外伝II革命のウタ 4話・帰還
今回はこっちから先に読んで下さい!
「イザラが走って逃げるの見えたから来たら、アーカスさん失敗したんですか?」
「カナスか。
まあ何とかする。
それよりどんな感じだったんだ?
俺から見れば完璧だったが。」
「アーカスさんから逃げれたんだ、大丈夫だよ。
ただ瞳が何とか言ってたな。」
「アレは知らないのか。クククッ」
「何、無気味だよ?」
時折見せるアーカスの禍禍しい姿にカナスは馴れることは出来なかった。
「それじゃ、さそりを砂帝様に持って行くとするか。」
それは突然だった。
「ナイト長!!」
ドアを壊すような勢いで現れた部下にアーカスは苛立ちを覚えた。
「なんだ!
ノックぐらいしたらどうだ?」
「そ、そんなことよりクルディオさんの隊がたった今帰って来ました!」
「予定より早かったが問題はないだろ?」
「全員が重傷を負い、死にかけで!」
「な、何だって?」
「全員医療専門ナイトに診てもらっています!
速くこっちに来て下さい!」
二人は部下に連れられるままに付いて行く。
そこには医療専門ナイトが何人も付き、四人の重傷者を治療していた。
そこでアーカスはクルディオを見付け、近寄る。
「おい、クルディオ、おい大丈夫か?」
返事は無く、他の誰も同じだった。
「チッ!いったいどんな任務をしていたんだ?」
さっきの部下に聞くと一枚の書類を見せた。
アーカスはそれを見ると、怒りがその紙を燃やし尽くすほどに込み上げてきた。
「また、砂帝の失敗作が。」
紙を握り潰し、その手で壁を殴る。
そして三人は救護専門ナイト達に任せ、その場を去って行った。
□ □ □
「ハァー。」
誰のものかわからないため息が、部屋に吐き出される。
「失敗作は殺せてもいないんだよ、どうする?」
「……俺が行く。」
カナスの問いにアーカスが答える。
「ナイト長自らなんて、事を大きくし過ぎです!」
「事が大きくなる前に俺が消すんだ!」
部下は苦い顔をしながらそれ以上は何も言わなかった。
「カナス、お前も来るだろ?」
「もちろん!」
「………一つ提案なんだが、あの少女も連れていくか。」
少女という言葉に部下は飽きれ、その一室を出ていった。
「イザラがいいよ!なんて言うとは思わないけど?」
「うーん。
揺さ振れる過去の情報とかもないしな。」
その後二人は悩み、意見を出し合ったが良い案は出なかった。
ドアが勢いよく開き、またさっきの部下が現れる。
「ナイト長!
クルディオさんの治療が終わり、意識を取り戻されました!」
「本当か!」
二人はその知らせを聞き、走りクルディオのもとへ向かった。
「クルディオ!大丈夫だったか?」
部屋に入ると医療専門ナイトの若い女を口説いていた。
「よぉ、見舞か?」
アーカス達に気付いたクルディオは口説くのを止め、元気そうに手を振る。
「………、大丈夫そうだ。
心配して損したな。」
「はい、アーカスさんとオレがどんなに心配したかと!」
二人は怒ったふりをした。
「プッ、ハハハハッ!!」
しかしそれは三人を笑わせていた。
「無事で何よりだ。
それで真剣な話しに移ろうか。」
部屋の空気が代わったのを感じ、若い医療専門ナイトは出ていった。
「隊は一応全員無事か?」
「……いや、ヘクトの野郎が一人、俺達全員をかばってくれた。」
「そんなヘクトさんが?!」
「あぁ、奴は最期まで立派だったよ。」
「遺体は?」
「奴に骨ごと喰われた。」
「遺族には任務の内容は黙っておくぞ。」
「アーカス、奴の敵を取ってくれ。
俺じゃあ役不足だった!」
クルディオは悔しさのあまり大粒の涙を一つ流す。
「泣くな、任せておけ。
明日の夜に出発する。」
「頼んだぞ。」
怪我人にあまり無理はさせられないため、それだけの会話で切り上げ二人はまたさっきの部屋に戻っていた。
「仕事が増えたな。
明日の昼間に遺族に挨拶に行って、それから失敗作を始末しに行く。」
「遺族について調べて来るよ。」
カナスはそう言って出ていった。
残されたアーカスはポケットから一つのど飴を取り出し、口に入れる。
それのスーとした味がいつの間にか溶けてなくなってしまうと机の一番下の引き出しから黄ばんでしまった古い紙を一枚取り出す。
それは楽譜だった。
アーカスは大きく息を吸い込むとその楽譜に書いてある歌詞を歌い出す。
『―――我らの神 “焉羅”よ
あなたは 友を持つ 手を 貸してくれる友を
あなたは 友の力を授かる 壊し 狂わす力を
あなたは 友の悲劇を背負う 還らぬ 避けられぬ悲劇を
あなたの瞳に映るは 悲しみが毒づく 山に漂う 友の魂―――』
歌われているのは砂帝の領土の国、砂、毒、木の国を守っていると言われている神“焉羅”を讃えた歌をだった。
歌い終わったアーカスは黄ばんだ楽譜をもとあった場所に戻した。
椅子に腰掛け、落ち着こうとすると。
「カナスさん!
遺族を見付けました!」
部屋に入って来たカナスはどこか落ち着きがなかった。
「………どうしたんだ?」
「よくぞ聞いてくれました!
なんとその遺族があの娘、イザラ・アーシェだったんです!」
アーカスはカナスの言葉を信じられなかった。
「そんな偶然………。」
アーカスは立ち上がり机に力強く両手を置く。
「イザラ・アーシェを今すぐ連れて来い!」




