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護衛選定の時

ユーイン視点です

 僕もルーインも、ギリギリ、本当にギリギリではあったけれど、なんとか試験に受かる事ができた。

 そして迎えた、女性達との邂逅。

 目の前に現れた女性達は、皆それぞれに違った魅力を持っていて、胸が踊った。

 僕達を選ぶ権利は、女性達にある。

 だから僕達は選ばれる事をただ願って待つしかない。

 誰か、僕とルーインを護衛に選んでくれないかな。

 そう思いながら順に女性達に視線を巡らせる。

 それを止めたのは、ある一人の女性の言葉だった。

 『どちらか一人だけでもいいのよね!』と、その女性は言った。

 どちらか、一人?

 ルーインと別々に選ばれる事など考えもしていなかった僕にとって、その言葉はとても残酷な宣告となって響いた。

 だって、僕はルーインと一緒にいる為にここに来たのだ。

 なのに……。

 ちらりとルーインのほうを見ると、ルーインも別々に選ばれる可能性がある事を予想していなかったのか、不安そうな、そしてどこかすまなそうな表情をして僕を見ていた。

 けれどそんなふうに顔を見合わせた僕達には気づかず、女性は無邪気に僕達のどちらを護衛にするかを考えている。

 その様を見て、女性達をこの場所へと連れてきた男性がその女性の意識を別の護衛候補の男性へと逸らしてくれたけれど、それで僕達が引き離される可能性が潰えたわけじゃあない。

 僕達はもはや一緒にいる事を諦め、どちらからともなく目を閉じた。

 だけどそんな僕達に、優しい声がかけられた。


「ねえ、良かったら、私の護衛をしてくれない? 私、貴方達を選びたいんだけど、いいかなぁ?」


 貴方達。

 そう言われた言葉の意味を理解するまで数秒。

 二人一緒にいられるというその申し出に、僕とルーインは笑顔で頷いた。

 その女性の名前は、シズル・ホウジョウさん。

 護衛を複数選ぶ事が、金銭的な面で後の自分を苦しめるかもしれない事を聞いた上で僕達を選んでくれた、優しい人。

 僕とルーインが護衛となり、これから一生をかけて守るに値する人だと、素直に信じられた出来事だった。

 この子がルーインのお嫁さん候補になるなら大歓迎だ。

 再びちらりと横目でルーインを伺うと、嬉しそうな表情の中に、ちょっとだけ別の色も見え隠れしていた。

 これからが楽しみだな。

ユ、ユーインだと、出会いの回想がここまで短くなるとは(;゜∀゜)

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