おめでとう、合格よ」

「あ、ありがとうございます」

 帰りもまた長い距離を歩いて野営地に着いた。今回は一匹しか倒してないので、日があるうちから夕食の支度が始まった。師匠が持ってきた食材は、前回から一転して豪華だ。調理にも手間をかけた。

「すごいご馳走ね。頂いちゃっていいのかしら」

「どうぞ。彼女の合格を見越して、お祝いの用意をしておいたんです」

「あ、ありがとうございます師匠」


 夕食の後は、温泉に入った。

「ふふ。私からも、お祝いをしてあげなくっちゃね」

 急に試験官が妖しい目をして迫ってきた。

「えっ……し、師匠助けて……きゃあっ」

 あたしは二人に挟まれる恰好になって、あっという間に後ろ手に縛られてしまった。ところが、試験官はそれだけじゃ止まらなかった。

「私にも、ご褒美が欲しいな……」

 試験官は師匠に迫り、キスしたまま器用に師匠を後ろ手に縛ってしまった。あたしたちはお尻を並べて、岩の上に上体を俯せにされてしまった。

「こんなにキレイな二人のお尻を見せ付けられて、欲望を抑えるのが大変だったわよ。それでも試験が終わるまで辛抱したんだから、たっぷりご褒美をいただくわよぉ」

 こうしてあたしたちは試験官におなかを洗浄されて泣きじゃくるのだった。


 次の日、山を下りて街に着くと、ちょうどお昼になるところだった。平地にある街は大抵きっちり東西南北に作られてるから、通りに落ちる建物の影を見れば太陽が南中寸前なのがわかる。

 師匠はテラス席のある店の前で停まった。

「お仕事はお昼を食べてからですよね。ここで食べましょう」

「そうね。頂くわ」

 この店は魚を使った料理が主力のようだ。といっても、あの海辺の村の料理屋とは調理法が全然違っていて面白かった。

 ギルドの食堂よりかなり高級だ。あたしもワイバーンを一人で獲れるようになったんだから、これからはこういう食事をいつでも食べられるのかと思うと感慨深い。

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