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オルサポルタから始まった  作者: 泰藤
寄宿学校生活の始まり

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アイスクリームコーンを作る

早速、アイスクリーム研究会のメンバーでアイスクリームコーンとブルーベリーアイスの試作が始まる。




「まず、ブルーベリージャムはここに!」



「アナスタシア様ご所望のヨーグルトも持ってきました!」



「ご所望の品です! えへへ」



「その言葉使いたかっただけじゃん」



「そっちのアイスクリームは卵の黄身の代わりにヨーグルトをいれるのか?」



「そうだぜ。俺、新しい味が楽しみ!」





ギグルスとランキーとピッピがブルーベリーアイスの制作に取り掛かる中、チャビーとグレ、そして私は3人でアイスクリームコーンの準備に取り掛かる。


まずは生地を作らないといけないからね。

記憶では結構トロトロだったんだよね。

クッキーみたいに固い感じではなかったはず。





「あ、アーシャ…さま、アイスクリームコーンのレシピはありますか?」



「アーシャだよ。様はいらないの。あと、レシピは無いわ。インスピレーションよ!」



「大丈夫かなぁ。僕ちょっと不安」



「大丈夫よ!いつか正解に辿(たど)り着くわ」



そんな会話をしながら、ボウルに卵と牛乳を入れて砂糖と小麦粉を入れる。

混ぜて焼いてみる。うん、クレープみたいなのが出来た。これは前途多難(ぜんとたなん)かもしれない。




「アーシャ、旨いよこれ。僕は好きだよ」



「美味しいです。失敗作も美味しいので幸せ~」





そんな数週間の試行錯誤(しこうさくご)の末、それっぽいのが出来るようになってきた。溶かしバターを入れるなんて玄人(くろうと)な方法もアドバイスを貰ってなんとか形になりつつある。

ブルーベリーアイスの制作が落ち着いてきたギグルスのお父さんに相談してアイスクリームコーンを作る為のワッフルマシーンも作ってくれた。火を使わなくても鉄板が両面熱くなる仕様になっているものだ。

金属の部分とかは設計図を描いて王城の魔導具工房で作って貰った。ドナありがとう!


でも、丸める為の円錐(えんすい)型の木型に巻き付けるとホロホロと崩れてしまってアイスが入れれない。手に持てる丈夫さが欲しい。




「ああっ、また割れた! 焼き色がつくまで待つと、巻こうとした瞬間にポロポロになっちゃう……。でも、焼きが甘いとフニャフニャでアイスを支えられないし」




手袋を二重にしてコーンの作成をしていたアナスタシアの嘆きを横目にチャビーとランキーは失敗作のコーンをボリボリと食べている。




「僕、最近太った気がする」



「え?なんて?」



「なんだよ。」



「い、いや。俺も太った!」



「幸せ太りだね~」



学校が休みの日や専属侍女のおやつとしても皆に消費をして貰っているとはいえ、飽きが来る前には完成したいとアナスタシア達は試行錯誤を繰り返す。

ある日、ボロボロと崩れるコーンの破片を見つめながら、チャビーはそっと口を開いた。



「僕が思うに、もしかしたらこの生地、つなぐ力が足りないのかもって気がする」



「つなぐ力? どういうこと?」



首をかしげるアナスタシアに、チャビーは実家の薬草園の研究室で教わったことを思い出しながら話し出す。



「えーっと、お薬の調合と同じで……。バターの油が粉をぬるぬるにしちゃうから、滑って壁が作れないしお砂糖も水を横取りしちゃう。だから、焼き上がっても支えがなくて、砂のお城みたいに崩れちゃう気がする」



「崩れないように強くするにはどうしたらいいと思う?」



「砂糖が水分を吸い過ぎないようにした方がいいと思う」



「……じゃあ、お砂糖とバターを減らしてみましょう」



「お菓子も実験で、薬を作るのに似てる気がするんだ」



「チャ、チャビー、どれくらいの量のお砂糖とバターを減らすの?」



アナスタシアと一緒に話を聞いていたグレチェンが粉を振るいながらチャビーに聞く。

グレチェンに聞かれ、チャビーは手元の分厚いメモ帳をめくった。そこには薬の調合記録みたいに、これまでの失敗した分量と結果がびっしり書き込まれている。



「ええと……まずは、お砂糖とバターをスプーンで2杯ずつ減らして作ってみない?」



「スプーン2杯? そんなに少しでいいの?」



「うん。薬の調合も、ほんの少しの差で固まり方が変わるんだ。今のままだとお砂糖が水分を吸いすぎているから、まずは2杯分だけ粉に譲ってあげるんだよ。それでダメなら、次は3杯……って試していけば、きっと一番丈夫な配合が見つかるはずだよ」



「なるほど、実験ね! チャビーは凄いわね、お薬を作る時の知識をお菓子作りに応用するなんて」



「僕は凄いんだ。えっへん! なーんてな!」



そうして、試行錯誤の結果簡単には崩れないアイスクリームコーンとブルーベリーアイスが完成する。


黄金色に焼き上がった崩れないアイスクリームコーンがテーブルに並んだ。

チャビーの計算通り、今度のコーンは手で持ってもびくともしない。それでいて、(かじ)れば軽やかな音を立てて(はじ)ける最高の出来栄えだ。




「よし、アイスを乗せるわよ!」




アナスタシアが声を弾ませ、冷やしておいたボウルからブルーベリーアイスをすくい上げる。

ヨーグルトベースの白いアイスクリームは、淡い紫色にブルーベリーの濃い粒が混じって、マーブル模様になっていて美しい大理石のようだった。



「わあ……綺麗……」



グレチェンが感嘆の声を漏らす中、専用のスプーンで丸く整えられたアイスがコーンの口にそっと鎮座する。焼きたてのコーンの香ばしい匂いと、ブルーベリーの甘酸っぱい香りがふわりと重なる。



「さあ、溶けないうちに食べて!」



みんな一斉に、自分のコーンにかじりついた。



「……っ、サクサクだ! それにこのアイス、すごくさっぱりしてる!」



ランスロットは感動でプルプルと震えている。

ピピロッテ、ジョージアナ、グレチェンも夢中でアイスクリームを舐めている。



「これは、スプーンで(すく)わずに食べるのが正解ですって?」



「カッコイイね!えへへ!最先端だよー。お洒落(しゃれ)だねー」



「一生アナスタシア様についてく……」



チャールズも、自分のメモ帳に大きく大成功!と書き込みながら、アイスクリームを食べている。



「お菓子は科学だ……」



アナスタシアもアイスクリームコーンとブルーベリーアイスの完成度に大満足だった。

本当、この子達凄くない?

お店が開店して成功したらボーナス出さないとね!

あとはこのレシピと魔道具の登録もしないとね。コンラッドに頼めば上手くやってくれるかな。

次々と浮かぶ「お願いリスト」を頭の中で整理しながら、アナスタシアは手紙の内容を練り始めるのだった。


公爵家第3秘書官のコンラッドは地味に忙しい。

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