アイアンクローは男の嗜み
「神様ですか?」
「そうなんすよ、家の近くの神社で」
「神様から康成君に接触したのですか?」
「そうですね、何か霊力不足で休眠だった神様みたいですけど俺の霊力が村に広がって動けるようになったみたいで家に使いの狐が来たんですよ」
「狐の使いですか?もしかして稲荷神ですかね?」
「あっ、わかりました?稲荷神の銀狐って神様なんですよ」
「霊力不足の状態で康成君の霊力に引かれたのですね。そうですか、現世では神と呼ばれた方々は霊力不足で休眠されている方もいるのですね」
「信仰心不足らしいですよ。俺からの補充で充分賄えたみたいですけどね。あと、家が聖域状態みたいです。霊力が溢れてるから、他の神様が寄って来るかもって」
「まったく康成君には驚かされますね。神様とはどんな方々かは説明されましたか?」
「信仰心と供物で霊力、肉体を得て、沢山持ってる?ですっけ?簡単な説明だけしてもらいました」
「それを神様に聞いて康成君の事にも触れましたか?」
「なんかわからないみたいです。いきなり人間か?って聞かれたり初めての事みたいで神様も驚いていましたよ。神に近いけど神ではない。かといって神より下でもないとか?」
「やはり康成君は神とは違ったのですね」
「神だと思ってたんですか?」
「まさか、康成君みたいな神はいませんよ」
「そうだな康成が神様とか全然イメージと違うもんな」
「そうっすね!アニキはそんな神聖な人じゃないっす!」
華凛、羽歌後で覚えてろよ
「近いかな?とも思いましたが、伝承に残る話とは全然違いましたからね」
「こっちにも神様の話が残ってるんですか?」
「神は大半が現世出身です。以前話したように人々の信仰心が造り出したモノですからね。私達の祖先も大昔ですが現世では鬼の神だったとか」
「そういえば華凛に最初会った時に聞いたな。先祖に桃太郎の鬼がいるって」
「桃太郎の説明はいりませんね。恥ずかしい話ですが私達の祖先が現世で悪行を働きまして、成敗されてしまったのですよ」
「あの話の通りなのね、現世と霊界出身は何か違いがあるんですか?」
「そうですね、大抵の神は現世出身ですね。人々が祈り、願いから現世に生まれるのが神、神社や社がある現世に家を持っています。私達、鬼や天狗といった現世でいう妖怪は祈りから生まれた訳ではなく迷信や伝説が命を持ち形になったものです。霊界に生まれ特定の場所に縛られることもなく現世に呼ばれたら行く感じですね」
なんだそれ?
何か神様は正社員で霊界出身は短期アルバイトみたいだな……
「まぁ伝承でしかわからないので詳しくは不明ですね」
「何かふわっとしてるな」
「すみません、それでその稲荷神はどうしたのですか?」
「あぁ朝うちで飯食べて社に戻ったわ、また夜に飯食べに来るってさ」
康成が言うと甚平は堪えきれずに笑いだした。
「そうですか、神様が家で食事を、本当に康成は何なのでしょうね?」
「本当に何なんだろうな、自分でもわからねぇっすわ。他に神様が来るかもって言われても困るしな、俺人見知りだし」
「はぁ?」
何でジト眼なんだよ……
「甚平さん達が来たら紹介するよ。呼べば飯食いにくるだろうし」
「えぇ、よろしくお願いします。現世の神に逢えるなんて貴重な体験ですよ」
「大したことないぜ?見た目は巫女だし、飯を旨そうに食べるだけの普通の女の子だよ」
「ちょっと待ちなさい康成君?」
話を聞いていた華夜さんが康成を問い詰める。
「他の女の子家に連れ込んだの!?あなたには華凛や羽歌ちゃんがいるでしょ!」
「母ちゃんの馬鹿!何言ってんだよ!」
「そうっす!私やアニキがいて早速浮気っすか!?アネキの爆乳を捨てるっすか!?」
羽歌は少し大人しくしてようか?
「そんなんじゃないですって!腹へってたから供物として飯を食わせただけですから!」
コォォォォッ!
康成の側で甚平が気を練っており、後背筋から肩が異様なほど盛り上がっている。
「甚平さんも気を練らないでください!筋肉がはち切れそうですって!」
今までで一番鬼っぽいじゃねーか!?
「ほらっ父ちゃんも落ち着けって!?康成も違うって言ってるじゃねーか!」
「その女性とは何もないと?」
「そうです!誰とも何にもないですって!」
「逆に言えばうちの娘には全然魅力が無いと?」
あー!!
面倒くせーなー!!
「そうっす!アニキはこの爆乳に興味が無いと言うっすか!?」
康成は無言で羽歌の頭にアイアンクローを行う。
「頭が割れるっす!!」
「あなた、まず落ち着きなさい。康成君も何にも無いっていってるのよ?今はそれで良いじゃない」
この騒動、あんたが原因だけどな!
「そうですね、私の早とちりみたいですね」
あっ、元に戻った。
「そろそろ離してくださいっす……ミシミシ言ってるっす……」
「まったく空気読めよな……楽しんでるんじゃねーよ」
康成は羽歌を離す。
「空気読んだから言ったのに……アネキ、痛かったっす……私の頭から味噌漏れてないっすかー?」
「大丈夫だよ、少し歪んでるだけかもな」
「マジっすか!?ヤバいじゃないっすか!?」
「嘘だよ」
「そろそろ終わりにしよーぜ?話が進まねーよ。甚平さんも良いかな?もう一つ話があるんだよ」
「失礼しました。私もまだまだですね……それでもう一つの話とは?」
「霊力の使い方を教えて欲しいんだ」
「霊力ですか?」
「その稲荷神に霊力の活用法を教えて貰おうとしたんだけどさ基本が全然わからないから、まずは霊界育ちの住人に聞いた方が良いって言われたんだ。神様は生まれた時から使い方を理解してるから基本の教え方がわからないって言われたんだ」
「なるほど、それなら私も教えることができますが、適材適所で羽歌さんに頼みますか」
「私っすか?」
「天狗族はもともと霊力の扱いに長けた種族です。この中ですと羽歌さんが適任でしょう」
「そういうことか、羽歌頼むぞ」
「アニキ?私に頼むなら頼み方があるんじゃないっすか?人の頭をこんなにしておいて」
くそっ!まぁ教えて貰うんだ、仕方ないか……
「う、う、羽歌さん……教えて貰えますでしょうか?」
康成は羽歌に頭を下げる。
「足りないっすね。羽の手入れと、肉一週間分、あとは土下座して………あれっ?アニキどうしたっすか?まだ言い終わってないっすよ?そんな、私の頭を撫でたくらいで……えっ?ちょっと!?痛っ!?すみません!調子に乗ったっす!痛だだだっ!味噌が出るっす!!」
「羽歌、俺はどうしたら良いかな?」
「や、優しく降ろしてあだまを撫ででぐれだらいいっす……」
半泣きの羽歌を優しく降ろすと康成は羽歌の頭を撫でた。
「ひどい目にあったっす。でも撫でられるのも悪くないっすね……」
「それでは訓練を裏庭でしましょうか」
「ほら、いくぞ?」
「アネキ……私の頭今度こそ歪んでないっすか?」
「鼻と眼から変な汁が出てるぜ?」
「マジっすか!?ちょっ!これは涙と鼻水っすよ!変じゃないっす!乙女汁っす!何笑ってるんすか!待って欲しいっす!」
羽歌は頭を抱えながら皆の後ろについて行った。




