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パパは投手ではありませんが何故か変化球は三種類位投げれます。


康成と華凛は仁王立ちのまま天狗族と対峙していた。



「なぁ康成?作戦とかどうする?」


「何にも考えてなかったな。まぁ好きに暴れてやばくなったら共闘で良いんじゃね?」



「それが良いな、今から考えるのも面倒だしな、それじゃぁいくか!」



ドンッ!ドンッ!ドンッ!



初手は華凛が霊砲を放った。



「くっ!」



天狗族に当たることはなかったが今までの陣形を保つ事が難しくなり、一方的だった空中の制空権が崩れた。




「少し陣形が崩れた位で我らの有利は揺るがん!これしきの砲げ…ごぁ!?」



ドサッ


天狗族の男は言葉を続ける事ができずに地面に叩きつけられた。



「さっきから一体なんなのだ!どこから、何で攻撃されているのだ!」



天狗族は辺りを見渡すが遠距離武器など見当たらない。



そうだ!あの男は!?



今度は康成を探すため辺りを見渡すが見つける事ができない。



その時



ひゅんっ!



何かが天狗族の男の側を掠めた。



飛来物の飛んできた方向を見ると火を消化され煙が燻っている家の陰に康成を見つけた。



「そこか!」


「やべっ!見つかった!」



天狗族の男が康成のもとへ飛来すると、康成は地面辺りを軽く掴み野球の要領で振りかぶった。



「なっ!?」



危機感を感じ右へ緊急回避をする。



ズガガガ!



正面からの直撃は避けることはできたが、槍を持つ左腕に衝撃が走り槍を落としてしまう。



「これくらいなら怪我ですむだろ?良かったな、今回はケンカでな」



「ケンカだと!?我々を愚弄するのもいい加減にしろ!さっきから一体なんなのだ!その目にも見えぬ攻撃は!?」




「えっ?見えないの?まぁ暗いし見辛いのも無理はないか?

そんなに怯えるなよな。ただそこら辺にあった石を投げただけだよ」



「馬鹿を言うな!たかが石程度で我々を撃ち落とすなど……」



康成はもう一度石を拾うと天狗族目掛けて投擲した。


ひゅん



風切り音のみで姿の見えない投擲物が側の柱に当たる。



亀裂の入った柱には確かに親指程の石がめり込んでいた。



「ほらな?これなら怪我ですむだろ?」



背筋に寒気が走った。



ッ!馬鹿を言うな!あんなサイズの石であの威力なら手のひらサイズをぶつけられて見ろ、骨が折れるだけじゃすまないぞ!



「ほら?ケンカしようぜ?」



負けは許されないのだ!我々は…


「我々は本気だ!これはケンカなどではない!」



天狗族の男は、右手で槍を拾うと康成を横凪ぎではらう。


キンッ!


何の問題もなく康成は愛用のバットで槍を防ぐ。



「いいやっ!これはケンカだ!ケンカとして終わらせる!」



康成は槍を掴むと逆に横凪ぎに振るう。


「ぬぐぅ!」


「ぐだぐだ言ってんじゃねぇ!理由もなく里に攻撃しやがって!何時だと思ってんだ!?俺は今日、夜勤明けだぞ!もう子供も寝てるんだぞ!?人の生活リズム崩しやがって!ケンカで済ませてやるって言ってんだ!大人しく聞きやがれ!」



康成は槍を持つと、槍を横に曲げるのではなく縦に持ち、あめ細工のように捻ると、ツイストドーナツのように螺旋型の槍だった物を造りあげた。



「はっ?」


槍は確かに歪むし、曲がることもあるが、よほど硬い物を叩かなければ曲がりはしない。


決して力任せに曲げて折れることなどはない。

それが武器なのだ。子供の玩具や練習用の木製武器ではない。金属製の武器が簡単に曲がることなどあり得ない。


まるで夢のような光景に天狗族の男は夢と現実の区別がつかなくなった。



「まだやるかい?」



康成は男へ詰め寄る。


「っ!……………」



男の股間がホカホカと水気を帯びた。


目の前の悪夢のような光景に男は脳が処理できずに意識を手放した。



「目の前に立って気絶とか、漫画かよ。男の失禁シーンなんて嫌な物を見ちまったな……スゲーカッコ悪いわぁ……

さて?華凛さんはどうでござんしょうか?」




康成は近くの鬼人族に男を任せると華凛の元に向かった。



……………




「まったく!キリがねーな!」



華凛がぼやき空を見ると、まだ10人程の天狗族が隊列を組み華凛へ連続で攻撃を仕掛けてきた。


華凛はそれを霊砲で牽制しつつ1人、また1人と地面へ沈めて行く。



「異常すぎるぞ!何だ奴は!何発撃てば霊力が切れるのだ!」



既に華凛は牽制を含め100発以上の霊砲を放っていた。


基本霊砲とは、遠距離支援武器である。

1発撃つごとに自分の霊力を込め、狙いを定めてから放つ、連射をすることができないこともないが己の霊力を消費するため、すぐに霊力が枯渇し激しい眩暈に襲われるのだ。




「前までだったらとっくに霊力が切れてるところだが、自分でも、まだまだ底が見えねーなぁ。やっぱりあっちの食べ物のお陰か?一体何発撃てるんだ?」



華凛本人も底が見えない自分の霊力に内心首を傾げながら霊砲を放った。




「陣形を組み直せ!こいつは危険だ!1発で決めるぞ!」



天狗族は華凛に危険性を感じ、1ヶ所に固まり霊力の気を練りだした。



華凛が霊砲を放つが槍持ちが盾となり後方の隊へ攻撃が通らない。




「しゃらくせー!」



華凛の砲撃でとうとう槍持ちも倒れ残りの部隊へ目を向けると空は巨大な火の玉で赤く染まっていた。




「これで終わりだ!沈め!」



合図と共に華凛へ向かって火球が放たれた。



華凛はニヤリと笑うと


「へへっ!そういうの嫌いじゃないぜ!」




巨大な火球から逃げることもなく華凛は霊砲を腰に抱え、腰を深く沈めると、霊砲に込められるだけの霊力を注ぎ息を止めると一気に放った。



ズンッ!



重低音が響くと


華凛が放った砲撃は青白い閃光を放ち、火球と拮抗することもなく貫いた。



貫いた閃光は天狗族の頭上を越え、遥か上空で派手に爆発した。



「ぷはっ!危なかったぁ……想像以上だったな……上に逸らせて良かったぁ……俺も康成のこと言えないな……」



想像以上の威力に華凛は当たらなくて良かったと内心冷や汗をかいていた。



霊力を使い果たしたのか、戦意を喪失したのか、天狗族はふらふらと地面に降りると膝をついた。



「我々の負けだ……もう飛んで逃げる気力も残ってはいない……我等の天狗族もこれでお仕舞いだ……」



「たーまやー」



華凛の後ろからどこか気の抜けた声が聞こえた。

後ろを向くと康成がバットを担ぎ空を見ていた。


「康成、なんだよそれ?」



「デカイ花火がうち上がったらこっちではそういうんだよ。とりあえずこれでお仕舞いか?」



「そうだな、こいつらどうする?まずは父ちゃん呼ぶか?」



康成と華凛が天狗族の処遇を話していると、先頭に立っていた天狗族が前に出て頭を上げた。




「お願いがあるっす!」




「「あるっす?」」



「私の命でどうかコイツらを助けて欲しいっす!こんな成りをしてますが北の山の天狗族、長をしているっす!お願いします!何でもするっす!殺されても奴隷でも覚悟はできてるっす!全ては私の責任っす……だからコイツらだけは……」



まだ二十歳にもならない位の女の子が康成と華凛に土下座をしてきた。



空が暗く見えなかったが、明るい所で良くみると全員痩せ細っており、あちこちがぼろぼろだ。



「さすがに俺らじゃ何にも決められねーよ」



「2人とも、無事に終わったみたいですね。康成君、華凛?この話、私が預かっても良いでしょうか?」



甚平さんが到着すると、消火が終わった他の鬼人族も集まってきた。



「まぁ甚平さんなら悪いようにはしないだろうさ、俺は甚平さんに任せるよ」


華凛も


「父ちゃんに任せるよ、俺はこれから母ちゃんの所に行ってみんなに知らせてくる!」




「それでは怪我人の応急処置が終わって、華凛達が戻って来たら広場に集まりましょう」




甚平さんがみんなに指示を出すと各々が役割を理解し動きだした。




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