麺普通、野菜マシくらいで丁度良い
「それじゃ、頼みます」
「また大量に狩って来たわね。こんなサイズの熊は久しぶりだよ。しっかり解体するから任せな!」
村に戻り狩りの成果を広場に並べるとちょっとした人だかりができた。
鮮度が落ちる前に村のママさん鬼達に解体と処理を頼み康成は華凛の家に向かった。
家に着くと甚平、華夜が昼食の用意をしていた。
「あら、お帰りなさい。ちょうどお昼ご飯できたわよ」
「狩りお疲れ様です。康成君ありがとうございます。華凛と羽歌さんもご苦労様です」
「やったな康成!ちょうど腹減ってたんだ、飯にしようぜ」
「羽歌さんも食べて行ってください。華凛に良いように使われたみたいですみません」
「いいっすか!?全然大したことしてないっすよ?」
「何いってんだよ?お前も立派な鹿を狩っただろ?十分な成果じゃねーか、遠慮しないで食べて行けよ」
「そういうことだ羽歌、せっかくだから遠慮しないでご馳走になろうぜ?」
「別にご馳走ではありませんが私や華凛も量を食べるもので、沢山ありますのでどうぞ」
甚平さんが話すと華夜さんが大鍋を持ち食卓の真ん中に置いた。
「今日は野菜とお肉の鍋よ沢山食べてね」
蓋を開けると肉と野菜の良い匂いがしてきた。
「旨そうっす!」
「良い匂いだな。動物ベースの鍋か?」
「だろ?母ちゃんの鍋は上手いぞ?」
「さぁ、冷めないうちに食べましょう」
「それじゃ食べるか、いただきまーす」
康成は挨拶をすると皆きょとんとしている。
「康成、なんだよそれ?」
「こっちでは食べる前に挨拶しないのか?」
「聞いたことないですね、こちらでは準備ができたら食べ始めますからね。現世の挨拶ですか?」
「現世っていうか日本の挨拶だよ。食べる前に色々な事に感謝を込めて挨拶するんだよ。例えば、野菜の作ってくれた人、ご飯を作ってくれた人に感謝したり、肉や魚だったら命をいただきますだったかな?昔からの習慣だから詳しくはわからないけどさ」
「命をいただきますですか、よいですね。皆さんも作ってくれた人、命に感謝をしましょう」
甚平がそういうと皆手を合わせ挨拶をした。
「「いただきまーす!」」
康成は自分が量を食べるほうだと自負していたが、華凛や甚平は凄まじかった。
「あれだけの量をこの人数で食べきるんだもんなぁ……すげーな」
「康成君うちの鍋はどうでした?」
「すげー旨かったです。鍋の出汁は猪とかですか?」
「さすが康成君ね。正解よ、良く使うから大量に作っておいて冷凍して保存しておくのよ」
「なるほどね、今度うちに来た時は何か食べたいモノあります?普段の料理に合わせた方が馴染みの食べやすい料理になると思うんですけど?」
「料理ですか?私達はお邪魔する立場ですので気にしないで良いのですが……」
「それじゃあ普段は野菜と肉、主食は米で良いですか?魚とかは?」
「魚ですか?近くに川がありますので川魚は採れますよ」
「近くに海はないんです?」
「海ですか……近くには無いんですよ。山を二つ程越えればありますが海側の町に用事がなければ行きませんね」
「山二つはさすが遠いもんな。移動手段はやっぱり徒歩なんです?」
「村の馬を使って行きますよ。海までならゆっくり行って片道2日位ですかね。鬼人族は空を飛べませんからね。羽歌さん達なら半日程でつくのではないですかね?」
「そうっすね、季節や天気によるっすけど速ければ半日位っすね」
「それじゃあ海魚は普段から食べ馴れてないわけだな?刺身とか寿司が良いかなって思ったんだけどな」
「刺身ですか、良いですね。昔、海の町へ用事がありまして、そこの料理屋さんで食べた刺身はとても美味しかったです」
「なぁ父ちゃん?刺身ってどんな料理だ?」
「魚を生で食べるんだよ」
「アニキ!?生はダメっす!生臭いし腹を壊すっすよ!」
「新鮮な魚は生臭く無いんだよ。現世では一般的に食べられてるぞ?」
「私も気になるわ、身体が弱かったからお土産で海魚の干物は食べた事があるけど生は無いのよね」
「俺は旨いなら何でも良いぞ?」
「珍しいだけで食べ馴れてないだけか、結構何でも良さそうだな」
「康成君のご飯は美味しいですから期待してますよ?」
「努力しますよ。これで、家で食べるのは大丈夫そうだな?さすがに家だけじゃ暇になりそうだから外出しようと思うけどどっか行きたい場所はあるか?」
「現世には色んな店があるんだろ?俺は色んなものが食べてみたいぜ!」
「私もっす!」
「私は現世の知識が知りたいですね。どこかおすすめはありますか?」
「知識か?図書館もあるし、本屋もあるぞ?」
「本屋ですか?こちらでは本は高くてなかなか手が出せないのですが……現世では本は高くないのですか?」
「確かにピンきりだけどさ、結構分厚い辞書でも5000円位で買えますよ?」
「本当ですか!?是非お願いします。5000円ですとこの間華夜さんが頂いた辛い調味料が1000円でしたよね?それくらいでしたら大丈夫そうです」
「うーん……」
残りは華夜さんだけだけど、凄い悩んでるな。
「あのね康成君、服屋さんに連れて行って欲しいの現世とこっちだと服の流行も全然違うのでしょ?できれば華凛や夫に似合う服を来て欲しいのよ」
「なるほど……確かに服はこっちとは全然違いますね」
鬼人村の人達は同じ服ではないが特徴は似ており、畑仕事や作業向きの服装だった。
服飾関係なら……1人いるな。
「知り合いが服飾関係の仕事をしています。初日に何着か持ってきて貰いましょう。サイズはどうしましょ?」
「本当!?嬉しいわ!サイズはどうしましょう、今図る?」
「駄目です」
甚平さんからストップがかかった。
「あなた何でよ?」
「私ならまだしも華凛や華夜さんのサイズ康成君にはまだ早いです!」
ちくしょう、好機を失った……
「あなたのケチ!じゃあどうするのよ?」
「あー多分、今図っても意味ないですね。前に華凛が現世には来た時は理由はわからないですけど、身長が少し縮んでましたし」
「そうです!それが理由です!」
絶対忘れてたろ……
「それなら仕方ないわね。康成君ごめんね、服は康成君の知り合いに頼む事にするわ」
「わかりました。あとはどうします?どこか行きたい場所はありますか?」
「そうね、私も美味しいものが食べたいわ、何かオススメのモノはある?」
華夜さんにオススメか……
やっぱり辛いやつだよな?
「地獄ラーメンとかどうです?俺は辛いものが苦手ですけど、近くのラーメン屋さんにチャレンジメニューで鬼でも逃げ出すっていう激辛のラーメンがあるんですよ」
「行くわ!!あなた一緒に行きましょ!」
「えっ?あっ……でも……」
「甚平さん向けのメニューもありますよ。鬼も逃げ出す超特盛野菜肉マシマシ無限ラーメン。食べきった人の方が少ないですけど……」
「それなら華夜さんと一緒に楽しめそうですね。良かった、本当に良かったぁ……」
今、ガチで焦ってたな。
「俺も食べたい!」
「私もっす!」
「華凛と羽歌は食べ放題の店に連れて行ってやるよ」
「食べ放題!?何でもか!?」
「店にあるものは時間内なら何でもだ。そんなに高くないしな」
「聞いたな羽歌!食い尽くすぞ!」
「アネキ!ガッテンっす!」
「これでだいたいのプランは決まったな。あっ甚平さん、話変わりますけど良いですかね?」
「構いませんけどどうしました?」
「えーと、何から話したら良いかな?うちの近くでですね」
「はい」
「神様に逢いました」




