第四話「平和、それは嘘に咲く」
雨の中のAくんです。
チョコはおいしいですよね。
「よく集まってくれた。僕の奴隷たちよ。さて、今週ノルマを達成できなかった者が2名いた。ルナ、ルナ、前へ。」
広場に集まっている民衆の中から二人の男性が前へと進み出た。
コベルドはすうっと息を吸うと、一息に言った。
「お前達は僕の奴隷という自覚はないのか!僕の奴隷となったからには毎日のノルマ達成は当たり前だ!なぜお前達はそれだけのことができない!僕に従っていれば問題ないんだ!お前達の今日のノルマは2倍だ!いいな!」
前に出た国民はうつむいている。
「返事は!」
「かしこまりました、神能者、コベルド様!!」
なんてひどい演説内容だ。
これなら16歳の子どもが反乱するのも頷ける。
私は自分の手を握りしめた。
これは絶対に成功させねばならない。
コベルドの演説が落ち着いてきた。
そこでスローズの手が首元にかかっている勾玉に触れる。
そのまま手を上げると、手から(水が吹き出る)
それを合図にライルとリアンが国民たちに声をかけ始めた。
「こっちだ!こっちに逃げろ!焦らないで!」
「ゆっくりでいいから怪我しないように逃げるんだぞ!」
国民たちは誘導に従って門へと向かっていく。
「なっ…!?」
コベルドは驚き、言葉も出ないようだ。
コベルドの隣にいた護衛もそそくさと逃げていく。
「っおい!待て、なんで…!」
コベルドは必死に止めようとするが、それも徒労に終わる。
そして私とユミルは隙を見て、コベルドを取り押さえた。
「っが…!!」
「黙って見てなさい。この暴君が。」
ユミルが苦しそうなコベルドに言い放った。
少しかわいそうに思えたが、行いを考えれば当然の摂理だ。
その後、国民の避難を終わらせたスローズとリアン、そしてライルが戻ってきた。
「んで、自称神能者コベルドは大人しくしてるのか?」
「ええ。問題ないわ。さて、ここからこいつをどうしましょうね。」
スローズとユミルが話し始めてしまった。
しかも中々物騒な話も飛び交っている。
「処刑?さすがにそれはだめよね。徹底的に拷問?」
「い、いや、それは、よくないと思うよ…」
頑張れライル、ユミルとスローズの物騒な考えを止めるんだ。
私だって拷問とか血なまぐさいことはしたくない。
それはそうとコベルドは特に暴れることもなく、じっとしている。
が、その平穏は破られた。
「皆、僕を裏切ったのか…?君も、君も、君も、君も、全員!」
「そうだ。悪者を裏切って何が悪い?」
「どうしてこんな政治ができたのか不思議でならないわよ。」
「み、皆怖がってたんだ!」
「俺達だって辛かったんだぞ!」
皆から口々に非難が浴びせられる。
「君たちが裏切っ…いや、僕が…いっ!?」
突如、コベルドの顔が痛みによって歪んだ。
「君たちが裏切って…いや、僕が裏切って…?で、でも君たちが、ううん、僕が…?」
「お、おい!急にどうしちゃったんだよ!」
リアンが駆け寄り、コベルドを揺らす。
「っやっぱり、僕が君たちを裏切ったんだ…」
コベルドが顔を上げると、灰色だった目は真っ黒に染まっている。
コベルドの足元から黒い何かがどろっと出てくる。
なんかまとわりついてくるし。
これはかなりやばいのではないか。
はやく逃げないと。
でも、黒い何かが足を離してくれない。
他の皆も同じような状況らしい。
空も暗くなってきた。
またたくまに黒い何かは国全体を覆い、私たちはそれに飲み込まれた。
「ルナ!手を掴め!」
そんなリアンの声が聞こえた気がした。
手を伸ばすがその手は空を掴み、飲まれていった。
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「13月41日 海曜日」もぜひご覧ください。




