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娘の隣はまだパパの席?



康成は素早くリュックにバットやドリンクを詰め蔵に向かった。


蔵の前には華凛がスタンバイして待っていた。



「華凛、準備はいいか?」


「さっきはカッコ悪いとこ見せて悪かったな。もう大丈夫だ。康成もらったブルブル飲んだら力もみなぎってきたぜ」



「準備もできたし、そろそろいくか。んっ?華凛、少し背が低くなってないか?折れた角もあんまり目立たないし……」


「よくわかんねーよ、こっちに来たらこうなってたんだよ。力も弱くなってるしな。もとの力ならあんな扉簡単に開けられるのに……」



これは、現世に来た影響か?



「今考えてもしかたないか。よし、井戸に入るぞ」



………………



井戸から出ると夜なのに村の方向がオレンジ色に明るく染まっていた。



「まだ火の勢いは弱いな」


「でも、早く村に急がねーと…ッキャ!」



「悪いな華凛!急ぐんだろ?負担にならないようにするけど少し揺れるぞ!しっかり掴まってろ!」



康成は華凛を肩に担ぐと村へ走り出した。



「康成!どこ掴めば良いんだよ!一応俺も女だぞ!肩に担ぐって何か変じゃねーか!?」



「大丈夫だ。全然重くねーよ!」



「そういうことじゃねーんだよ!」


………………………




村では鬼人族の男達が半分は火消しに、もう半分は大きな盾と棍棒を担ぎ防衛にあたっていた。



「ふぅ……さすがに骨が折れますね……」




定期的に火の玉が飛んでくる。


それを盾で防ぐと今度は人影が槍を構え空から攻撃を繰り出す。



「まったく……相性で言えば最悪ですね……近距離が得意な鬼人族は空は飛べない、空から一方的に攻撃されたらジリ貧ですよ……ねぇ?天狗族さん方?」



甚平が声をかけ、空を見ると火事の火が夜空を照らし人影がはっきり見える。



白い肌に漆黒の羽を持つ天狗族が30人程空より甚平を見下ろしている。




「おとなしく村と食料を明け渡せば女、子供の命は保証しよう!」



「そう言われましても困ります。人の親である以前に私はこの村の長です。簡単に明け渡すわけがないでしょう?」



甚平が呆れ顔で反論すると、天狗族は槍を構え。


「ならば……死ね!」



1度に5人が5方向から甚平へ槍を突き出す。



「甚平さん!」



鬼人族の男が甚平の後ろに付き、2槍を止める。


前2人は甚平が止めたが残りの1人の槍が甚平の肩を掠める。



「このっ!」


鬼人族の男が天狗族へ棍棒を振るうが既にそこには誰もいない。


一進一退


先程から甚平達を悩ませる攻撃だ。

1度攻撃したらすぐに空へと戻り再度攻撃のタイミングを伺う。



そして、槍が戻ると気をためていた天狗族が火球を放つ。



火球を止めると再度槍が降ってくる。


5人1組の槍と火球のコンビネーションで、それが3組


選択を間違えましたかね?やはり華凛に残って貰い、霊砲で空へ牽制して貰えればだいぶ楽なのですが……

やはりダメですね。これは狩りではないのです。娘を危険な戦場に置くことはできません。



普段鬼人族の村では狩りの際、鈍器を用いる事が多く霊砲は華凛しか持っていない。



それに霊力を込めて放つにはそこそこの霊力が必要であり、霊力を放出するのは制御が大変で鬼人族には難しく、扱える物も少ない。



私も霊砲は力加減が難しくあんまり好きではありませんね……



「無い物ねだりではありませんが、本当にジリ貧ですよ。まったく……」




何度か槍、火球の連携を止めてかわしていると槍捌きにフェイントを混ぜたりタイミングをずらしたりと、捌くのが難しくなり少しずつ手傷が増えてきた。



甚平は康成のラーメンで一時的だが肉体を持つ事ができたため体力も身体能力も上がっている。だが他の鬼人族は違う。


振るう棍棒も空を切る時が一番体力を削られる。


少しずつ狂うタイミングについていけず体力も失われ、槍に盾を跳ばされてしまう。




「いけない!」


槍部隊が引くと準備されていた火球が甚平達を襲う。



火球は既に放たれた。甚平は盾を落としてしまった鬼人族の男を掴むと攻撃の範囲外へ投げた。



「甚平さん!逃げて下さい!」



投げた甚平が盾を拾う時間はない。



「さすがに直撃したら熱そうですね……」



死にはしないだろうと思いつつ、衝撃に備え甚平は腕を畳み火球を迎えうつ。




その時、一筋の閃光が火球を撃ち抜く。



「父ちゃん無事か!」



どこから来たのか、勢い良く滑るように華凛は甚平と天狗族の間に入った。



「華凛!どうして来たのですか!あなたが1人来ても何も変わりません!華夜さんやみんなと逃げて下さい!」




「まったく……いつまでも子供扱いして、ケチ臭いこと言うなよな。それに……1人じゃねぇ!」



火球を消されたことに動揺したのか、天狗族は再度槍を構え降下してきた。




降下を始めた瞬間




ズガガガガガガッ!




降下を始めた天狗族へ激しく何かがぶつかる音がし、天狗族は地面に叩きつけられた。



「やべっ!死んでねーよな?力加減間違えたかな?良かったぁ……息してる……」



「康成……君?」



「あいよ!強力助っ人、康成君の登場だ。甚平さんは、これでも飲んで休んでてくれ」



康成は甚平へ持ってきたブルブルを渡すと華凛の隣へ立った。



「身長戻ったな」


「あぁ、こっちに来たらすっかり元通りだ。それよりも俺を遠慮なく投げやがったな?」



「でも、間に合ったろ?しかも抜群のタイミングで、間に横入りするとか超かっこいいじゃん」




「まぁな、仕方ねぇから今日は許してやんよ」



「ありがとさん」


突然乱入者が現れ仲間が一気に5人も落とされた天狗族は動揺を隠しきれない。



「なんなのだ貴様らは!突然横槍を入れおって!」



「うるせーなぁ、なぁ父ちゃん?誰も死んでねーよな?」



「えぇ、疲労困憊で擦り傷と少しの火傷だらけですがみんな生きてますよ」



「なら問題なしだ。康成!誰も殺すなよ?ちゃんと手加減しろよ?できるか?大丈夫か?」



「さっきより弱めにするから大丈夫だろ?多分……」



「本当に頼むぜ?なぁ父ちゃん?今更逃げて隠れなさいなんて野暮なこと言わねーよな?」



「ふぅ……私は疲労困憊で何も見えてませんし、聞こえてませんよ」



「そっか、それならしかたないな!」



「殺す気はないけど何で生死の確認をしたんだ?」



「康成、これはまだケンカなんだ。ケンカなら殺す必要はない。死んでなければどうにかなる。

ただ……1人でも死んじまうと……それはケンカじゃない、戦だ……収まりがついたから解決にはならねーんだよ」



「なるほどね、それじゃあ殺さない程度に遠慮なくボッコボコにしたらいいんだな?」


「まぁそういうことだ、本当に手加減しろよ?」




「わかってるよ、それじゃいくぞ!」



康成と華凛は天狗族へ振り替えるとケンカの一歩を踏み出した。




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